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終わるコミケット#2 猶予の月

1 :1(前スレの1) :2000/09/15(金) 17:22
「次の冬コミでコミケットはおしまいだ。」

終末まであと3ヶ月。
何かを考えるには短すぎて、何も考えないには長すぎる。

向かい合った原稿に対して 精一杯生きる。
現実から逃避するために なにもかも受け入れない。
未来を忘れるために 原稿に熱中する。

残された時間を生きる。

コミケが終わるまで。

前スレッド:
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175

20世紀でコミケットが終了するという仮想にもとづいた、
ぼくらのせかいのものがたり。

2 :1@HITcc-02p82.ppp.odn.ad.jp :2000/09/15(金) 17:26
前スレッドがかなり重くなっておりサーバの負担になるということなので、
新スレッドを起こしました。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
お断り

このスレッドの内容は全てフィクションであり、実在の人物・団体・
事件等とは一切関係がありません。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

書き込みの際は前スレッドの通読を強く推奨します。

3 :一応はおやくそくを。めんどくさ。。。 :2000/09/15(金) 17:56
このシリーズの終了は、2000年12月28日 23:00(冬コミ前日)を予定しています。
「20世紀でコミケが終わる」という前提の上でなら、どんな立場からの話でもOK。
(実在の人物が強く想起されるような場合、節度を守ること。)
新しくネタを書く前に、一度前スレッドを含めた過去の書き込みはチェックしておきましょう。
前提が極めて緩いので、通して読むといくつか矛盾などがあるかも知れませんが、
細かいことは気にしちゃぁいけません(笑)。

4 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/15(金) 23:07
http://ueno.cool.ne.jp/endofcomike/

ここにログはあるらしい。
ゆっくり読みたい人、どぞ。

5 :どーでもいいことだが。 :2000/09/16(土) 20:16
「いざよいのつき」と素直に読んでしまったがそういう理解でいいのだろうか。

6 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/17(日) 23:28
age

7 :名無しさんi486 :2000/09/18(月) 01:21
あげておく

8 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/18(月) 06:52
age
さて、今週もこのスレッドを楽しみに仕事に励みますか。

9 :サンデーライター :2000/09/18(月) 10:00
引越し先の確認。
さーて、今週も書いてみようか。

10 :サンデーライター :2000/09/18(月) 13:05
2000/10/20 23:16 山梨県富士吉田市

正和はオレが描いたコンテを読んでいる。
この冬でコミケットが最後だと聞いた時、これを描こうと決めたヤツだ。
相当なページ数だが、正和は丹念に読んでいる。
「なぁ哲也、今回のは…、何つぅか、いつもと違うな」
「まぁ、最後のコミケだし、夏コミの事もあるからな」

男性向けの創作だが、12年間地道に描いてきて確実に固定ファンを掴んできた。
そのうち3割程度が女性読者というのも、うちの特徴かもしれない。
2000年の夏コミ、オレのサークル「真夜中の紅茶」は初めて壁に配置された。
隣は2年前から参加しているエロの過激さを売りにしているサークルだった。
同じような題材を扱っているので、いつも近くに配置されている。
そのせいもあってか、どうもライバル視されているようだった。
夏コミで隣に配置されると、あからさまにオレ達と自分達のサークルを比較した。
絵がきれいでエロが過激なら、話なんか無くたって売れるんだ、みたいな事を言っていた。

「それにしても、いつもの半分もエロが無いぞ。やっぱり連中を意識してるのか?」
「はっきり言う。気に入らんな。エロの差が売上の決定的差でないことを教えてやる!」
「まぁ、お前の漫画はストーリーが強いからな。多少エロが減ったところで問題無いよ」
正和はペプシを一口飲むと、再びコンテを読み始めた。
「なぁ正和、幕張を追い出された時のこと、覚えているか?」
「忘れるか。ホテルの変更ですごい苦労したぜ」
「エロのせいで危うくコミケが潰れかけた。最近もあの時と似た感じになっていると思わないか?」
「そうだなぁ…、特に有明に移ってから来てる連中は、その辺の事を知らないからな」
「古株もさ。また同じ過ちを繰り返すと気づかないのか!」
「哲也、俺は神の存在を信じるぜ」
「神の存在って、どういうことだ?」
「悪いヤツにはバチがあたるってことさ」

11 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/19(火) 01:41
期待age

12 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/19(火) 10:10
100以下に沈んでいるのでage

13 :名無しさん@そうだ地獄へ逝こう :2000/09/19(火) 10:21
>>5
執行「猶予」だ。
ちゃんと漢字勉強したか?(藁)

と煽りつつもまだここに書き込む小説の
構想が出来上がってないんでsage。

14 :ヘッポコー1号 :2000/09/19(火) 11:35
2000/12/01 pm12:36 湾岸署

昼休みの署内に怒号が響いた、警備課課長の怒号だ
声だけでも怖いが顔も怖い、そんな人が今にも受話器を握りつぶさんとしている
「コミックマーケットの雑踏警戒は最小限で良いですと!」
相手の声は課長しか聞こえないが、どうやらかなりの人物らしい
「しかし、当日は何十万の来場数に加え、紀宮内親王殿下もいらっしゃるのですよ」
本人は怒りを押し殺しているらしいがはたから見るとやっぱり怖い、
交通課から何とか引っ張ってきた若い婦警(今は女性警官だが)も萎縮しきっている。
食事に誘うつもりだったけどそんな空気はこの空間に含有していない。
「はぁ・・・解りましたでは、その様にします」
怒りを通り過ぎて諦め顔になった課長に煮詰まったコーヒーを差し出す
「一体如何したのですか?相当ご立腹の様子でしたが」
「コミックマーケットの雑踏警戒を当初予定数の十分の一で良いそうだ」
「それは無茶ではないんですか?それに警護は?」
まだ新米の頃、雑踏警戒へ借り出されたことがあるが、
あの人だかりは尋常ならざるものがあった、
「その十分の一は全てVIP警護に回すそうだ、会場警備等はあらかじめ
用意されている訓練済みの人材でやるみたいだな」
「しかしあの広範囲のエリアにほとんど警官が居ないのは問題なのでは?
何か起こったら如何するのですか?、又警察叩かれちゃいますよ」
「仕方が有るまい、総監直々の命令だ」
「ふむ、何か妙な話ですね、わざわざ・・・」
突然話をさえぎるかのように話し掛けてくる
「確か君は当日非番だったよな?」「嫌です」
相手の提案の前に否定をした、が完全に無視され
「個人的に行ってみてはどうかね?」
「あの僕は刑事課なんすよ?何でまた・・・」
「長年警察やってると嗅覚が鋭くなってね」
理解した、一見単なる頑固なラーメン屋の親父といった感じの人、しかし
犯罪に対する嗅覚は敏感だ、そんな人物がなぜ警備課に居るかは謎なのだが。
「あーそうですねぇ、暇だったら行く事にします・・・交通費経費で落ちますかね?」
「非番の者に経費が下りるのかね?あ、そこのレインボー最中なら持って行け」
「別に良いですよ、年の瀬は何かと忙しいんですけどね、あ、捜査に行かないと」
軽く課長に頭を下げ、ヒューストンのコートを肩に掛け、正面玄関へ向かった。

15 :へっぽこー1号 :2000/09/19(火) 23:22
あ、自分のHNがカタカナだ・・・。なんで毎回ミスるんだろ・・・・。

16 :主要執筆者紹介 :2000/09/20(水) 06:27
#サンデーライター氏
東京都交通局ネタ、「巫女」ネタ、嘘ラジオ放送、東京都生活安全局ネタ(SA?)、
魔法少女ネタと多種多彩きわまるネタ展開は、参加経験の豊富さを物語る。設定情報
の共有化にもいち早く着手し、本スレッドの豊かな発展に貢献した。使いたい名台詞
を最初に決め、それが使われるシチュエーションを構築する手法に定評あり。

#三文文士氏
本スレッドの最高傑作の一つとされる、「緊急アピール」を生み出したライター。
紀宮内親王殿下がオタクではないかとする説を用いて、紀宮内親王ご来場>警備強
化というスレッドの流れの「源流」を創りだした功績は大きい。ネタは、スタッフ系
or周辺環境を支える人々の2つに大別できる。軽妙な会話形態のSSに強みあるも、
惜しむべし推敲が弱いか。名古屋駅で目撃との情報あるが、本人は黙して語らない。
バリカン便って、ミケネコトマトの配達屋さんってゲームから取ったものですか?

#字並べ屋氏
一連の「安全管理担当」シリーズの作者。押井守の強い影響をうけた作風、かなり
血なまぐさい結末を生み出すだろうと思われる。多分、ジャンルは富士見ファンタ
ジア系じゃないかな。そうすけ・みずき・かなめとくれば、フルメタル・パニック
だものね。ひょっとして、ひょっとしてなんですが、1999年8月に読者を裏切
ったことがありませんか?

#100円ライター氏
チンピラ、腐れ大手に振り回される印刷会社など、人生の不幸街道をひた走る人々
の愚かさをひたすら描くライター。女性サークルの凄惨きわまる紛争を描いた「あ
るサークルの情景」をあえて代表作として挙げよう。乾いた文体にファン層も広い
のでは。

#見習い文士氏
ちょいと貴族趣味はいった2ちゃん系スタッフ、腕章夫人、内周辺境伯、飲料部支
配人の会話を鮮やかに描いた「ザ・トップ・オブ・有明」、やるべきことをやるべき
時にやるという砂の薔薇的正義を貫かなかったために不幸になる同人少女を描いた
作品の2系列を持つやはり名文家。本業も文章関係らしい。2ちゃんによる情報パ
ニックを指摘した推察力はさすがというべきか。予告した新レーベル「前日設営編」
は、本業の多忙で順調に遅れているとのこと。奮起が期待される。

#流れ書き氏
聖地晴海への郷愁と、急速な商業文化の流入への違和感を抱きつづけるある2人の
同人作家を描くライター。紹介者は、実はこの方の文章の大ファンです。どーか、
流れ書き続けてほしいもんですな。

#ネギピロ氏
「世界庭園物語」シリーズ、「特別警備隊」シリーズの2レーベルを持つ実力派。
「世界庭園物語」シリーズの続きが出ないのは本業多忙か、はたまたあまりに広が
った設定の活かし方に考えあぐねているのか。

#コミックマーケット73氏
コミックマーケット59での「休止」を前提としたSSが主流となる中、一人20
12年の73回目の物語をつむぎつづけるライター。独自の進化を進めるのも、ま
た良き風情あり。

#Jr氏
「東日本警備サービス」シリーズを代表作とするライター。登場人物をすべてまと
めた功績は極めて大。設定情報の共有化に大きく貢献した。細かな描写に光るもの
あり。PTSDを抱えたあの女の子、いったいどうするんでしょうか。

#手動筆記人氏
池袋の「コミック革命」でいきなしの大惨事を生み出したライター中、ある意味最
強の悪人。「吉村家の兄妹」シリーズで、琴美ちゃん萌えという重要なファクター
を生み出した功績も大きい。氏の描く「最期」を楽しみにする読者も多いはず。

#素人さん氏
筆名とは裏腹、企業対応部のスタッフの苦悩を描いた手法はなかなかの玄人ぶりを
みせた。「なぎさと修」シリーズのほかも期待したい。

#311氏
こころすくような、鮮やかな「暴言」で魅せた「あずさと五月」シリーズを見事に
完結させた。「最後まで書いてこその小説」という言葉からすれば、この人が一番
上手いのかも知れない。

#仮想戦記コミケット氏
台詞まわしで魅せた初期のライターさん。本スレッドの「血なまぐさい結末」とい
う方向性は、もしかしたらこの人が作り上げたのかもしれない。「やるしかない。
そうだろ?」という台詞の格好よさは本スレッド最強かも。

#ごめんなさい、へっぽこーさんの紹介はまた今度にさせて。どーも、方向性が見
定められない。

17 :桃のお店の中華娘 :2000/09/20(水) 06:30
>三文文士様
ファンです〜がんばってくださいませ。

18 :名無し :2000/09/20(水) 08:48
100以下に沈んでいるのでage

19 :字並べ屋 :2000/09/20(水) 12:29
キャラ名の件、言われてみて、初めて気がついた。
……言われてみれば、そうだよなぁ……。

ちょっと宇津だ……。

20 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/20(水) 12:48
主要執筆者紹介さん、御苦労様ですage。

今一度、前スレから全部読み直してみた。
サンデーライター氏、三文文士氏、字並べ屋氏を始め、様々な文体でどれも見ごた
えがあるが、やはり手動筆記人氏の琴美ちゃん萌えしてしまう俺はかなり駄目な奴
かもしれない(笑)。


21 :311 :2000/09/20(水) 15:07
主要執筆者紹介さん、紹介ありがとうございます。
感想が聞けるのはとてもうれしいです。
しばらく仕事が忙しく書けませんでしたが
また書きたくなってきました。

22 :311改めしーな :2000/09/20(水) 15:12
五月はチェック入りのマップを見ながら、目的のサークルを探して歩いていた。
まだ人手は衰える事がなく混雑した会場内を人ゴミにもまれながら進んでいく。
しばらくして休憩のためにやや空いている壁際に辿り着いた。

「‘*@(%‘J>ハ=~」
背筋に寒気が走った。
今聞こえた声。聞き覚えがある、もう忘れたい声。

それは間違いなく、スケブを叩き付けてやったあの厨房の声だった。
その男の姿を見つけ、五月は足が震え出すのを感じた。
男は何人か仲間らしい人たちと共に五月の方をちらちら見ながら話し込んでいる。
「構うもんか。まだ付きまとってくるならまた追い返してやる」
五月は男達を無視して歩き出した。

と、不意に男達とは反対の方向から腕を掴まれた。
「えっとぉ、サークル『Love4U』の五月さんでしょ」
男はなれなれしく話し掛けてくる。男は何が可笑しいのかヘラヘラ笑っていた。
「そうですけど…。あの、離してもらえますか」

男が合図すると先ほどの男達がやってくる。こいつも仲間だったらしい。
「いいじゃない、ファンなんだから。サインしてよ。ずっと本買ってあげてるんだし」
これだ。自分を何様だと思っているのだろう。
『買ってあげてるんだし』
サークル参加者も一般参加者も同じ平等な参加者のはずだ。
そこには『〜あげてる』等という感情は存在しない。
もちろん、買ってくれる人に五月は感謝したい気持ちでいっぱいだが、
お客様気分でコミケットに来るような厨房には、売りたくはないし読んで欲しくもない。

23 :しーな :2000/09/20(水) 15:14
「離さないと怒りますよ」
「いいじゃないのサインぐらい。あとついでに絵も描いてよ。ほらエアのキャ、ウギャ@`アイタタタ!!」
男が最後まで言う前に、五月は男の腕をひねり上げた。
男は惨めに地面に這いずくばる。
五月の周囲を囲んでいた男達が一歩引いた。
「イタタタ、ちょ、ちょっとなにすんだ、離せよ」
イタイのはお前の頭の中だ、と思いつつ、五月は男を開放してやった。
すぐに五月から離れて、仲間の中に逃げ込む。

「何すんだ」
「ひでぇな暴力かよ」
「ちょっと頼んだだけなのに」
「いい気になってるんじゃないか」
「ヘタレ絵のくせに」
「スタッフ呼べ!スタッフ!」
「いや、警察だ!」

男達は五月を遠巻きにして勝手な事を言い合っている。
最後までこんな厨房に関わらなくてはいけないのか。
スタッフが来たら取り調べのためしばらく拘束されるかもしれない。
あそこの本買いに行きたかったな…。
五月にはそれだけが心残りだった。

24 :しーな :2000/09/20(水) 15:16
「スタッフはまだか!早く呼んでこい!」
「その必要はない」
突然五月を囲んでいた男の一人が空中を飛び壁に叩き付けられる。
近くに長身の女性が立っていた。
眼鏡をかけていて、全身黒づくめの服がとても似合っている。
どうやら壁に叩き付けられた男は、この女性に投げられたらしい。
「な、何だお前は!?」
「ただの通行人さ」
「関係ないヤツがこんな事、許さないぞ、訴えて…」
黒づくめの女性は目の前の男に拳を一閃させる。
男は鼻血を拭きながらその場に崩れ落ちた。
「まだ騒ぐ者はいるか?」
五月の周りを囲んでいた男達は身を翻して逃げ出す。
が、その頭にコミケカタログがぶち当たった。
あの分厚いカタログを投げつけたらしい。これは痛い。
直撃を受けた男は起きあがることが出来ない。
「コミケカタログは最後の武器だ。頼むからこれを使わせないでくれ」
最早、逃げ出す事も出来ずに男達はその場にへたれ込んだ。

そこに数名のコミケスタッフが駆けつけてきた。
「遅いぞ」
「すみません」
「そいつらは強制退場だ。即刻追い出せ」
「はい」
「お前らみたいのがいるからコミケが終わるんだ。今後お前らはすべての即売会に立ち入り禁止だ。もし会場をうろついているのを見つけたらこんなものじゃ済まさんぞ」
厨房達はグダグダ文句を言っていたようだがすぐにスタッフに引きずられて行った。

25 :しーな :2000/09/20(水) 15:19
この女性もスタッフなのだろうか?それにしてはスタッフ腕章を付けていない。
しかしこの女性に助けられた事は確かである。
五月はお礼を言う事にした。
「あのすみません、助かりました」
「うん、大丈夫か」
黒づくめの女性は五月の頭をポンポンと叩く。
175cmはあるだろう女性にとって154cmしかない五月は子供扱いだ。

「困った事があれば私に言え、面倒事は引き受けてやる」
女性は名刺を差し出した。そこにはカワハラという名前と電話番号だけが記されていた。肩書きは何も無い。

「もう行っていいぞ」
「え、いいんですか」
「いい、悪いのはあいつらだ」

「あの、カワハラさんはスタッフなんですか?」
「いや、ただのおせっかいな通行人さ」
黒ずくめの女性はそう言い残して立ち去った。

26 :しーな :2000/09/20(水) 15:24
カワハラはコミケスタッフではない。ただの一個人だ。
だからこそ出来る事がある。
そしてスタッフになってしまえば、出来ない事がある。

さっきのような実力行使もその一つだ。
スタッフとして実力行使を行えば、スタッフ総意の上での行為と思われてしまう。
だからカワハラはただの一個人なのだ。
いざというときには自分一人が責任を被り、犠牲となる覚悟は出来ている。
それがわかっているからスタッフもカワハラを黙認してくれている。
自分のような役割の人間が世の中には必要なのである。
「もう少し早く気づいていれば、コミケも最後を迎える事がなかったのかもな。そしてレヴォもな…」

27 :しーな :2000/09/20(水) 15:27
「本当にツライのは、その場に居ない事だ」
カワハラの脳裏に決して忘れる事のない、嫌な記憶が蘇ってくる。
レヴォのスタッフになってX年、入院した友人の見舞いの為に初めてレヴォに遅れて行った日の事件。
今でもその光景が頭に焼き付いて離れない。

自分が着いたときにはすでに事件は起こっていた。
崩れ落ちたエスカレータ、押しつぶされる人々、流血、悲鳴、鳴咽…。
参加者の悲鳴が今でもカワハラの耳に聞こえてくる。
自分が事前にそこに居たところで防げたかどうかは分からない。
だが自分が事件が起こったその瞬間に、そこに居なかったという事実はカワハラの心をギリギリと締め付けていた。
「もうあんな思いはゴメンだ」
レヴォで出来なかったこと、やらなきゃいけなかったこと。
その為に自分一人の犠牲など、何の問題があるだろうか?
二度と後悔しないためにカワハラは今日もイベントを周る。

28 :サンデーライター :2000/09/20(水) 15:28
2000/12/30 12:32 東京ビッグサイト ガレリア

いつものように、田村はガレリア2階の東端でコンビニのおにぎりを食べていた。
田村の好きな明太子は売り切れていたが、代わりに買った昆布が意外と旨い。
隣では買付け部隊が、仕入れてきた本の整理をしている。
大手が軒並み販売停止を喰らっているせいで量は少ないが、それでもかなりのものだ。
自分用に引き抜いたお気に入りサークルの本を眺めていると、向こうから村中が来た。
「やぁ田村さん、首尾はいかがですか」
「大手を廻ってない分島を廻らせてるんで、掘り出し物が多いな」
「ほほぅ。あぁそうだ、掘り出し物といえば、面白い話を聞きました」
「なんだ?」
「ある大物作家が本を出すらしいんです。この天気で搬入が遅れているとか」
「大物作家? 誰だぁそいつぁ」
村中は回りの連中に聞こえないよう用心しながら、田村の耳元で小声で名前を告げた。
「そっそいつって、あのっ、週刊誌で連載やってる超大物じゃねぇか」
「ただ、部数が200程度しかないようです。どうしますか?」
「ガセネタじゃねぇだろうな?」
「本人がスペースにいたんですよ。だから間違いはありません」
田村はペットボトルの十六茶を一口飲んだ。
「そうか。それならこの目で確かめたい。俺にも意地というものがあるからな」
「そう言うと思いました。では私もご一緒しましょう」
田村は整理をしている数人に「オレも何か買ってくらぁ」と声をかけると、村中と共に雑踏の中へ消えていった。

29 :サンデーライター :2000/09/20(水) 15:34
>>16
>使いたい名台詞を最初に決め、それが使われるシチュエーションを構築する手法
ぐぎゃぁ! わたしのSS制作法がばれてしまったぁ〜!
ちなみに使いたい(使える)台詞集を作ってます(笑)。

30 :しーな :2000/09/20(水) 15:42
メアド間違っちゃった。

×shiina@mail.goo.ne.jp
○shiina2ch@mail.goo.ne.jp

鬱打詩嚢…。

31 :へっぽこー1号 :2000/09/20(水) 17:35
改めて自分のを読んでも方向がばらばらですね・・・。
精進が足りない・・・、勿論一番足りないのは文才ですが(TT)
こうなったら狂言回しに成ってみるかな・・・

32 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/20(水) 21:49
流れ書きさん続き待ってます。

33 :流れ書き :2000/09/21(木) 01:16
もうちょっとお待ちを……
私も本職が忙しくなっていますので。

でも、とりあえず書いてはいます。

34 :三文文士 :2000/09/21(木) 03:27
>紹介者さま
感想いただきまして、まことにありがたくあります。
緊急アピールは、過去の代表の文章の切り貼りなので、私の拙い文才ではなく、代表
のプロの文章ですから、そりゃいいものにもなると思います。いくつかつなげるため
に作った言葉もありましたけど。
今後は推敲に気をつけて(苦笑)、よりよいものをより安く、お客様に提供できるよ
う努めてまいります、ぢゃなくて、これじゃあ、本業だ、よりよいSSを目指して、
修練にはげんでまいります。

あと、ミケネコトマトなんて、あんなマニアックなゲーム、良くご存知ですね。
あれは、ドイツのアウフアクセという運送会社の戦いを表現したゲームの日本版翻案
(つーかパクリ)でして、タカラ(?)の、小さなボードゲームシリーズの一部です。
ミケネコトマト・バリカン便・飛脚便・ダックスフントエキスプレス(最後だけ自信
ない)の4社があるわけで、今度のコミケでは、ミケネコダイワ・バリカン便・赤犬
エキスプレスの3つ巴による壮絶な受注競争が繰り広げられるでしょうね(笑)。
ていうか、黒猫いれて欲しい…。

>サンデーライターさん
私も名言録ってファイル抱えてます。今度、フリーのメアドとって来ますので、交換
しませんか?

35 :サンデーライター :2000/09/21(木) 10:27
>三文文士さん
>私も名言録ってファイル抱えてます。今度交換しませんか?
をを、それは嬉しい。それほど沢山あるわけじゃありませんが、是非交換しましょう。
それと、ガーディアンズの設定も少しだけ用意してあったりする(笑)。

36 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/21(木) 10:55
100番以下なのでageさせて下さい

37 :三文文士 :2000/09/21(木) 13:40
じゃあ、以上のメアドまでご連絡ください。
あと、桃のお店の中華娘さんもメールいただければ(笑)

38 :ネギピロ :2000/09/21(木) 16:18
スレッド以降&紹介有難うございます(笑)>紹介者様

短期出向で接続環境になかったのと
「世界庭園物語」の初めの奴を書いた直後くらいに
2013年ネタから2000年ネタへの統一宣言(?)が行われ
どうすんべかなーと書きあぐねておりました
風呂敷広げすぎというのも大当たりですが(笑)

2000年ネタで何かやります

ミケネコトマトは自分もさんざんやりましたナー
1000円のパーティージョイにしては異様に完成度が高かったのは
海外物のローカライズだったからですか

39 :名無しさん@そうだ便所に行こう :2000/09/21(木) 19:59
>>34
最後の一つはホットドッグなんたらだったかと(^-^;
実在の会社からの違和感の少ないアレンジに大笑いした覚えがありまする>三文文士様

40 :流れ書き :2000/09/21(木) 22:55
12/28 17:08 某南U和駅・駅前コンビニ

 がしゃこんっ……がしゃこんっ……
 紙が、どんどんコピー機から排出されてくる。
 雅人は5枚単位で手に取ると、ページ組みごとにしっかりと揃えていった。
「……はぁ」
 とは言っても、揃えるのにも一苦労。
 1枚4頁ではあるが、全部で60ページだから15枚。それが200部分あるのだから……
「どーやって持ち帰れってんだよ、これ」
 もちろん、こういうことになる。
 計3000枚。
 うずたかく積まれた紙を見ながら、雅人は大きくため息をついた。
「よお兄ちゃん! 今回も頑張ってるねぇ」
 その声に後ろを向くと、ローソンのエプロンを着た男性がにこにこ笑いながら立っていた。
「あ、店長さん……すいません、なんかずっと独占しちゃってて」
「なあに、いいってことよ。いつも通り、トナーも満タンにしてるからよ」
「あ、ありがとうございます」
「それに、紙が無くなったらいくらでも言いな。まだまだ店の奥にストックがあるからよ」
「いいんですか?」
「もちろん。あんたはうちのお得意さんだからねぇ……っと、客だ客だ。兄ちゃん、がんばれよ!」
 そう言うと、店長はカウンターに戻って並んでいた客の接客を始めた。
 雅人はそれを見て苦笑しながらも、心の中で店長に礼を告げた。
 同人誌制作活動を始めて以来5年間、和人はずっとこのコンビニでコピー誌を印刷していた。
 最初は店長にも煙たがられたものだが、毎回夏冬居座ることで結局お得意様になってしまった。
 今では、ジュースを差し入れて貰ったりしているぐらいだ。


41 :流れ書き :2000/09/21(木) 22:56
「つかーれったじぶーんーをほめてあげたいっ……」
 昔流行った歌を歌いながら、雅人はふらふらと出てきた紙束を揃え続けていた。
 朝10時から印刷し続けて、もう7時間が過ぎている。
 まるで、無限に続く作業にも思えてくるが、別に雅人にとっては辛い作業ではなかった。
 本を作ることを楽しんでいるからこそ、コピーをし続けているのだが……
「眠ぃ……」
 流石に原稿徹夜明けとなれば、気力も続くわけがない。
「寝てぇよー……」
 弱音を吐いて、コピーに突っ伏そうとする雅人。

 こつん

 突然、頭に軽い衝撃が走る。
「こらっ、ちゃっちゃと作業する!」
「……遅かったな」
 雅人が振り向くと、佳織が大きいバッグを抱えながら立っていた。
「ま、ちょっと前日設営が長引いちゃってね。それより、どう? 進んでる?」
「ああ。とりあえずお前が切った台割どおりに面付けして、コピーしてるぜ」
「どれどれ?」
 そう言って、佳織は印刷された紙を1頁分ずつチェックし始めた。
「ふんふん……ちゃんと指定通りにやってるわね。マンガもちゃんと順番通りだし」
「当たり前だろ? 面付けとか、お前に仕込まれたんだからな」
「あはは、師匠として鼻が高いわ」
 中学時代、コピーも何も知らなかった雅人に技術を叩き込んだのは、他でもない和人だった。
 実際、同人歴は雅人より佳織のほうが長かったりする。
 幕張・晴海の1つ前、東京流通センターの頃に、パソケットなどに参加していた父親に連れられてきたのだ。
「さてと……コピーはあとそれだけ?」
「ああ。これが終わったら……どうやって持って帰るんだよ。外はアイスバーンだって酷いだろ」
「それならご心配なく」
 そう言うと、佳織は先ほど雅人にぶつけた携帯電話のボタンをプッシュし始めた。
「?」
「……あ、あたし。コピー本作ったんだけど、ちょっと量が多くて。この天気だから迎えに来てくれる? ……あ、OK? ありがとっ。お礼に、コミケで何か買っておくから。それじゃーねー」
 と、佳織はニコニコ顔で電話を切った。
「どこに電話したんだ?」
「あたしのお父さん。コミケだったらまかせろって、車出してくれるって」
「…………」
 親子揃って、筋金入りだ。
 雅人はそう思いながら、排出された最後の一枚を手に取った。



42 :流れ書き :2000/09/21(木) 22:57
12/28 18:08 コンビニ前

「すいません、わざわざ来ていただいて……」
 店長に渡された袋で仕分けした紙を積みながら、雅人は佳織の父・篤志に頭を下げた。
「あ、いいのいいの。せっかく二人が頑張って作ってる同人誌なんだから、俺もちょっとは協力させてもらうよ」
「でも、今日お仕事は?」
「コミケ準備休み♪」
「…………」
 こうあっさり言い切るあたり、やはり本物だと雅人は思った。
「佳織もコミケ準備で早退したからねぇ」
「は?」
「局を午前中に出て、そのまま設営行ったんだってさ」
「……根性ありますね」
 やっばり親子と言うべきか。
「うーん……まあ、これも俺が佳織を同人に染めちゃったからなんだろうけどね」
 苦笑いしながら、篤志は最後の包みをトランクに積み込んだ。
「でも、昔のまま変わらずにいてくれて……よかったよ」
「え?」
「あ、何でもない何でもない。こっちの話だから」
 手をひらひらさせながら、苦笑する篤志。
 その時、缶を数本持った佳織がコンビニから小走りでやってきた。
「お父さん、辻原、あったかいの買ってきたよ」
「お、サンキュ」
「ありがとな」
 缶入り汁粉を二人に手渡した佳織は、座席に座るとかたかた震える手でブルタブを開けた。
 そして、一口こくんと汁粉を飲む。
「はぁ……あったかーい」
「お前、それだけ厚着してまだ寒いのか?」
「しょうがないでしょ? 寒いものは寒いんだから……」
「あはは、雅人くん。佳織ってパソコンやってるときにはどてらとか着てるんだよ」
「ちょ、ちょっとお父さん!」
 怒ったように叫んで、佳織は運転席に座った篤志の頭に缶をぶつけた。
「ほ、本当のことでしょ!?」
「言っていいことと悪いことがあるわよっ!」
 そんな親子のじゃれ合いを見て、雅人は苦笑しながら佳織の隣に座った。
「ほんと、二人とも変わらねぇなあ」
「……ちょっとは変わったもん」
「ま、そういうことにしときますわ」
 佳織のポニーテールを引っ張りながら、雅人はからかい気味に呟いた。
「ちょっとぉ……」
「冗談だって」
「それじゃ、そろそろ行こうか」
 篤志はそう言うと、ドアを閉めて車を発進させた。

43 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/22(金) 10:16
佳織ちゃん萌え〜age

44 :サンデーライター :2000/09/22(金) 12:12
>三文文士さん
なんかgooのシステム更新が終わらないので、メールの送受信ができません。
復旧次第メールを送りますので、もし今までに送ったものがあったら
こちらからのメールが届いてから再度送信してください。

以上、私信のみで失礼。

45 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/22(金) 12:48
次々と萌えキャラが出てくるね。
そのうち、お絵かき板あたりに絵が載せられたりして。

46 :どーでもいいサイドストーリーだが。 :2000/09/22(金) 13:32
『ウェルカムウェルカムウェルカム』
「・・・チャーだっつーの!」
「あ?」
「・・・だ、か、ら!ゴールデンティーチャーだっつってんだろ!」
「ああああ!五月蠅くて聞こえやしねえ!オイ!そこのオチンポ頭のファック野郎!
このクソみてエな音楽を今すぐ止めやがれ!」
「聞こえねエのかよ!この音を止めろっつってんだよ!」
『生まれたーてーの朝日がー』
「ああ?!なんだって?!」
「ビチグソ野郎がよォーーー!死にやがれッ!」
「ぎゅう」
「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!ディージェーとしてこんなアワネーな死に様ってェのも珍しいなァ!」
「ったくよォー想像力の欠如だと思わねエかァー?!どんつくどんつくクソクダラネェー四つ打ちばっか流しやがってよォォォォ!!」
『今日もお掃除ーぴーかぴかー』
「ったくよオ、コミケも終わったっつーのによオ、あ?オイ、聞いてんのかクソッケツ野郎!」
『つ、ま、ら、なーいこと』
「だからよォォォォォォ!!!誰だよ加藤ってよォォォォォォォ!」
「なあ、何が悪かっただろうな?」
「さあ?始まれば終わるモンですよ。気にすることじゃあ、ありません」
「だからヨォォォォォォォォォォォォ!!!さっきから聞いてんだろォォォォォ!!答えやがれ
よォォォォォ!加藤って誰なんだよォォォォォォォォォ!!」
「なあ、ここにいるヤツラはなんでこんなになったのかね?」
「目線お願いしますッ!」
「頭がおかしいヤツがおかしくなった理由なんて考えると、こっちまでおかしくなりますよ」
「てめえ!何下から撮ってんだよ!」
『ウェルカムトゥーウェルカムトゥー』
「レオタード着てくれよ」
「だからよォォォォォォォォォ!」
「お、あのナコ結構イイ線いってるじゃん」
『頑張るにょーちょっとだけドジな』
「写真いいですかー」
「ええ?変わった趣味してますねえ」
「加藤って誰だよォォォォォォォ!」
「よく言われるんだ。ちょっとブスでないと駄目なんだよ」
『ウェルカムトゥーウェルカムトゥー』
「だから何パンチラ狙ってんだよてめえ!」
「声かけてこようかな」
「ネットにアップしてもいいですかっ!?」
「今度オンリー開くから来て下さいねー」
『今日も君が来てくれるのー』

「ふざけんなよォォォォォ!俺だって頑張ってるんだぜエエエエ?!」

『待ってるにょ』


どーでもいいことですが、コミックマーケット73=仮想戦記@コミケットです。ハイ。

47 :>46 :2000/09/22(金) 14:59
なにごとかとおもいきや、こすぷれだんぱか?!

48 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/22(金) 15:25
いや、きっと73のコスプレ広場なんだろう・・・


49 :サンデーライター :2000/09/22(金) 19:22
>三文文士さん
gooが復旧したのでメールを送りました。

他にも連絡などがある方は、>>28などに私のメアドが入っているので。
でもSPAMは送っちゃいや〜ん。

50 :素人さん@久々にネット接続 :2000/09/22(金) 22:48
いつのまにか2つ目のスレになってる…。
>16さん
紹介していただいて恐縮です。いいんでしょうか・・・。
SSを書くのはほんとに初めてなんですよ。いつもは絵描きです。
マンガ描くのとは別の楽しさがありますよね。

とりあえず佳織ちゃん萌え〜。

51 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 11:12
なんで土曜で祝日に仕事してんだよ俺は。
愚痴age

52 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 12:11
>>51
大丈夫、ここに同志が一人いるから。

だんだん、萌えキャラが増えてきたねage

53 :どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 15:00
おふらう使って前スレから全部読んだ。
とりあえず俺は五月ちゃん萌えって事で。
あと「佳織」って名前のキャラ二人居るのね。

54 :しーな :2000/09/23(土) 17:37
>>53
> とりあえず俺は五月ちゃん萌えって事で。
うひゃー、めっちゃうれしいです。
うーん、一人でも萌えてくれる人がいてくれて嬉しいです。
書いた甲斐がありました。
ありがとうございます〜。

55 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:07
かなり長くなるけど、投稿していいかなー?

56 :どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 23:09
OK.

57 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:10
その前に聞いておきたいんですが、sageなくていいですか?
あと、これからも続けていきたいんですけど。


58 :どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 23:15
まあ一応下げとけ。あとネタさえあれば続けていいぞ。

59 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/23(土) 23:17
つーかもうコミケット73は書かないのか?個人的にはこのスレのNO.1で一番楽しみにしてるんだが・・・

60 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:20
とりあえずsageでやってみよう。問題あったら指摘お願いしマス。
 
 『えー、嘘、終わってほしくなーい!』
 『終わるって言っても、休止宣言なんでしょ?』
 『青春でした』
 『最近の買い専ってガラ悪ぃーから。徹夜だとか、ダミーサークルだとか、列とかも。
 ほら、前の夏コミ、『ヒッターダッシュ』、けが人まで出したじゃない』
 『今まで続けられたって事が奇跡なんすよ。米沢さん、今まで良くやったって感じす』
 『別に、レヴォもあるし。どうせコミケの後釜狙ってる企業もあるだろうし』

 「インタビューされる側も危機感が無いわ」
 TVを見ていた洋介はビールをひとくち啜って、そう毒づいた。
 「コミケが終わるってことは、他のイベントかて終わる可能性があるってことに、
  いいかげん気付っちゅうのに……」
 「まあ、関東だけでも月に何十とあるからね、オンリー入れたら」
 洋介の顔を見ずに、机に向かったまま佐和子はそう返した。
 「みんなそっちに戻るだけのこと、なんじゃないの?」
 「せやけど、ウチら、どうすんの」
 「んー」
 洋介の質問に生返事で答えて、佐和子は手を休めずにペンを走らせている。
 「このジャンルやってきて三年目、やっと前のコミケで300出て、狂喜乱舞しとったやん」
 「んー」
 「他のイベントやったら、オンリーでもええとこ100行くか行かんかやで。
  在庫もこんだけあるし」
 洋介はあぐらをかいた足をのばして、テレビを支えている段ボール箱をつついた。
 「まあ、俺等がプロデビューしたときにお宝同人誌ゆうて、ハケさせるしかないか」
 「ふふふ」
 関西育ちの洋介には相づちで笑ったことくらいすぐに分かる。
 洋介は面白くなさそうに、苦いビールを飲み干すと、腰を上げた。

61 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:23
「電話使うで」
 「ん」
 洋介は電話機のジャックを抜くと、テレビを消し、その隣のパソコンラックの後ろへ顔を映した。
 「いいかげん、ここの下宿から離れへんのかいな、お前」
 腕を伸ばす。モデムの接続口まであともうすこしだ。
 「んー、家賃安いし」
 「……TVとパソコンと、クーラー入れたらブレーカー落ちる二間の下宿に
  女の子が住むっていうのが理解できへん」
 「未だに親と同居してるアンタよりマシ」
 「……」洋介はそれ以上何も言わず、パソコンの電源を入れた。
 「あー、そうだ。アンタ、そのえっち臭い壁紙、直して返ってよー」
 「なんや、ほったらかしやったんかいな」
 「8月からずっとそのまんま。妹来たときに思いっきり引かれたんだからね」
 「フォトショップとイラストレータだけしか使えんていうのも問題やと思うけど……。
  せめてホームページくらいは作れるようになりーや」
 パソコンを買うのに付き合ったのは洋介だが、彼女の今の状況を見ると、
 せっかくの高いスペックのこのマシンを値切った甲斐もないというものだ。

(まだ続く)

62 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:29
「あー、あと、この原画も取り込んどいて、立ち上げたついでに」
 佐和子は書き上がった原画で洋介の背中をつついた。
 「へいへい」
 洋介はそれを受け取ると、マウスをかちかちと鳴らしながら、
 ディスプレイの画面を切り替えていく。
 「……それ、弥勒みさきの夏に売ってたやつでしょ」
 胸の部分や、股間の部分しか覆われていない半裸の少女の絵が、蠱惑的に画面からこちらを見つめている。
 「おお、ダンセー向けに興味を示さなかった佐和子さんとは思えぬ発言やね」
 「列整理もヘタなくせにあれだけ客あおって騒動おこしたら、いやでも知るわよ」
 弥勒みさき、ヒッターダッシュというサークルの漫画家だ。
 ファンの間では一冊千円の同人誌に2万の値がつき、限定本はネットオークションで
 十数万で売れたという伝説も残っている。イベントでは毎回行列ができ、前回のコミケでは
 行列に押されてけが人まで出てしまった、最大手の漫画家だ。
 「あんたも列んで、よく買えたわね」
 「いや、CD焼いて貰っただけ」
 佐和子の顔がますます呆れたものに変わる。
 「しかし、やっぱりこういうエロを描いてかんと、やっぱり売れんねんで、今の時代」
 「言っとくけど、あたし、エロなんて絶対描かないからね」
 機先を制して佐和子が言うと、洋介はやれやれと首を軽く振って、ディスプレイの壁紙を消去した。
 「やおい同人誌は好きなくせになぁ……」
 「だからってやおい描いてるわけじゃないじゃない」
 「寸止めホモな」
 「寸止めっていうなー!」
 「大体このジャンルでホモかエロに転んでないん俺等だけとちゃうんか」
 「いいでしょー、それで300売ったんだから!」
 「俺のおかげやと思え」
 「字書きが何をエラソーに!あたしの挿し絵なかったらあんたなんてファンレターもこないわよ!」
 「あーっ、お前、サイッテーやな、そう言うこという絵描きが多いから……」
 モデムのがりがりと割れた音が鳴り終わると、洋介はメールをチェックする。
 「あっこら、勝手に人のメール見るな!」
 「あ……ごめん、ついいつもの癖でやってもーた」

(まだ続く……)

63 :カレー屋さん :2000/09/23(土) 23:35
だが、次の瞬間、洋介は画面の端をちらと見て驚いた。「え?」
 「あーっ、だから、見るなって!」
 「いや、お前、70通もメールくんのか?一日に」
 「んなもの、来るわけ無いじゃない」
 「いや……今、72件、メール読み込んでんねんけど」
 洋介は画面を指さした。佐和子がその部分をのぞき込むと、なるほど確かに、
 『72通のうち三通目を読み込み中』と描かれてある。
 「スパムか……」
 洋介の表情が変わった。
 「スパム?」
 「いやがらせメール」
 「いやだ、わたしのパソコンにウイルスなんて入ってるの!?」
 「いや、そうじゃなくて……」
 洋介は受け取ったメールを次々と開封しないで破棄していく。
 「うわー、メールボックス満杯まで入れてるわ。ようやる……」
 「治るの?」
 「いや、だから……」
 『声明文』と書かれたタイトルのメールを消すだけの話しだ。
 だが単調な作業に紛れて、問題のないメールも入っているから厄介この上ない。
 「あ、まっちーからだ」
 やっと作業が終わりつつある中、受信欄には、洋介も知っている名前が差出人の手紙が多くなってきた。
 「……とりあえず、こんなもんかな。まあウイルスとかは入ってないと思うけど、念のため、な……って、おい」
 洋介の隣から顔を出した佐和子は、彼からマウスを奪うとメールの開封欄を押した。
 「あのー、顔近づいてるんですけど」
 「離れてよ」
 「お前いいかげん俺が男やってこと忘れてないか?」
 「襲う勇気も無いくせに」
 「……」
 佐和子の一言に洋介はいたく傷ついたらしく、それ以上何も言わないで、彼女から身体をずらした。
 「……うそ」
 佐和子は画面を見たまま、そう呟いた。
 「ん?」
 「さっきのメール、まだ残ってる?」
 「いや、全部消した」
 「……こういうメールだったみたい」
 まっちーと署名のあるメールには、最初にこう記してあった。
 『へんなメール届いたんだけど、そっちはどうよ?
  こういうの。
 タイトル:声明文
 名前:オタむぎ茶 投稿日:2000/09/23(土) 23:29
 
 コミケを終わらせた張本人、369を殺す』

 それはあきらかに、ただの悪戯書きのように見えた。
 だが、佐和子には、何か不吉な前兆のように見えてならなかった。

(今夜はこれでおしまい……ここに登場する人物・団体名は実在のものと
 関係ないですので)

64 :腐女子の視点から :2000/09/24(日) 00:29
他に川×笹木とか穂並み×馳せ側とか太刀川×切り沢とか考えてました。
ええ、解ってます。逝ってきます…。

65 :コミックマーケット73 :2000/09/24(日) 00:46
いや、こう、なんといいますか、みんな59書いてるのに一人だけ73もなあ・・・という気持ちでありまして、
え、オマエモナに出しますので、それで一つ。あ、ちなみに46は73のほうではなく、自分としましては59が
終わったあとのコスプレダンパと言いますか、まあ、騒いでるのは日野と神保なんですけど、そのようなもののつもりで、ここはひとつ。

66 :サンデーライター@手首負傷 :2000/09/24(日) 02:01
>「コミックマーケット73」
私は「59」の後も何らかの形で(名前だけでも)存続して、
2012年冬に開催されるものと捉えています。
だから書いてはいないけど、それに繋がるように考えています。
「終わるコミケット」の続編が「終わるコミケット 2012」って感じで。

あと、オマエモナに「終わるコミケット」(59の方)の予告編集みたいなものを
出そうかと考えているんですが(まだ考えているだけ)いかがでしょう。
ライターの方々がOKと言うなら、こちらで編集して(多少手を加えます)出したいのですが。
なんだったらコミックマーケット73さんと合体で取るとか(笑)

67 :Jr :2000/09/24(日) 02:10
今、時系列を整理してそれぞれの出来事のタイムチャートみたいな物を
書いてます。ネタをリンクさせる場合の参考になればと思って。
俺はこういう裏方的仕事の方が向いてる気がしてきたっすよ。(笑)
作品はまた思い付いたときに書いてくんで……。

>>64さん 霧沢には杉名がいるんで、立川×高島のオヤジ受けはどーでしょ?(汗)

>サンデーライターさん 俺は全然OKです。
つーかオマエモナ行くかもしれないので出てたら自分で買うかも。(笑)


68 :流れ書き :2000/09/24(日) 03:10
>サンデーライターさん
うちも全然OKです。で、行くかもしれません(藁

今現在、先書いてます。
佳織はオタク少女っぽく書いたつもりなんですけどね(^^;
さて、これからどーするか……

あ、うちもコミケは続くという前提です。

69 :三文文士 :2000/09/24(日) 03:35
>執筆者各位
謝辞・エンディングテロップを造ろうかと思います。
自分としては、ガメラ2とパトレイバー2を足して3で割ったぐらいのマジメさ・
不真面目さで行きたいなぁと思っております。
執筆者各位の参考文献、参考資料、あとお世話になったものなど教えてください
ませ。適当にでっちあげます(笑)

オマエモナの一件、当方も了解。なお、どーにか通信でもなんでもいいので、私
が入手する方法を作っていただけると幸甚の限り。


70 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/24(日) 13:39
>オマエモナの一件、当方も了解。なお、どーにか通信でもなんでもいいので、私
>が入手する方法を作っていただけると幸甚の限り。

それキボンヌ。
オマエモナに行けないけど読みたいって人が必ずいると思うので。

71 :サンデーライター@手首負傷 :2000/09/24(日) 15:11
>どーにか通信でもなんでもいいので、私
>が入手する方法を作っていただけると幸甚の限り。

>オマエモナに行けないけど読みたいって人が必ずいると思うので。

単純にMicr○s○ft W○rd(伏せなくてもいいじゃん)の文書として作るつもりなので、
それを添付ファイルとしてこちらから送ればいいと思います。
あとは各自プリンタでプリントアウト&製本。
あ、オマエモナでもフロッピーで頒布しようかなぁ(藁

72 :手動筆記人 :2000/09/25(月) 02:14
ども、悪人です(笑)
空気病に感染したり月の光に導かれたりエイエソの世界に旅立ったりしているうちに
何やら周りが急展開してるみたいでちと浦島太郎な気分だったり(^^;

>>66
えと、自分とこのパートの挿絵を描いてみたいんですがいかがなもんでしょうか?
つーか、オマエモナ01にサクール参加しようかどうか未だに迷ってたり。

>>69
一応、現時点での参考文献は2ch・自分の人生経験(笑)ということで。
これから混ぜる予定のものとしては「東京地獄変」(横山信義)
「メドゥーサ」(かわぐちかいじ)・「瑠璃」(ほんまかずひろ)
「僕の村の話」(尾瀬あきら)が有りますが…ってどんな話になるんだ?
お世話になってるBGGは「AIR」「MOON.」「ONE」「Kanon」(予定)ということで(笑)

…つーか、オイラの頭の中ではキクコさんは10/29時点でエイエソの世界に
旅立っちゃってたりするんですが…(<ヲイ)
前スレ558から続く話をどうしようか考えあぐねているうちに、さらに
続きを思いついたのでとりあえず前半部をUp。後半は明日の今頃予定。

#ちなみにハヤリのようなのでFreeのメアドを取ってみました。
handwrite@lycos.ne.jp


73 :手動筆記人 :2000/09/25(月) 02:17
2000.11.02 PM08:49 新代田・ラーメン四郎

この日、吉村正通はスーツ姿で少々不機嫌そうにカウンターに座っていた。
『いやぁ、こういう店に一緒に行ってくれそうな人ってあんた以外に
思い付かなくってさぁ、にははっ』
「そりゃ、四郎が食える奴なんて男でもそうは居ませんけど、だからって
 いきなり会社に電話かけてくるこたぁ無ェんじゃねっスか、先輩?」
『”先輩”なんて肩肘張らずに、昔どおり”晶”でいいよ、にははっ』
正通の隣に座っていた先輩−六角晶−は、そう言いながら正通の肩を
ぱしぱし叩いた。ダークグレーのワンピースに身を包んだ晶の姿は
最前線で活躍するキャリアウーマンそのものであり、更に全身から
”大人の魅力”とでも呼ぶべきオーラがふんだんに発散されていたが、
小脇に抱えた”とらのあな”のロゴ入りの手提げ袋が彼女の魅力を
ことごとく台無しにしてしまっていた。
「じゃあ、晶さん…」
『なに、吉村? にははっ』
「…その”にははっ”ての、やめてもらいませんか? 俺とみりんとの
 ときめき想い出ダイアリーが台無しになりそうなんスけど」
『そう? 喜んでもらえるかと思ったんだけどなぁ』
晶は平然とした表情で言い放つ。
「そんな、うちの妹と同じこと言わんといて下さい。それでなくても
 この前実家に帰ったときに”お兄ちゃん、待ってたにょー!!”って
 言われてえれー落ち込んでるんスから」
途端に店内に笑い声が響きわたった。
『ひゃーっはっはっは、こりゃ傑作だわ。あんた絶対血が呪われてるよ』
晶は笑いながら正通の肩をばんばんと叩く。正通は迂闊なネタを振って
しまったことを後悔しつつも”この人は相変わらずだなぁ”と安堵した。
自らがオタクであることを全く隠そうとしないのも、他人が周りに居ても
全く気にすること無く大声で笑ったりするのも、全ては晶の底抜けなまでの
大らかさが根本にあった。


74 :手動筆記人 :2000/09/25(月) 02:18
「お客さん、ニンニクは入れますか?」
カウンター越しに店長さんの快活な声が掛かる。ラーメン四郎の注文方法は
少々特殊で、出来上がり直前にトッピングの量や味の濃淡を聞かれるのだ。
「じゃあ、ヤサイ多めで」
正通はそう答える。普段の注文は”ヤサイニンニク”なのだが、今日は連れが
居たため少々遠慮した。
『じゃあ、あたしはヤサイカラメアブラニンニクで』
しかし、その連れが晶だったことを失念していた。
「こ、この人は…」
『…ニヤリ』
正通は、自分の迂闊さを呪った。

トッピングが完了したラーメンがカウンター上に置かれる。
キャベツとモヤシを水煮したヤサイと脂身たっぷりの分厚い叉焼が上に乗り、
うどんのように太くコシの有る麺が器から溢れんばかりに大量に入れられて
いる。カウンターの向こうに目線を移すと、スープを濾す際に使う玉網には
脂がつららのごとくぶら下がっており、店中には獣をまるごと煮込んだような
臭いが充満している…
ラーメン四郎とは、もはやラーメンを超越した別次元の食物であり、それは
”至福”か”悪夢”かのどちらかにしか解釈できない極端な代物だった。
ふと隣に目をやると、そこには”絶望”と銘打つべきオブジェが有った。
正通が注文したのは「小豚」という、叉焼が少々多めで麺は普通(それでも
他の店から見れば特盛クラスだが)のものだったが、晶が注文したのは
「大豚W」という、麺も叉焼も未曾有な量が盛られた代物だった。
しかもヤサイも大盛でトッピングしているため、標高が頭一個分にまで
達していた。マウンテンのかき氷もビックリだ。
『吉村、ボーっとしてると麺延びるよ』
晶はこともなげに山を食べ崩してゆく。
正通は少々呆れながら自分のラーメンを食そうとしたとき、晶の右手の
人差し指に絆創膏が巻かれいることに気付いた。
「晶さん、その指どうしたんスか?」
『あ、コレ? …ちょっと、トーンナイフで刺しちゃってさ』
「もしかして相変わらず蓋付けないでトーンナイフをペン立てに刺してる
 んスか? アレ危険だからやめろ、って大学時代に俺も含めて周りから
 散々言われてたじゃねっスか」
『うん、そうだったね…』
晶は一瞬箸の動きを止め、再びもの凄い勢いて麺をすすり始めた。
「ったく、しょーがねェな、この人は」
正通も、晶に遅れまじと食べ始めた。


75 :手動筆記人 :2000/09/25(月) 02:21
二人は閑散とした新代田駅ホームのベンチに座って電車を待っていた。
『いやぁ、食った食った』
晶は満足そうに自分の腹を叩いていた。
「食った食った、じゃ無いっスよ。晶さん、俺の豚盗ったでしょ」
正通はすっかり呆れていた。晶は正通がコップに水を汲みに行った隙に
叉焼を二枚ほど強奪し、そのうえ自分のラーメンは汁一滴すら残さぬ
までに完食してしまっていたからだ。
『据膳食わぬは男の恥、って言うじゃん。にははっ』
「晶さん、諺の意味が違います。それ以前に性別が違います。
 つーか、その”にははっ”ての、いーかげんにやめい!」
『ところで吉村、あんた冬コミ申し込んだの?』
晶は正通の訴えを意にも介さず、唐突に質問してきた。
「まぁ、もう俺にとってコミケは人生の一部みたいなもんですからねぇ」
正通も戸惑うことなく即座に話題を切り替える。
「…とはいえ、今回はいつものジャンルじゃ無かったりするんですけどね」
正通は不適にニヤリと笑った。
『へぇ、あんたのことだからハム太郎本でも作るのかと思ってたけど…
 もしかして、あんたギャルゲー系にでも移るつもりなの?』
「…移ったら何なんスか?」
正通は少々ムッとした表情で答える。
『あっちにあんたの居場所なんて無いよ。少なくとも、晴子さんが
 悪魔号にまたがって観鈴んちの納屋に突っ込むような漫画を描いて
 くるような人間なんて全く相手にされないよ』
「違いますよ、スラムキングのコスプレをした晴子さんが、ドラゴン
 騎馬軍団を率いてみりんの納屋に次々と突っ込んで来るんですよ」
『なお悪いわ!』
「…心配しなくても、AIR本とか作ったりはしませんよ。あの手の信者を
 からかうのはエヴァで懲りましたし。つーか晶さん、いったい俺の
 漫画を今までどーゆーイメージで見てたんスか?」
『やぶうち優と漫☆画太郎を足して2で割ったような作風』
「…いや、否定はしませんけどね。地獄甲子園は俺にとってバイブルですし」
『しっかし、ギャルゲー系じゃないとしたら、一体どのジャンルに移ったの?』
「…じゃあ、晶さんだけには教えてあげますよ」
『え、なになに?』
正通は、膝の上に置いていたソフトアタッシュケースを開き、中に入っている
ノートパソコンを取り出した。
『これって…シンゴパッド?』
「だから、うちの妹さんと同じギャグ飛ばさんといて下さい。こいつはThinkPad
 X20…IBMが全世界に送り出した最新最強のモバイルノートパソコンっスよ」
『で、それがどうかしたの?』
「こうするんですよ」
正通は電源キーを押下してサスペンドレジュームを走らせた。

----------
#本日はここまで


76 :流れ書き :2000/09/25(月) 03:10
>>69
参考文献ですが、
・コミケカタログ36〜58
・コミックマーケット20周年資料集
・「みずほちゃんNON STOP!」(山口りな)
・「蒼い薔薇 黒い薔薇」(幽遊白書やおい同人誌・借り物)
といったところで、今後も増えていきそうです。
第1候補、某J○QRの「Aニゲマスター」(藁)
佳織が放送局に勤めているという設定を使って……あ、佳織のモデルになった人にも感謝(藁

下北沢&コミ○ットサービス周辺で、何かネタにできんもんかなあと画策中。

77 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/25(月) 03:13
終わるコミケットオフってやったら来る人いるかなぁ
書き手&読み手が参加して元ネタなんかを暴露しあったりするの。
いや自分は幹事できないのだけど。

78 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/25(月) 09:50
>自分は幹事できない
だったら書くなよ

79 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/25(月) 10:23
聞いてみたかっただけなのでは?

80 :サンデーライター :2000/09/25(月) 11:10
>>69 三文文士さん
私の参考文献などですが…
コミックマーケットカタログ、コミケット20周年資料集、チェンジ、
会場測量図面、前日設営マニュアル、申込書、アピール
などが直接コミケットに関係する資料ですね。
それ以外のものは、もうごちゃごちゃ(笑)。
でもやっぱり自分の参加経験が一番大きいかな。

>>72 手動筆記人さん
いいですね、イラストが入るのは。
ついでにイメージカットのようなものがあると、他のパートにも使えて便利かも。

81 :サンデーライター :2000/09/25(月) 11:48
どうもgooメールの調子がよろしくないので、exciteでメアドを取り直しました。
今までに何か送った方は、お手数ですがsundaywriter@excite.co.jpに再度送信してください。

82 :しーな :2000/09/25(月) 13:20
>>72
>手動筆記人さま
> …つーか、オイラの頭の中ではキクコさんは10/29時点でエイエソの世界に
> 旅立っちゃってたりするんですが…(<ヲイ)

うひゃー、そうだったんですか。
好きだったんで出してしまいました。>キクコさん
エイエソの世界ってKANONネタですよね?
KANONやってないんで、イマイチわからないのですが、
死んだってことではないですよね?


前スレの432
> 雪上に残る足跡の先に人影が見えてくる。どうやら女性のようだ。

これがキクコさんかと思ったのですが、ハズレていたでしょうか?

83 :ネギピロ :2000/09/25(月) 15:28
2000年12月

本番前最後の拡大準備会
結城仁史(ユウキヒトシ)の最後の配属部署は誰もが予想していた西館混対ではなかった
普段は浦安の某巨大テーマパークで働き、混雑対応のスペシャリストとして知られた
彼の硬軟取り混ぜた混対スキルは「C58のいわゆる大崩壊は結城がいれば起こらなかった」
とまで言われるほど高度な物だ
今回は千代田のやんごとないお方の件もあり人の出入りが比較的管理しやすい西館には
意図的に多数の吸着剤サークルが配置されている
西館で前回以上の混乱が起こるのは誰の目にも明らかだった
だからこそ西館のスタッフは前回とは比べようもないほどの最精鋭が配置され
結城の西館配属も代表とホール長の間で内々に話が付いていたはずだった
(少なくとも結城はホール長から直接そう言われたのだ)

「メアリ…対?」
それが最後のコミケットで結城が配属された部署の名前だ
正式名称は「ブラディーメアリー対策係」と言う

代表の緊急アピールで突然の終焉を余儀なくされたコミックマーケット59
寝耳に水のこの知らせに皆が混乱し
抽選終了後はダミーサークルがスペース自体をオークションにかけるという事態まで
引き起こした(そしてこれがかなりの値段で売れた)
そんな中、当落報告やスペース売買弾劾スレッドが乱立する2ch同人版に
ブラディーメアリーと名乗る人物が一つのスレッドを立てた

84 :ネギピロ :2000/09/25(月) 15:30
私は最後のコミケット開催期間中、衆目の前で自殺する

1 名前:ブラディーメアリー 投稿日:2000/11/24(金) 01:14
私達はコミケットが無くなったら生きていけません
生きていても仕方がありません
だから開催期間中に私達は会場内で自殺します
冗談でも煽りでも荒らしでもありません
私達は本気です

当然のようにこのスレッドにはお決まりの駄レスが付いた程度で放置されていたのだが
12月に入り突如事態は加速する

17 名前:ブラディーメアリー 投稿日:2000/12/10(日) 03:28
誰も信じてくれないので私達は行動します
私達の内一人が今日ビックサイトクリエイション開催中に自殺します
会場で死ぬと即売会自体が中止されるかもしれません
だからナチュラルに中央線に飛び込むことに決まりました
それだけでは疑い深い2ちゃんねらー達に信用して貰えないので
飛び込む寸前に再度このスレッドをageます
事故時間と照らし合わせてください


192 名前:ブラディーメアリー 投稿日:2000/12/10(日) 11:36
短期間の内にスレッドが育ってうれしいです
さようなら

果たして12月10日、午前11時37分、中央線中野駅にて予告通り人身事故が発生する
遺体からは「女性である」と言うことしか判別できなかった

馬鹿な厨房がこれをマスコミにリークした為、ブラディーメアリーの「予告」は
爆発的に広まり衆目の目に触れることとなった
当該スレッドは即刻削除、警察を初めとするあらゆる団体から準備会に対して
異例の中止要請が出された
準備会上層部は、急遽臨時の拡大集会を招集しスタッフ全員に二者択一を強いた
「コミックマーケット59を断行するか中止するか」
スタッフの意見はほぼ真っ二つに割れた、数の上では断行派が若干上回ったが
上層部の殆どは中止派に回った


85 :ネギピロ :2000/09/25(月) 15:32
2000/12/27 <前日設営日>

「全く迷惑な事してくれるよな」
メアリ対の統括に任命された結城は前日設営のさなか独りごちた
「でも、これだけはちゃんとやっておかないと、当日になってから対応するのは実際問題不可能だもの」
後ろでビックサイトの図面に印をしていた統括補佐の堀之内未雪(ホリノウチミユキ)
がそんな結城の独り言に反応する
「まぁ、それはそうなんですけど」
後何カ所回るのかを考えると頭が痛くなる結城だった

ブース参画企業及び印刷会社組合からの圧力、宮内庁からの要請(年明けにも再留学するらしい)
中止しても死ぬというブラディーメアリーの恫喝等々、様々な要因が考えられたが
「最後のコミケットは最後までやり通します」
と言う代表の発言でコミックマーケット59は問題を孕みつつ開催されることになった

当日になれば万単位の体温で暑ささえ憶える会場内も前日設営中は勝手が違う
搬入用にあらゆる扉が開放されたホール内はかなり寒くボールペンを持つ未雪は
時折手で口を覆っては手を暖めていた
「次は渡り廊下の防火扉、その前にトイレ周りか、今日中に終わるかな?」
「かくれんぼするには最高の場所だな、ここは」
「はいはい、途方に暮れない」
結城達メアリ対の本日の仕事は「シーリング」だ
人が隠れられるようなあらゆる場所(千代田区のお方の絡みで配管やダクトまで網羅した
詳細な設計図面が準備会側にあったのは幸いなのか不幸なのか)の扉に業務用のビニール
粘着テープを貼っていく、これを毎日点検することで不測の事態を防ごうという物だ

86 :ネギピロ :2000/09/25(月) 15:34
「衆目の前で死ぬって公言した人間が隠れて死ぬわけねーじゃねーか」
充実感も達成感もない単調な作業に独りで居るとつい愚痴が出てしまう
「結城君ちょっと良い?」
丁度男子トイレをシールしていた結城に未雪が声をかけてくる
「何です?」
「ちょーっと気になる物見付けちゃったんだけど…」
そう言って未雪は結城を女子トイレに強引に引きずり込む
「ちょっと、未雪さん、まずいですって」
「良いじゃない誰が居るわけじゃなし」
「そう言う問題じゃないでしょう」
「これ、このおりもの入れから時計の音がするの」
確かにこぎれいな小箱から時計の秒針音のような物が聞こえる
「これを俺に開けろっていうんですか?」
「時計機能の付いたおりものなんて世界中何処のメーカー探してもないもの、絶対怪しいって」
「開けて何もなかったら俺、変態じゃないですか」
「大丈夫、誰にも言わないから、頑張れ男の子!」
「頑張れって……絶対、誰も入れないでくださいよ」
「つーかもしこれが爆発したら、俺は女子トイレで爆死するのか…」
「ごちゃごちゃ言わないでさっさと開ける!」

ビックサイト内に人の隠れられる場所はおよそ3000ヶ所にのぼり
これを30人のメアリ対で点検すると言う地味な作業は前日設営時間を丸々費やして終了した

「ご協力感謝いたします」
本庁の爆薬物処理班長から敬礼され結城もぎこちなく返礼する
「イヤーなんか私達感謝状貰えるって、地道な努力は報われるのねー」
簡単な事情聴取を受けていた(第一発見者だから)未雪がニコニコしながら戻ってくる
「アンタ何もしてないじゃないか!」
<前日設営終了、特に異常なし>


皆様お久しぶりです
果たして三日分書けるのか?(笑)

87 :俺も五月さん萌えなのだが(;´Д`) :2000/09/25(月) 15:39
>しーな様
エイエソの世界はONEネタだったかと(やったこと無いけど
KANONは「奇跡」ネタですな。

作家の皆さん頑張って下さいね。影ながら応援しております〜。

88 :へっぽこー1号 :2000/09/25(月) 17:33
2000年12月10日 18:22 湾岸署捜査部
師走のこの時期、世の中と同じように警察署も忙しい
交通の混雑、空き巣や窃盗、要人警護もかなりある、
僕は刑事部捜査1課は殺人、凶悪犯罪の担当なのでそこまで影響は無い
実際の所は応援等で忙しいのだが警備課長の話が気になり、独自に調査をしていた
調査をすると何点か気になる事が解った、尋常ならざる警備の強固さ、デマ情報の錯綜、
そして歌舞伎町でのコミケスタッフの変死体
今だ、それらは何のつながりを持っては居ない、いや、元々つながってはいないのかも知れない
でもそれらは確実に同じ濁流の中にあると思える、そう破滅という名の濁流だ

一通りの考察を終え、署のパソコンからインターネットを接続する、まだアナログ回線なのが悲しい
接続している間に夕食のキムチラーメンにポットからお湯を注いだ、キムチの匂いが部屋に広がる
回線の接続が終わり、2chと呼ばれるBBSサイトの「ニュース速報」を開く・・・なかなか開かない
落ちてるのかと思ったが単に重かっただけのようだ、しかしこの時間にそこまで重くなる事は無い
項目を見ると、ブラディーメアリーという人物に対するスレッドが乱立している
一通り目を通す事にする、そこにはとんでもない事が書き込まれていた
「おいおいマジかぁ?!」思わず麺と共に大声で素っ頓狂な声を出してしまう、
すぐ、第四方面(中野警察署の管轄)の知り合いに確認の電話を入れる

「ありがとうございました」
電話越しに礼ををし、受話器を置く
色々な事を聞けたが結局の所情報の氾濫が烈しく、実情をつかめていないらしい
・・・やはり全ては破滅へ向かっている、何とかしないといけないな・・・
生来の正義感が膨れ上がるのを感じて居ても経っても居られなくなってきた。
管轄外の僕が何処まで出来るか解らないけど、コミケ周辺の事件を調査していこうどうもへっぽこー1号です、相変わらず中身の無い文章ですね・・・(鬱)
とりあえず、今後この刑事さん(名前募集中)がいろいろ起こるであろう
事件を未然に解決できるかどうかをやっていけたらいいなぁと思っています

89 :へっぽこー1号 :2000/09/25(月) 17:37
改行が飛んでる・・・何で・・・こんなのばっかりなのかな・・・
後ろから四行目は
管轄外〜中略〜調査していこう
で本文が終わり、後は解説?が続きます、読みにくくて申し訳御座いません

90 :しーな :2000/09/25(月) 17:43
>>87
そうでしたか。ご指摘ありがとうございます。
それと、五月ちゃんに萌えて下さってありがとうございます。(^^)
自分はKANONもONEも持っているんですけどまだ未プレイなんです。
手動筆記人さんのネタを理解するためにも、早くプレイしなくては…。


サンデーライターさま
>>66
> ライターの方々がOKと言うなら、こちらで編集して(多少手を加えます)出したいのですが。
私もOKです。出たら是非購入したいです。


三文文士さま
>>69
> 執筆者各位の参考文献、参考資料、あとお世話になったものなど教えてください
一応私の参考文献は
・Cレヴォのカタログ
・電撃大王7月号「混対の虎」
ってことで。
#どっちもキクコさんネタ。

91 :手動筆記人 :2000/09/25(月) 21:09
自分の文章を読み返してたら、参考にしてる文献が結構有ったので紹介をば。

「同人誌即売会禁止令」(ひのきいでろう:同人誌)
内容は前スレ296で書いた通り。ティアズマガジンパーソナルコミックスに
なっているので、コミティアに行けばまだ在庫が残っているかも。

「りびんぐゲーム」(星里もちる)
前スレ432冒頭部の元ネタで使用。誰も突っ込んでくれなかったのでここで紹介(笑)
あと、琴美さんの性格強化用サンプルとしても適時使用。

「電脳やおい少女」(中嶋沙帆子)/「Fri-friリーフ」(蒼月ひかり)
オイラの心のオアシス(笑)

>>80
背景とメカは苦手なんで勘弁してくだちい(^^;
「ビッグサイト東館の天井を見上げるような構図」なんて頼まれたら、とりあえず泣きます。

>>82
既にフォローが入ってますが、元ネタとしては「ONE」です<エイエソ
とりあえず「この世では無いどこか」らしいです。

”先客”に関しては、以下の独白が用意されていました。

「…私は、クイーンになんかなれなくても良かったのに」

危険な展開になりそうだったので止めて良かったのかも、俺(^^;
まぁ、"先客”に関してはリンかけにおけるテリオスのようなもの、ということで。

#そういえば「よりぬきキクコさん」とゆー同人誌が出てたような。


92 :Jr :2000/09/25(月) 22:56
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt
とりあえず簡単にまとめました。
過去スレにあったアカウント、勝手に使わせて貰ってます。(汗)

俺のネタが載ってねぇ!とか
時間(日付)間違ってるぞゴルァ!とかはメール下さい。

三文文士さん
>>69
>執筆者各位の参考文献、参考資料、あとお世話になったものなど教えてください
小説のブギーポップ、パトレイバーのコミックス、あとカタログです。
……何処が? とか言われそうだ。(笑)

93 :しーな :2000/09/25(月) 23:30
手動筆記人さま
>>91
なるほど先客はそっちの彼女でしたか。
キクコさんはコミケまでの間に、
なんとかこっちの世界に帰ってくるって展開は不可能ですかね。(^^;

> #そういえば「よりぬきキクコさん」とゆー同人誌が出てたような。
キクコさん本は2冊出ているみたいですが、私は持ってないです。
Kじゃ高くて買えないっす。(T_T)

> 「りびんぐゲーム」(星里もちる)
> 前スレ432冒頭部の元ネタで使用。誰も突っ込んでくれなかったのでここで紹介(笑)
ああ、なるほど元ネタはいずみちゃんでしたか。
琴美ちゃんも補導員に捕まっちゃいそうですね。


Jrさま
>>92
どーでもいいことですが、
五月のスペースに現れた厨房の外見の描写は全然してなかったのですが、
デブオタと書かれていたのが個人的にウケました。

94 :>Jr.さん :2000/09/25(月) 23:46
どっかで見たURLだと思ったら、前に私が取ったアカウントです。

ftp.xoom.com

ID : doujin2
Pass : doujin

元々デスクトプ公開用に作ったんですが
今は全然使ってないんで、もしファイルの共有がしたいときは
このスレの方々も自由に使っちゃって下さい。


95 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/26(火) 03:04
突然「終わるコミケット名ゼリフシリーズ」
>>前スレ195
『最後のコミケなんだよ』(日高トキコ)に一票。
この一言にいろんな思いが詰まっている様に感じます。
コミケにかける思い、妹を思いやる姉、姉を思いやる妹。
とにかく個人的には一番好きなセリフ。

96 :サンデーライター :2000/09/26(火) 10:09
>>92 Jrさん
これは便利だ(笑) 今後の参考にさせてもらいます。

97 :サンデーライター :2000/09/26(火) 12:58
タイトルイメージを作ってみました。
http://members.nbci.com/doujin2/logo.gif
544×266ピクセル 7961バイト 透明化&インターレースGIFです。白い背景用ってことで。
黒い背景の場合は、「終わるコミケット」の文字を白にすれば良いでしょう。
WordArtで並べたのをGIFにしただけなんですけどね。

98 :流れ書き :2000/09/26(火) 17:26
「ふぅ……」
 渋滞の列を見て、篤志は小さくため息をついた。
「雪道にみんな慣れてないのかねぇ、スリップ事故だなんて」
 先ほど通り過ぎた電光掲示板には、事故渋滞の文字が煌々と表示されていた。
「ちょっと時間かかっちゃうね」
「雅人くん、親御さんには連絡しなくて大丈夫かい?」
「あ、大丈夫です。俺もう門限ないですから」
「へえ、あのコミケ嫌いだった親御さんが許すなんてねぇ」
「その代わり、今は母親に動物グッズ買ってこいって言われてますけど」
 苦笑して、雅人はシートに身を預けた。
「んじゃ、認めてはもらっているんだね?」
「ええ。まあ、昔に比べれば」
「それはよかったじゃないか」
「それに比べて、あたしん家は両親が……だからねえ」
「よかったじゃないか、理解がある親で」
「ありすぎもいい所よ……」
「あはは、確かにそうだねぇ」
「他人事みたいに言わないでよ! お父さんのこと言ってるんだからね!?」
「あ、そうだったの?」
「そうよっ!」
 やっぱり、親子だよなぁ。
 雅人はそう思いながら、二人の顔を見比べた。
「そういえば、今雅人くんは何のジャンルやってるんだい?」
「あ、えっと……」
「あたしと同じジャンルよ」
「なるほど、創作少年か……あれ? 確か、前はパロディやってなかったっけ?」
「はい。今も少年マンガのパロディやってますけど、メインは創作です」
「そうなんだ。ちなみに、どのくらいジャンル変わった?」
「んと、一時期はアニメからコンシューマに行って……」
「美少女ゲームに行ったんでしょ?」
「ぐはっ!」
 言いよどんでる雅人を遮るように、ぼそっと言う佳織。
「へえ、メジャーどころに行ったんだね」
「でも……すぐ出てきましたよ、あそこからは」
「え?」
「俺、あそこには合いませんでしたから……」
 ため息をついて、雅人はぼそっと口を開いた。
「あんなの、異世界ですよ」



99 :流れ書き :2000/09/26(火) 17:27
1999.08/15 Sun. 11:08 東京ビッグサイト

「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
 雅人はで売り子をしている同級生にそう言うと、足取りも軽やかにスペースから出ていった。
「行ってらっしゃい〜」
 普段だったら昼頃までいた雅人だったが、この日ばかりは別だった。
 雅人が最近ハマったゲームの同人誌が、今回のコミケで初めて出るのだ。
 とは言っても、2ヶ月前に発売したばかりのゲームなので、初めてなのも当たり前なのだが。
 人混みを掻き分けて、雅人がさらに人混みの中に入っていく。
 普段のコミケだったらまだ通れる余地があったのだが、目的のジャンルに近づくにつれて、まるで壁のように掻き分けるのも困難になっていった。
 仕方なく、雅人は入口付近のほうへ戻って、通路を辿っていくことにした。
「列に2列でお並び下さい! 危険ですので、他のサークルへ行く方々の妨げにならないようにしてください!」
 スタッフの怒号が、ざわめきなどとともに飛び交っている。
 何だと思いながら、雅人はサークルリストと天井のブロックナンバーをちらっと確認した。
「……ここだな」
 そう言いながら目をやった場所には、雅人が今まで目にしたことがない光景が広がっていた。
 島にもかかわらず、いくつも延びている列。
 他の一般参加者が通れないほど、ひしめき合っている通路。
 さらに、今まで嗅いだことのないキツい異臭。
「うわぁ……」
 多少違和感を感じながらも、雅人はその混雑を見て、ゲームの人気さを感じ取った。
 そして、自分がチェックしたサークルを捜していると、そのサークルの最後尾プラカードがちらちらと動いていた。
 雅人がそこに並ぶと、大体20分ぐらいしてスペースへと辿り着いた。
 期待して、本を開く雅人。
 が……
『な……何だよ、コレ!』
 その本を見た雅人の目が、見開かれる。
 ゲームのストーリーをなぞっただけのマンガ。
 どこかで見たようなストーリーのマンガ。
 キャラに動きも表情もないイラスト。
 腑に落ちないものを感じながら、雅人は他のサークルも見ていった。
 だが、多くのサークルがありながら、雅人はそのジャンルの本を一冊も買うことはなかった。
 どれも「楽しくない」と感じたからだ。
 本当にゲームが好きなら感じられる「好き」というオーラ。
 だが、どの同人誌からもぞんざいさを感じた雅人は、どれも買おうとはしなかった。
 たちが悪いのになると、ストーリーを無視したものまであった。
「売れればいいな」というトークのある同人誌までも。
 それは雅人を失望させるのに十分ではあったが……まだ、これで終わりというわけではなかった。


100 :Jr :2000/09/26(火) 18:33
首都高での事故なんですけど、発生は28日と29日、どっちでしょう?
関連する作品は169、210、500(サンデーライターさん)と
547、548、585(百円ライターさん)辺りなんですが。(今までまとめた分だと)
一応、↓では28日事故発生にして、交通情報を一日分前倒しにしてみたんです。
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt
これだと30日放送分の交通情報を追加するだけでOKっぽいんで。

日付を明確にせずパラレルな世界のまま進行って手もあるかも。
(最初からそのつもりで書かれてるのでしたら申し訳ない。)
この事故、ネタのリンクに結構使われてるみたいなんで聞いてみました。

101 :ログ保存人 :2000/09/26(火) 20:17
http://ueno.cool.ne.jp/endofcomike/

ここにログを保存しておきました。
さらに執筆者紹介なども。

皆様、頑張ってください。

注)私見で感想とか言ってもいいでしょうか?

102 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/26(火) 20:25
感想はsageでいいんじゃん?
あるいは >>101 のところにある掲示板を使うのはどうよ?

103 :Jr :2000/09/26(火) 21:59
2000 09/26 22:00
グランコート若宮 622号室

デスクライトの灯りの下で、ペンを走らせる音が微かに響く。

 9月26日 (火) 曇り
  今日は桂一と一緒に出かけてきた。今日で閉鎖しちゃう高級レストランへ。
  大学生の男女二人が、それなりの格好でレストランで食事してる所は、
  周りから見ればやっぱりカップルに見えるのかな?
  少なくともあたしはそう見られたかったんだ……でも、桂一はいつも通り、
  冬コミの新刊を出すための取材みたいにしか考えてない。

  冬もまた、夏と同じ制服系サークルで申し込んである。当落はまだ解らないけど……。
  もし冬コミに受からなくてもサークルをやめるワケじゃない。
  だから桂一が冬の新刊に対して熱心なのはいい事だと思う。
  コスカフェ合わせの予定だった本は落としちゃったしね。

  けど、少しくらい他の事にも……そう、例えば、周りの女の子に
  ちょっとぐらい興味を持ってくれたっていいじゃない。
  帰り道でも、あたしに大事な話があるって言うから期待して聞いたら
  『なあ佳織、新刊のメインだけどさ、メイド系とウェイトレス系、どっちにする?』
  って……。高校生の頃とちっとも変わってない。けど、あたしは結局そういう、
  何かに対して打ち込む桂一が気に入って、今まで一緒にやってきたんだ。
  たぶんこの先も……

書きかけの日記を閉じ、伸びをしてから大きなため息を吐く杉名。

(あーあ、これじゃ中学生のお子さまだわ……。
 この歳になって何やってんのよ、あたしは……。)

104 :Jr :2000/09/26(火) 22:33
目指せヘヴォン(ヌ)スレ逝き……。

105 :百円ライター :2000/09/26(火) 22:54
>Jrさん
タイムテーブルをまとめて頂いて、非常に助かります。
自分としては、首都高の事故は28日だと思っています。
サンデーライターさんの事故の話を勝手にぱくった(笑)設定ですから、28日
で問題無いと思います。
時間的には、前日搬入で首都高を通るサークル関係者が付近を通過するような時
間帯だと面白くていいかもしれません(笑)。

>サンデーライターさん
自分も賛成させていただきます。
つーか、当日買いに行きます(笑)。

>ライター各位殿
そろそろ、二日間のジャンル配置を決めてみた方が話が創り易いのでは無いでし
ょうか?どのジャンルがどういう位置に付くかで、発生するトラブルもあるでし
ょうから。
ただ、この件はライター各位からだけではなくこのスレッドを見ているサークル
関係者やスタッフの方にも考えてもらった方が、蓋然性と説得力とトラブル性(
笑)に富んだ配置が生まれるかもしれませんね。

106 :サンデーライター :2000/09/27(水) 01:32
>有明の事故
わたしは1日目(29日)のつもりで書きました。
日付を勘違いしていた頃のなので、28日になっているのだと思います。
でも首都高はしょっちゅう事故があるので、29日に事故渋滞があってもおかしくは無いです(笑)

で、今回は資料を。C59のジャンル&配置予定日です。ソースは申込書

C59ジャンルコード&配置予定日

1日目
82 FC(少女):闇の末裔・CLAMP
83 FC(青年):ヤングキング・ヤングマガジン・ヤングアニマル・ヤングサンデー・ジャンプ(少年ジャンプを除く)・アフタヌーン・モーニング・ビッグコミック・バーズ・ガム・ビーム・トライガン・頭文字D
84 FC(少年):少年サンデー・少年マガジン・少年チャンピオン・少年ガンガン・ボンボン・GAO・柴田亜美・手塚治虫・最遊記・超人ロック
87 FC(ジャンプ):車田・C翼
88 富樫義博:幽遊白書・レベルE・HUNTER×HUNTER
89 封神演義
52 ワンピース
53 SLAM DUNK:井上雄彦
54 アニメ(少年):リューナイト・ラムネ&40・CF・卒業M・E.M.U.・FSS・勇者・エルドラン・ロードス島・Weiβ・ポケモン・トルーパー・KAIKANフレーズ・あかほりさとる
55 アニメ(その他):声優・評論・情報・テレ東深夜枠・衛星枠(CS・BS)・NHK・児童・ガイナックス・ジブリ・AIC・オルフェ・高田裕三・藤島康介・伊東岳彦・麻宮騎亜・スレイヤーズ・ナデシコ・ビバップ・忍たま・リヴァイアス
57 ガンダム:全シリーズ
32 ゲーム(格闘)対戦格闘(ストリートファイター・VF・ヴァンパイア・鉄拳・サイキックF・VG・DEAD or ALIVE・あすか120%・ヴァーチャロンなど)・POWER STONE
33 SNK(格闘):KOFシリーズ・月華の剣士・侍魂・龍虎の拳・餓狼シリーズ
35 ゲーム(電源不要&オンライン):ボードゲーム・カードゲーム・テーブルトーク・PBM・MtG・Ultima Online・Diablo・Baldur's Gate
38 ゲーム(その他):評論・情報・アクション・シューティング・シミュレーション・アドベンチャー・パズル・クイズ・落ち物・サウンドノベル・音ゲー・プライズ・SRW・どこでもいっしょ・バイオハザード・ドラキュラX・ワルキューレ・パワードール・川背・ポヤッチオ・ブラックマトリスク・スペースチャンネル5・ウィズハー・デバイスレイン・マリー
47 ゲーム(RPG):幻想水滸伝:ゼルダの伝説・DQ・FE・オウガバトル・魔人学園・シャイニングフォース・スペクトラルフォース・ラングリッサー・ヴァルキリープロファイル・俺の屍を越えて行け
48 スクウェア&アトラス(RPG):FFタクティクス・チョコボ・ゼノギアス・PE・Saga・聖剣・フロントミッション・女神転生・メルティーランサー・グローランサー
49 ゲーム(育成):アンジェリークシリーズ・アルバレアの乙女・BOY×BOY・フェイバリットディア・ファンタスティックフォーチュン・エラン・遥かなる時空の中で・アリスブルー
80 FC(小説):探偵小説・ミステリー・ハードボイルド・フジミ・間の楔

2日目
10 創作(少年)
11 創作(少女):動物
12 創作(JUNE)
15 学漫
16 評論・情報:批評・イベント・飲食物・服飾・郵便・旅行・医療・ドール
21 アニメ(少女):魔法少女・ウテナ・レイアース・CCさくら・セーラームーン・守護月天・どれみ・魔法使いTai!・アキハバラ電脳組
28 ギャルゲー(PC)(初出がパソコン):ソフ倫もの・脱衣麻雀・Leaf(Aquaplus)・Key・F&C・アリスソフト・elf・AIL・B-room
29 ギャルゲー(CS)(初出が家庭用ゲーム機):恋愛SLG・育成SLG・ときメモ・センチ(ジャーニー含む)・サクラ大戦・久遠の絆・Lの季節・プリメ・卒業・プルブレ・ユナ・悠久・エタメロ・デジキャラット・シスタープリンセス
34 同人ソフト:自主制作(ソフト&ハード)・CG・MIDI・CD・ネットワーク・BBS・ポストペット
20 創作(男性向)・アニメ(男性向)・ゲーム(男性向)
60 歴史:歌舞伎
63 創作(文芸・小説):オリジナルの創作物(詩・俳句・短歌・替え歌・放送劇など)
67 SF・ファンタジー:ハヤカワ・創元
68 特撮:アメコミ
69 鉄道・メカ・ミリタリー:バス・モータースポーツ・おもちゃ・ガレキ・車。バイク
71 音楽(洋楽・邦楽):T.M.R-e・及川・PB2・野猿・DAPUMP・アジア系男性アイドル
72 音楽(男性アイドル)
73 TV・映画・芸能:必殺・舞台・演劇・ミュージカル・宝塚・女性アイドル・女性アーティスト・お笑い番組・吉本
75 スポーツ:F1・相撲・競馬

配置日未定
90 その他

107 :字並べ屋@せめてレスくらい…… :2000/09/27(水) 02:44
>>64 腐女子な方
 その手の想像はご自由にどうぞ(笑)。
 ただ、筆者的には衝動的な長谷川×仕方ないとあきらめ気味な穂波がお勧め
だったり……って、やぶ蛇だったかな、こりゃ?
(実は家で熱にうなされながら、そんなプロットも書いていたり……)

>>66 サンデーライターさん
 すっかり、お返事が遅くなりました。
 もし、当方の駄ネタ程度で末席の名誉を賜れるのでしたら、ご遠慮なくお使
いくださいませ。
 何か質問などありましたら、この度、取得しましたフリーのメアドまでご連
絡いただけましたら幸いです。
 あと、できましたら、配布の方も……(笑)。

>>69 三文文士さん
 参考文献・参考資料・お世話になったものですが、ちょっとまとめきる自信
がありません(苦笑)。
 故に少々お時間の方を頂戴したく。

>>92 Jrさん
 お疲れさまです。
 こう言う資料があると、情報の共有やら確認がやりやすくて助かります。
 ありがとうございました。
 ちなみに西4ホールで語っているスーツ姿と戦闘服姿のスタッフは、穂波と
笹倉だったりします。
 ちょいとさわりたい気持ちでいっぱいだったりもしますが(苦笑)。

108 :字並べ屋@補足っす :2000/09/27(水) 03:00
>>107
 ここで触りたいと言っているのは、無論、自分の駄文のことです(涙)。
 紛らわしくて、申し訳ないです、はい。

109 :ログ保存人 :2000/09/27(水) 04:40
>>101のHP、いろいろ修正しておきました。
あと、百円ライターさんの修正が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

ちなみに、LHAアーカイブにまとめて欲しいって人、います?
HPに置いておきますけど。

110 :手動筆記人 :2000/09/27(水) 11:40
(前スレ#558からの続き)

『あ…』
ふと、琴美は離れたところに立っていた”先客”と目が合った。
刹那、先客は深々と頭を下げる。
『お兄ちゃん…』
琴美は正通の脇腹をつつき、先客の方を指さした。
正通は一瞬ばつの悪そうな、恥ずかしげな表情を浮かべたものの、
すぐに表情を普段の無愛想なものに戻し、先客のほうに向き直して一礼した。
琴美も兄に倣ってワンテンポ遅れてお辞儀をする。
「…そろそろ帰るか」
『うんっ!』
正通はワールドインポートマートに視線を移す。
コミケほどでは無かったものの、数多の思い出を与えてくれた会場。
初めてサークル参加したときは2桁の冊数すら売れず、これなら魔法少女
オンリー即売会のほうがよほど売れてた、と敗北感に打ちひしがれた。
それでも懲りずに参加し続けてたら、エヴァの謎が何たらと蘊蓄を垂れる
電波な客がやって来たので「ネルフに帰れこのボケ!」と言ってやったら
殴り合い寸前の大喧嘩になった。
コミックキャッスルファイナルの時は、元々空調がそれほど効かない会場
設備と一般参加者の臭気との相乗効果で館内に光化学スモッグが発生し、
それに巻き込まれて3日間寝込むハメになった。
…ロクな思い出が無かった。

『お兄ちゃん、どうしたの? 何だか顔色が悪いよ』
「いや、なんでもない。とっとと帰るぞ」
『あ、お兄ちゃんそんなに急がないでよ。雪で転んじゃうよ』
後ろで琴美が騒ぐのを無視して、正通は早足で立ち去ろうとする。
しかし、思い直して立ち止まると正通は振り返り、心の中で呟いた。

 ”さよなら”

直後、正通は胸のあたりに衝撃を感じた。
『…どうしていきなり立ち止まっちゃうかなぁ』
琴美は急には止まれなかったらしい。
「しかし、さっきは俺に急ぐなとか言っときながら、やけに早足に
 なってなかったか、お前?」
すると、琴美は指をすっと前に突き出した。
『あたし、知ってるんだからね。あそこがアニメイトだってこと』
勝ち誇ったように胸を反らす。何に勝ったのか謎だったが。
「何でチミはそういうことばっかし詳しいのかね…」
正通はがっくり肩を落とした。アニメイト池袋店はかつてK-Booksが
入っていたビルを全館借り切り、日本最大のキャラクターショップとして
生まれ変わっていた。
『さぁ、とっとと行くよ! カイゼルスパイクのグッズを沢山買うんだから!』
「せめてライジングインパクトにしてくれ…」
かなり張り切り気味な琴美の後ろを、正通はとぼとぼと付いて歩いていった。

『ところでさっきの女の人、もしかしてお兄ちゃんの知り合い?』
琴美の質問はいつも唐突だ。
「さぁ?レヴォのスタッフか何かじゃないのか?」
『だよね、お兄ちゃんに異性の知り合いなんか居るわけないもん』
「悪かったな、女の知り合い居なくて‥‥‥ああっ!」
『わぁっ、いきなり大声出さないでよ』
「あの人だよ!」
『何が?』
「さっき言ってた”おっかねぇスタッフ”って、今御辞儀してたあの人だよ!」
『ええ!? 嘘、だって全然おっかなく無かったよ、さっきの人』
「だよなぁ、イベントになると気が高ぶる人なのかなぁ」
『何かスーパーサイヤ人みたいだね』
「それは違うと思うが…まさか、あの人がカワハラキクコだったのかなぁ」
『誰それ?』
「チミは知らなくてもいい世界の人だ」
『もぉーっ、いじわるしないでちゃんと教えてよー』

スペイン坂を降りようとする直前で正通はもう一度振り返り、呟いた。

”さよなら、そして、ありがとう”


111 :手動筆記人 :2000/09/27(水) 11:44
…つーわけでちと方向転換してみました(”逃げ”ともいう)
いや、みつみ女史vs影虎隊長というのも書いてみたかったんですが
後々怖いことになりそうなノデ(笑)
もっと怖い敵&展開を思いついたし。

#ちなみに、メイト池袋店の話はマジです(^^;
ttp://www.animate.co.jp/east/ikebukuro.html


112 :流れ書き :2000/09/27(水) 16:13
2000.10/19 Sun. 10:55 池袋サンシャイン

 それからも、雅人の行くイベントは御難続きだった。
 自分が面白い本を作ればいいと思って参加したオンリーイベントなどで蘊蓄野郎に巻き込まれたり、隣にハチマキやキャラの法被を来て奇声を上げているサークルに運悪く遭遇したり、果てには両横がダミーサークルということまで経験した。
 だが、その度に「次があるさ」と思って、雅人は懲りずにサークル参加を続けた。
 夏コミが終わってからも「せっかく応募したんだから」と、Cレボで最後の本を刷って参加しようと決めていた。
 それが、トドメになるとも知らずに。

「ふぅ……」
 人の気は移ろいやすいもの。
 隆盛を極めていたジャンルは早くも廃れ始め、その次の作品の同人誌へと皆が移行し始めた。
 手に取って見てもらえることも少なくなり、また雅人自身もすでにやる気が失せていた。
 今回で3度目になる「Cレボ」への参加だったが、雅人は既に次回申込書を捨て、またいつもなら参加していたオンリーイベントのチラシも、全て屑入れに捨てた。
 何も、そのゲームが嫌いになったというわけではない。
 もしろ、そのファンの輪に加わるのが嫌になったのだ。
 異教徒・狂信者とも言うべきファンの群れ。
 夏コミで訣別を決めていた分、その姿が雅人には滑稽に見えていた。
 雅人のサークルを訪れるたび、その次回作を強引に奨めて、さらには「やる」と言って、金板を手渡す者もいたが、それもあえなく屑入れへ。
 既に、雅人は別のジャンルへ移ることを決めていた。
 昔のジャンルへと。
「今日は早めに撤収するか……」
 在庫もまったく捌けず、来る人々も話すことは新作ばかり。
 ――こういうことがあるから、俺はプレイしたくないんだ。
 心の中で吐き捨てながら、雅人は早くも手回りの物をしまい始めた。
「よう、ばよさん」
「あ、すーさん」
 雅人のP.N.、ばよえーんを呼んだ男は、そう言ってスペースの前で立ち止まった。
 すーさん……鈴木隆博。このジャンルに雅人が入ったころからいた、ある意味ジャンルの先輩だ。
 人懐っこいせいか慕われやすく、雅人も幾度か隆博の世話になったことがあった。
「どうだい? 売れ行きは」
「さっぱりですよ。30持ってきて1冊も売れないんですから……このジャンルの他のサークルも、みーんな売れてませんよ」
「そうかぁ……早かったな、流行が去るのも」
「まあ、それがこういうジャンルの常なんでしょうけどね」
 雅人はそう言って、苦笑いを浮かべた。


113 :流れ書き :2000/09/27(水) 16:14
 隆博のほうはというと、すでにこのジャンルからは撤退し、今はコンシューマー系のアクションゲーム同人誌を作っている。
 だから、こんなところで会えるとは、雅人は露にも思っていなかった。
「すーさん、今日は本買いに来たんですか?」
「いや、知り合いの手伝い。でも、知り合いも売れなくてさ。だから、ぶらぶらして見回ってるわけ」
「なるほど。どうです? 帰りにDDRやってから一杯」
「お、いいねぇ」
「今日でここもやめるつもりなんで、その相談もありますけど」
「まかせなさいまかせなさい、おにーさんが相談に乗ってあげるよ」
 笑いながら、隆博はわざとらしく胸を叩いた。
「ところで、新作ってどうなんです?」
「あー、もうありゃダメだろ。自分の世界作りすぎてて、一般には追いつけないわ」
「前ブランドの二の舞ってわけですか」
「アキバとかじゃ、まだ初回限定版が山積みだぞ。ったく、あの在庫整理はどうするってんだよ」
「また付加価値付ければ、また買ってくんじゃないですか?」
「まったくだ」
 二人はそのご当地ジャンルということも忘れ、誰彼はばかることなくそんな話を続けていた。
 その時だった。
「……? 何だ?」
 突然、ホール中がざわめきたった。
<――ぞ!>
「……え?」
<行けっ! 早く行かないと売り切れるぞ!>
<突っ込めぇぇぇぇ!!>
「!!」
 その瞬間。

 ガシャアァァァァァァァンッ!!

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
 ガラスの破砕音。
 女性の金切り声。
 サークル参加者の悲鳴。
 そして……
「おりゃあぁぁぁぁあ!!」
 突っ込んでくる、一般参加者の群れ。
 突然の、破局の始まりだった。


114 :流れ書き :2000/09/27(水) 16:15
 入口は許容量などとうに超え、ドアは破壊され、回りのガラス壁も人の圧力によって破砕・あるいはひび割れを起こしていた。
「やめろ! 潰すんじゃねえ!」
「行け! 323のAir本を買うんだ!」
 サークル参加者と、一般参加者のせめぎ合い。
 さながら戦国時代とも言うべきだが、死兵と化した323ファンにサークル参加者たちが適う術はなかった。
 次々とサークルは押しつぶされ、売っていた本も、人も、次々に目の逝ってしまった一般参加者の足蹴にされてゆく。
「てめえ、本踏むんじゃねぇ!」
「いいかげんにしろ、オラッ!」
 そんな中で、雅人や隆博も他のサークル参加者と同じ、今いるスペースを死守しようとした。
 たとえ興味は薄れたとはいえ、自分の作った本を踏まれるのだけは抵抗があった。
「うるせぇ! どけっ!」
「ぐあっ!!」
 参加者の一人が雅人の顔面に肘を叩き込んだ拍子に、雅人は思わず倒れ込んでしまった。
「やべ、ばよさんっ!」
 それを見ていた隆博は、雅人の上に腹・肩・胸・顔といった急所を覆うように被さった。
「す、すーさん……」
 意識が朦朧としていた雅人だったが、本能的に机からこぼれた自分の本を片手でかき集めていた。
 だが……その本は既に足跡が付けられ、表紙もボロボロに破かれていた。
 悔しい。
 許せない。
 自分の瞳から溢れ出る、涙。
 それが頬を伝うのを感じながら、雅人の意識は急激に遠のいていった。

 雅人が目覚めたのは、病院だった。
 そこには隆博の姿はなく、看護婦に聞いてもその名前の人は運ばれてこなかったということで、雅人は不安な夜を過ごした。
 そして、次の日……

『池袋、真昼の惨劇』
『マニアの祭りが血を生んだ』
『精神異常者の集団? サンシャイン大破壊』
 一般紙・スポーツ新聞各社の一面に、大きな文字が踊っていた。
 さらにはニュースやワイドショーでも特別枠を組み、重軽傷者が運ばれた病院や名簿などが、幾度も繰り返し報じられた。
 さらにはコメンテーターたちが行ったこともない即売会の異常さを煽り立て、世の中は同人誌に対して冷たい視線を向けるようになる。

「違う……」
 病室で呟きながら、雅人はまた涙を流していた。
「こんなの、誰も望んでねえよ……」
 外人コメンテーターが即売会を罵倒する様を見て、悔しくなっていた。
 参加したこともない人間に、言われたくなんてなかった。

 コミケの次回限りでの終了が、米沢代表による手書きのアピールで伝えられたのは、一ヶ月後、11月12日のことだった。


115 :流れ書き :2000/09/27(水) 16:15
12/28 19:12 車中

「……それで、鈴木くんはどうしたんだい?」
 篤志は、ハンドルを握りながら雅人に尋ねた。
「すーさんは、どこにも入院してなかったみたいなんです。
 いくら名簿をTVで見ても、新聞で見てもなかったし……P.N.というわけでもなかったし……」
 雅人はそう言って、ため息をついた。
「無事だと、いいんですけど……」
「連絡はとれてないのかい?」
「あの人とは、即売会でしか会ってないんですよ。連絡先も、何も渡されてないんです。インターネットもやっていないって言ってましたし……」
「じゃあ、それから会ってないんだ……」
「ああ。でも……あの人だから、元気だと思うんだけどさ」
 苦笑いする雅人。
 死者は出てなかったのだから、その点は安心できるのだが。
「そうだね、便りがないっていうのは、元気な証拠だと思うよ。
 それで、雅人くんは美少女系をやめたんだね」
「はい。もう、あんな所に居たくなかったですから……」
「あたしだったら、最初の時点でもうやめてたな……つまらない本ばっかのジャンルなんて、いたくないもん」
「でも、雅人くんは自分で本を作ってどうにかしようとしたって訳か」
「無駄……でしたけどね」
「そんなこと、ないと思う」
 自嘲的に言う雅人を遮って、佳織は首を横に振った。
「永瀬?」
「あたしはそんな経験したことないけど、辻原はがんばろうとしたんだもん。そういう経験は、あたしはマイナスにはならないと思う」
 微笑む佳織。
 それを見て、雅人は思わず気恥ずかしくなった。
「そ、そうか……?」
「佳織の言うとおり。失敗も経験のうちって言うじゃないか」
「だよね。それに、辻原はまわりに染められようとしなかったんだし。
 この間も思ったけど、あまり自分を追いつめることはないと思うよ?」
 ぽんっと、佳織は雅人の頭に手を置いた。
「……なんか、手放しに喜べないんだけどな」
「気にしない気にしないっ」
「そそ、女の子に撫でられるなんて、そうあることじゃないぞ?」
「撫でてないもん」
 いい親子だ。
「うりっ」
 そう思いながら、雅人は佳織の頭を撫で返した。


116 :流れ書き@オマケ :2000/09/27(水) 16:16
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<東都新聞 2000年10月20日朝刊>

「池袋サンシャインで暴動事件」
 マニアの即売会、血の惨劇

 真昼の歓楽街が、血と悲鳴に染められた。
 十九日午前十一時半頃、東京都豊島区の池袋サンシャインシティ文化会館・ワールドインポートマートで、重軽傷者千二百名の暴動事件が発生した。原因は同日に開催されていた同人誌展示即売会「コミックレボリューション」で起きた流言によるもので、参加者の多くが文化会館のホールに殺到、破壊活動を繰り返した後、中にいた別の参加者と小競り合いを繰り返した。また、同時刻に重量過多によりエスカレーターが崩壊。同即売会は即刻中止となり、傷害による逮捕者も出た。被害者千人を超す惨劇は、マニアによる同人誌即売会で起きてしまった。

 プレミア同人誌の流言が原因

「人気同人誌作家による、人気ゲームの同人誌が出る」この流言が会場を駆け巡ったのは、事件発生からたった五分前だった。それを聞いた参加者の多くが文化会館へのエスカレーターに殺到し、同時に文化会館へと突入。同人誌を売っていた参加者をなぎ倒し、彼らは当のサークルへと向かったが、その本は存在せず暴動に発展。精神的に混乱していた加害者が多く、被害者の数は急激に増えていった。同時に、重量過多となったエスカレーターも崩壊。重軽傷者が多数出た。参加者の一人、武藤正洋さん(27)は「突然押し寄せられて、机を乗り越えられていった。やめろと言っても聞かず、どんどんやってきたのが怖かった」と述べている。
 会場の池袋サンシャイン管理人は「誠に遺憾。以前から苦情が殺到していたのだが、このようなことになるとは」とコメント。サンシャイン側では、即日中止・封鎖と判断し、以降同人誌即売などに関連したイベントへの貸し出しは行わないと発表した。
(中略)
 なお、重軽傷者が搬送された病院は以下の通り。

−重軽傷者名簿(敬称略)−
<聖マリアンヌ医大病院>(中略)……辻原雅人(19)
(後略)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
手動筆記人さんの設定を使わせていただきました。変な所なとがあれば、ご指摘お願いします。
つたない文で、申し訳ありません(^^;

117 :あぁっ名無しさまっ :2000/09/27(水) 16:25
乱入失敬、このスレ立てた人は神林長平のファンっすかね。
あれは良い小説だった・・・>猶予

118 :サンデーライター :2000/09/27(水) 17:29
2000/12/30 09:33 ゆりかもめ 有明駅

「ブラックスパロウよりイーグルネストへ。ウサギを捕まえた。繰り返す。ウサギを捕まえた」
≪イーグルネスト了解。ウサギの名は?≫
「ブラックスパロウよりイーグルネスト。ウサギの名は荒塩昆布」
≪イーグルネスト了解。≫
「イーグルネスト、次の獲物は?」
≪アカウサギの『Q』が見つかっていない。『Q』の捜索をせよ≫
「ブラックスパロウ了解。OVER」

119 :Jr :2000/09/27(水) 17:37
>首都高の事故
28日と29日の事故は別物、と設定して修正してみました。
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt

120 :Hanko :2000/09/27(水) 22:57
1996年3月31日@晴海埠頭

「コミケは、終わるわ」
突然、隣にいた美波が呟いた。
「ちょっと美波、何言ってるのよ」
「羽奈子、コミケは終わるのよ」
くすっと笑いながら、美波が言う。
晴海最後の同人誌即売会の帰り、美波は突拍子もない言葉を口にした。
「晴海は、人々の想いが積み重なって護られてきた・・・・昔の人たちが積み立てて
きたおかげで、何かが起きても大丈夫だったのよ。でも、今度はまっさらな会場よ。
何もない、護ってくれるもののない場所。
そこで・・・・果たして、今のコミケが生きていけるのかしら?」
「美波・・・・?」
「きっと、有明じゃ21世紀は迎えられないのよ・・・・ふふふ・・・・」
不気味な笑いを浮かべながら、美波は船に乗り込んだ。
「ちょっと、美波待ってよ!」
いつも不気味な言動を繰り返していたのには慣れっこな羽奈子だったが、さすがに今
の発言だけは気になったみたいだ。
「さよなら、晴海・・・・さよなら、コミケ」
振り向く美波。
出船して遠ざかっていく会場・・・・
霞かがっていたそれは、消えるようにだんだん見えなくなっていった。

4年半後、その言葉は現実のものになろうとしていた。


***
試しに書いてみたけどキツイ・・・・多分単発。
鬱打氏濃。

121 :春画変態 :2000/09/28(木) 00:59
流れ書きさんの112から思いつきました。
池袋大惨事の捕らえ方が若干違うかもしれませんがそのあたりはご了承を。
しかし長いな。続くし。

2000.10/19 Sun. 05:36 池袋サンシャイン

 その日、秋葉原はインポートマート下のバスターミナルに並んでいた。
秋葉原有鷺、コミケットスタッフでもある彼は、友人の島氏と共に今日の
イベントで新たな作家を開拓するべく、朝から並んでいた。
 朝5時にサンシャインに着いたときには既に長蛇の列。同人誌即売会
最大の敵のひとつ、徹夜組だ。

「秋葉原さん、えらく並んでますよね。やはり僕たちも徹夜するべきでは
なかったですかね?」
「いかんに決まっておるだろうが。だいたい最近は徹夜組に対する
ペナルティもあるのだから、どっちが先に入れるのかは分からんぞ。」
「やはりそうですかねぇ。」
彼らも朝5時から並んでいるのだから、五十歩百歩だと言えるが。

 そんな会話をしていたが、秋葉原は会場に着いた時から
漠然とした不安を感じていた。何かは分からない、しかもわずかな
ものではあったが、どうしても拭いきれない不安であった。
「島君、何かちょっと変じゃないか? …いや、何かはよく分からん
のだけど、なんかこう、んん、なんかうまいこと表現できんのだが…」
驚いた顔をして島も答える。
「秋葉原さんもですか?僕も何か変な感じがありますねぇ。
正体は分からないんですがね。」
「いや、どうもおかしいよなぁ。」
 島と共に列を観察してみるが、漠然とした雰囲気の差以外は
見て取ることが出来なかった。



122 :春画変態 :2000/09/28(木) 01:00
 島 学。熟練の買い子である彼は秋葉原の後輩だ。大学近くのゲーム
センターで島が積んでいた同人誌の山を見て、秋葉原が「うぅむ、
\18@`000ぐらい?」と言ったのが島と秋葉原との出会いだった。
 一般で入場し、決してイリーガルな手段を使わないにも関わらず、
自分好みの大手を次々としかも我が手でゲットする。
そんな島の買いこみ技量は、インターネットと、人の網をフル活用して
得られる情報力によって支えられていた。
 的確に人の流れを見切り、最大に効率的なルートを縫っていくことで
大量の同人誌をゲットしていくのだ。

「そこに流れる、人の気を見切らなければ最大効率のルートは
見つけられないんですよ。」そんな彼の言葉を秋葉原も信じていた。

 そう、サンシャインに渦巻く人の「気」。 秋葉原と島がその
違和感の正体に気がついたのはほぼ同時、朝6時半頃だった。

「…島君も気付いたか?何か変だと思ったが、そう、
殺気のようなものが漂ってるのよ」
「秋葉原さん気がつきましたか?多分ですがね、並んでる人の視線が
何か違います。それも、限られた数ヶ所ですがね。」
「限られた場所が?そりゃ何か変だな。どこが?」
「あのあたりと、あそこと、…あそこも違いますかね?」
「ん〜?確かに変だよなぁ?……?」
秋葉原が島に耳打ちする。
「奴ら、何持ってるか分かるか?」
「無線機のようですねぇ。
 秋葉原さん、ここのイベントって無線機持ちこんで良くなかったですよねぇ?」
「無線機?だとすると、あれは…ん〜と、430と1.2のデュアルバンドじゃないかなぁ?
 いや、持ちこんじゃいかんのだけどね。あ、隠したな。」
 こちらの視線を感じたのか、無線機をカバンの中に入れてしまった。
「?」

 そう、漠然とした不安。しかし確実に何かが近づいてくる予感。
 その不安が、まさかあのような惨事として実体化するなど、
誰も予想することは出来なかった。
 否、「奴ら」を除いては誰も。


123 :春画変態 :2000/09/28(木) 01:02
2000.10/19 Sun. 08:40 池袋サンシャイン

 次なる異変、これははっきりした形で訪れた。
 サークル入場が始まってしばらく経てば、携帯電話を通じてホール内の
情報が一般待機列にも流れてくる。
「某ルゼはコピーのようだ」
「○○、サークル入場?中の情報を集めてくれ」
「まだ入場したサークルは少ない」
「A**の導線はこのようだ」
飛び交う情報に耳を傾ける島。その中で気になる情報が飛んでいた。
「323は現れたが、新刊はまだ届いていない」

「…秋葉原さん、聞きましたか?」
「うむ、聞いた。このまま本がなければ平和なのだがな。」
「信者の悔しがる姿が見えるようですがね。
 しかしですよ。このままおとなしければ良いのですがねぇ。」
「ん?…ということは、やはり何か違和感があるということだな。」
「その通りですよ。ただ、なんとなくですがね、本が届くというのとは
 何か違う気がするんですよ。」
「へ?」
「私もよく分からないんですがね。何かこう、ひっかかるんですよ。
 新刊はないように思うんですがね。」
「う〜ん、どういうことだ?」
「不安の原因は、323じゃなくって別の所にあるって事ですよ。
 その正体が分からないんでなんとも言えないんですがね。」
「成る程なぁ…。確かに、不安は増してるが。
 ああそうだ、ヤベさんはどうだろうかな。
 電話で聞いてみてもらえん?」
「分かりました。…あれ?」
 何度か発信の操作を繰り返すが、アンテナが立っているにも関わらず発信できない。
「この程度で使えなくなるとは軟弱ですね。
 秋葉原さんのPHSでかけてみてもらえませんかね?」
「うむ、ヤ…検索、発信と、…あら?おかけ直し下さい?アンテナは立ってるのに」
 通じないことはよくあることだ。しかし、今日はいつもと違った。
「…いつまでたっても発信できん。」
「私もですよ。」
 気になってまわりを見まわしてみるが、どうも皆同じ状況のようだ。
数分前から、このあたり一帯で無線電話は全く通じなくなっているらしい。
「アンテナがこけた?しかし、それにしては携帯PHS全メーカー使えないようだが?
 全メーカーが一斉にこけた?そんなことが普通あるかな?」
「そんなこと、ないはずですがねぇ。」
「だよなぁ?携帯各社って、確か独自網だったしな。」
「変ですよねぇ。」
「ちょっと、ヤベさんの所まで直接行ってくるわ。」
「ヤベさんでしたら、上の間の列の、4ブロック目ぐらいだったと思いますよ。」
「りょーかい。」

 秋葉原は上の列を探しに行った。文明の利器に慣れてしまった
現代人、PHSや携帯電話が使えないと途端に探すのが難しくなる。
苦労してようやく探し出したヤベさんも、やはり携帯が通じないらしい。
「秋葉原さんおはようございます〜、さっきから携帯が通じないですよ〜」
「ヤベさんもですか、ウチもなんですわ。コンダラも通じないらしいです。」
 コンダラとは、島のハンドルである。
「コンダラおにいちゃんもつながらないですか〜、このあたり一帯全滅ですね」
「そうみたい。…ん〜、妨害でもされてるのかな?」
「妨害ですか?そんなことありますかね〜」
「いや、他の可能性もありますけど…なんか変ですよね。」
「あ〜秋葉原さんも思いますか?、何か変なんですよね〜。」
「ううん、こっちもか。いったい何があるんだ…」
 独り言のようにつぶやく。


124 :春画変態 :2000/09/28(木) 01:03
 列に戻っても、携帯電話とPHSは不通のままだった。
ホールからの情報が途絶えたまま、散発的にデマが飛び交う。
レヴォ準備会が携帯の妨害を行っている、
スペイン坂までの列は会場後一時間経つまで入場させないなど、
分かる人間が聞けば苦笑するしかないようなデマばかりだが、
一般待機列の不安と怒りは高まる。
 列を管理するスタッフも正確な情報が入ってこないらしく、
「それについては分かりません、申し訳ありませんが列で待機してください」
を繰り返すばかりだ。

「島君、どうも怖いな。」
「そうですね。これは絶対何かありますね。」
「どうも、スタッフ間の連絡網も機能していないらしいな。
 何か意図的な妨害が行われている気がしてならん」
「意図的な妨害?!もしそうだとして、何の為に?」
「いや、それが分からんのだが…。
 ただの愉快犯ならまだ良いが、これは絶対なにかある。
 …島君、万一のときは、逃げろよ。」
「それを乗り越えてこそ熟練の買い子ですよ、と言いたいところですがね、
 今回はマジに怖いですね。」

 そう、熟練した者たちの不安。それは迫り来る惨事への、警告だった。

125 :春画変態 :2000/09/28(木) 01:04
2000.10/19 Sun. 10:08 池袋サンシャイン

 携帯電話も、PHSも、そして無線機も通じないまま、列の再整理が始まった。
一応はスタッフの指示に従うものの、一般参加者列の怒りは隠せない。
 スタッフに詰め寄り、理不尽な質問と怒りをぶつける参加者。
そんな状況が各所で見られた。
「落ちつけば良いものを…。スタッフを責めても早く入れる訳ではないのに。」
 今日は一般として参加しているが、コミケットではスタッフとして理不尽な怒りを
受ける立場にあるだけに、秋葉原の目にはその姿が哀れに見えた。
しかしそれだけではなかった。悪意のようなものを感じ取ったのだ。
「…?」
 手助けしてあげたい気はあるが、越権行為だという気持ちがそれを押しとどめる。

 その時だった。列の数カ所でざわめきが起こり、波紋の如く広がっていった。
「323がAirの新刊を出す!」
「限定コピー600部」
「混乱を避けるために、この列を入場させない」

 それは、欲望と、利害と、独占欲と、怒りと、そして殺気の波紋となって、
恐るべきスピードで広がった。
「秋葉原さんッ!走ってくださいっ!」
 島に急に腕を引かれ、一瞬後、後ろからものすごい勢いで押された。
秋葉原は安全なルートを見定めようとした。しかし、そんなものは、ない。

「走るな!落ちついて!落ーちーつーいーてー!」
秋葉原は押されつつ、早足で進みながらも、とっさにしかしゆっくりと、
腹の底から喉を開くようにして叫んだ。
 そんなものが何の役に立たないと知りながらも。

 10秒も経たないうちに、階段の所で列が潰れた。
将棋倒し。踏み越えて進もうとする「群れ」。

 …階段で、二層目の将棋倒しが完成したところで、入場列の惨事は止まった。

 骨折21名、うち重傷者2名。緊急搬送6名、うち一時的に意識を失ったものが2名。
それすらも、ホール内で起こった惨事に比べれば、はるかにましだった。

 そう、それが後にセカンドジェノサイドと呼ばれた、
池袋大惨事のほんの一部であった。

「本当は、その時にはもう同人界最終章はとっくに始まっていたんだ。
 自分の手が血に染まって、ようやく気がついただけだ」

 …続く


126 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/28(木) 08:44
あまりにさがりすぎなのでage

127 :三文文士 :2000/09/28(木) 10:54
>サンデーライターさん
貴メールは受領できたのですが、こちらからのメールがなかなかうまく発送できま
せん。もうしばらくお待ちいただけないでしょうか。
なにぶん、あのデータ、テキストで260kb、LHA圧縮して70kbもあるもん
で。

128 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/28(木) 11:18
あぁぁ、だんだん終焉に向けてのプロローグが出されてくる。
フィクションとわかってても・・・ホントになりそうで一抹の不安がよぎります・・・

129 :手動筆記人 :2000/09/28(木) 11:37
>>127
何か今、LYCOSメールで障害起きてるみたいっすね。

>ログイン障害について
>9月28日(木)午前8時30分頃から、ログインできな状態になっております
>現在復旧作業中ですので、皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、しばらくお待ちください。
http://www.lycos.co.jp/mailcity/top.html

いや、朝方メールが来てたので返事を書こうと今ログインしたらこないなことに(笑)


130 :へっぽこー1号 :2000/09/28(木) 17:10
2000年12月11日 10:25  世田谷国立病院
コミケで事件が起こる、それを予感した僕はある事故の被害者の病室へ向かった
その事故はコミケとは直接関係は無い、がファン心理や同人を知らない僕に
取っては重要な情報源(プロファイリング)として確実に有効なのだ
時間はまるで残されていないが今はとにかく情報が欲しい
病院独特の臭いがする廊下を通り、目的の412病室へ着いた、軽くノックをし中に入る
その個室の病室にはベット、テレビ、棚が置いてあるが生活感はまるで無い
ベットでは一人の少女が横になっていた、その事件の一番の被害者だろう
「皐月祥子さんですね、先日連絡しました者です」と言いながら警察手帳を見せる
祥子はくすっと笑った、が表情はどこか冷たい感じがする
「まるで刑事ドラマそのままの事をするのですね」
「ははっ、一応刑事ですからね、早速事件の事を聞いても言いですか」
とにかく丁寧な口調を心がけて話をする、市民にとって警察は威圧の対象に見られやすい

彼女は10月19日のイベントのサークルの参加者だったのだ
あの事故が起こった時、ホールの入り口付近に居た為に割れたガラスの
下敷きにされてしまった、これだけなら2ヶ月の入院は無かった
最悪なのはこの後だ、人が彼女を踏み潰しながら通過していったのだ。
結果彼女は右足を圧迫骨折、左腕を脱臼、凄惨なのは顔をガラスで切ったらしく
左眼を失明、足の方は神経も切れてしまったらしくリハビリ中だ

「・・・であなたは何故こんな事故が起こったと思いますか?」
言った後、しまったと思った、一番の被害者に被害者の心理など聞くべきことではない
祥子は目を閉じ、沈黙する・・・空気に鉛を流し込んだような雰囲気が部屋を包む
そしてゆっくり答えた、一つ一つ慎重に答えを選んでいくように
「・・・多分、これが結果だったのかも」
「結果、ですか?」
「そう・・・私たちが作り上げてきた物の最後、生命の進化の終焉と似て
 自らの手で終焉を迎えるという結果が・・・」
「・・・解らないな、何故自らの手で滅びの道を歩くのですか?」
「色々な人がいるんですよ、純粋に同人が楽しい人、転売する事で
 小金を稼ぐ人、お祭り気分でとにかくファン交流を楽しむ人とかさまざまですから」
「では一部の人たちの為に全てが壊されると言う事ですか・・・」
「ええ、悲しいけど既に始まってますから・・・」

部屋をノックする音が聞こえ、看護婦が検温の時間だと伝えてきた
僕は会釈をし、部屋を立ち去った
病院を出て、駐車場へ向かいながら煙草に火をつける
「終焉か・・・」
彼女が言った言葉を呟きながら煙草の煙を吐き出した。


どうもへっぽこー1号です、レヴォの事件をちょっとだけ膨らませて見ました・・・
相変わらず名無しの刑事さんです、今でも名前募集中です

131 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/28(木) 18:44
レヴォって10月29日じゃなかったっけ?
まあ、架空の物語だから実際の日にちに合わせる必要はないのだろうけど。

132 :流れ書き :2000/09/28(木) 19:07
>>131
あ゛(^^;

……すいません(^^;
うう、大失敗だ……

133 :へっぽこー1号 :2000/09/28(木) 23:33
>131さん
あ゛
そう言えばそうですね・・・当日行くのに大丈夫か私?

134 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/29(金) 04:00
さあageの時間だ

135 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

136 :サンデーライター :2000/09/29(金) 10:54
135は各自セルフあぼーん(無視)ということで、

>>105 百円ライターさん他
>配置について
2日目ですが、私は「232は夏と同じ場所」と書いてしまったのですが、
吉村(兄)のサークルも西にあるというように書かれているので、
創作(少年)は西2ホール「あ」〜「き」は確定ですかね。
そうすると創作(JUNE&文芸)は西1ホール、創作(少年&少女)は西2ホールというところでしょうか。

137 :名無しさん@そうだ地獄へ逝こう :2000/09/29(金) 12:25
って言うかもうあぼーんされてますね<135の書き込み

楽しみにしてますんで皆様頑張って下さい>ライター各位
俺もネタ構想中だけどいいのが浮かばない・・・・どうしよう(汗)

138 :1読者 :2000/09/29(金) 19:48
下がってると寂しいのでage

139 :南無 :2000/09/29(金) 22:49
ところで・・・替え歌でもイイ?

140 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/29(金) 22:54
>139
「同人を語る」スレもあるよ。どっちがいいかは自分で決めてね。

141 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/29(金) 23:07
替え歌は語るスレの方が良いんじゃないかな。

142 :Jr :2000/09/29(金) 23:08
2000 12/12 21:33
環七通り 方南町交差点

チェイサーのヘッドライトが、道端に残る汚れた雪を照らし出す。

「えと、もうちょっと行くとファミレスがあるんで、その次のトコを左に……。」
「ん、解った。」
「でもホント、送って貰って助かりますよ。電車代浮くし。」
「おいおい、交通費もちゃんと支給される筈だぞ。……ったく。
 ……まあいいや。俺が用事があって行くんだから、このくらいはね。
 本当は明日、霧沢に持ってきて貰えれば良かったんだけどな。」
「すみません……。」
「女の子か?」
「はあ、一応。あ、でもそういうんじゃないっすよ。相方、じゃなくて
 仲間というかパートナーというかなんというか……。」
「なんだそれ……。お、ここだな。次を左ね。」
「はい。…………あれです。あのマンション。あっ、車どうしましょう?」
「いいさ、そこに停めておこう。」

143 :Jr :2000/09/29(金) 23:08
22:17 霧沢桂一の部屋

「これがコミケの、えーと、パンフレットです。」
「………………えらく厚いね。」
「いつもそんなカンジですよ。あ、立川さんコーヒー飲みます?インスタントですけど。」
「ん、じゃ頂くかな。待ってる間にちょっと読ませて貰うから。
 ……うわ、細かいなー。あ、この写真は夏にやったっていう時の?」
「あー、それは去年の冬の写真です。クリスマスと重なったんすよ。」
「クリスマスの日でもこんなに人が来るんだ。……恋人同士で来たりするのか……?
 しかし凄いな。そういや高島さんが数十万人だとか言ってたっけ……。」
霧沢がカップを手にしながら苦笑する。
(恋人ねぇ。いる人間は少ないんじゃないかなー。ま、人の事言えないか。)



「……なるほどね、確かに大きなイベントだ。けど想像してたほど物騒でもないなぁ。
 高島さんが甲種警備服の運用を決めるくらいだから、もっとこう、やばそうな物だと
 思ってたんだけどね。だから統警が出てくるのも納得してたんだが……うーん。」
「……」
「あれ?何やってるんだ?」
「他にも見て貰う物があって……立川さん、これ、読んでみて下さい。」
そう言って霧沢が指を差したのは、デスクの上のモニターだ。
モニターに映るのは、薄いグレーを背景に並ぶ番号と投稿文。
それを読み進めるうちに立川の表情が強張っていくのが、霧沢には解った。

144 :Jr :2000/09/29(金) 23:10
続きはまた……。

145 :三文文士 :2000/09/30(土) 12:27
「終わるコミケット 準備会史上最悪の3日間」
OPテーマソング:Cocoo「星に願いを」は、1さんの指定なので、これはそ
のままいくとして。CDS思わず買っちゃったよ^^;
EDテーマソングとして、笠原弘子「約束の土地へ」を推薦したい。

ああ 約束の土地へ どうぞ導いて 罪びとの群れを

螺旋階段へと非常口を飛び出したら 42階から見下ろすのは欲望の町
誰も気づかないけど 滅亡の歌が低く流れてる だから駆け下りるの

ああ 約束の土地へ どうぞ導いて 罪びとの群れを
ああ 穢れ一つない 人はいない 生きてゆくそのことが 戦いだから

閉ざされた回路に 入り込めるパスワードは…?
見えない幸せに届く道は まだ遠くて
誰も気づかなくても愛する人を照らす 星屑の一つになりたいわ

ああ 洗い流す雨 今降り注いで 罪びとの群れに
ああ 心から汚れた 人はいない 雲間から降りてくる光が欲しい

ああ 約束の土地へ どうぞ導いて 遥かな眼差し
ああ 穢れ一つない 人はいない 生きてゆくそのことが 戦いだから

で、今後の予定作品。
「コミックマーケット59カタログ ごあいさつ」

「Natuコミックシティ、東西同時開催オールジャンル40000sp募集、か。
なぁ、奴等ってさ」
「なに?」
「前頭葉あるのかな」

「緊急 館内703より西地区統括指揮所、カッタにあっては、げんざ(途絶)」
「西地区統括より703 応答願います、応答願います!」
「西2ホール本部より通報。外周より悲鳴、怒声など多数確認。先遣偵察を実施中
なるも、いまだ帰還せず」
「…駄目だったか。最後すら、自ら幕引き出来なかったとはな」
「…地区長?」
「企業対応部の西4本部、更衣室担当、場外救護担当、西救護室、公共地区担当、
入口担当に、部隊の派遣を要請しろ。それから、統括部に通報。西地区長は、西地
区全域に混雑非常事態を宣言する。あと、俺自らが出る。レポートと、帳簿の処理
よろしくな」

「赤司さん、どちらに行かれるんです!?」
「……現場だ」
「赤司さんが出ます。とりあえず、東123からの増援部隊は、西地区本部前アト
リウム側に集合。東456は部隊編制が遅れているそうです」
「もう、事前に準備しておかないから…」

#あと、一つだけ。聖マリアンヌ医科大学付属病院に入院するのは、できれば勘弁。
比良坂院長でしょ、きっと。女の子だと、実験で人生観変えられちゃうかもよ。

146 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/09/30(土) 22:12
>>145
>「Natuコミックシティ、東西同時開催オールジャンル40000sp募集、か。
なぁ、奴等ってさ」
>「なに?」
>「前頭葉あるのかな」

やりかねなさそうでワラタ(藁


147 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/01(日) 03:51
洒落にならないことが起きたな・・・・<同人作家事件
本当に有明にいられるかどうかわからんぞ、シャレではなく。

148 :Jr :2000/10/01(日) 06:10
>>142-143からの続き。

12/13 00:30

「それじゃあ、これは借りてくよ。
 ……この内容、本当に信用していいんだね?」
立川は分厚い冊子の他に、紙の束を抱えている。
匿名ゆえにガセネタが多いと言われる掲示板の書き込みの中から、
霧沢が自分の実体験に基づいて信用できると思われる文――その中には
自身が書き込んだ物も含まれていた――を抜き出し、
それをプリントアウトして立川に渡したのだ。

「はい……俺は、実際この目で見てきたんで。それともう一つの方なんすけど……。」
「もう一つ?ああ、自殺者が出たとかいう方か。」
「さっき見たら、どうもマスコミにチクったとかいうレスがあって……。
 煽りで、面白がってこういう事を書くヤツがいるんですけど、
 ホントにやるヤツもたまにいます。もしかしたら明日の朝刊に
 載るかもしれないんで、確認してみて下さい。」
「……解った。」
「あさってのミーティングにはちゃんと出られますから。それじゃ。」
「もう明日だよ。……俺が思ったより長居したせいだけど。じゃあ、ありがとな。」

149 :Jr :2000/10/01(日) 06:10
12/13 00:35

立川が愛車のハンドルを握りながら、助手席においた本とPPC用紙に目をやる。
「道理で谷川進が出てくるわけだ。警視庁も絡んで……? いや、まさかね……。」
無意識のうちに自然と漏れる声。不安に駆られているのだろうか?
上司からの、普段ならあり得ないような物々しい装備の指示。
そして競争相手でもある大手会社との協力体制。
――それも、昔「彼が動けば特機が動く」と言われた人間が指揮を執っているのだ――
ある程度の想像はしていた。だから納得していたはずだった。だが……。

徹夜、転売を始めとし、倒れた人間を躊躇無く踏み潰しながらの暴走。
ボランティアスタッフを隠れ蓑にした共同購入。
人気作家の本を入手するためには何でもやる人々。
最後のイベントだというので殉死しようとする人間までいる。
ほんの2時間ほど前に聞いたこれらの話は、立川にはとてもまともな物とは思えなかった。

……既に彼の頭の中には「アマチュア漫画の即売会」という概念は無い。
「今日の会議でこれをメンバーに見せて……昨日の資料と合わせて対策を……。
 甲種装備の確認ももう一度やっておいた方がいいな……。」

同時刻、霧沢は打ち合わせで会った谷川進の顔を思い浮かべていた。
(おっかねー人だったけど……けど、なんか頼れそうだったな……。)

「立川さん達なら……それにあの人達なら……」
「……大丈夫、やれるさ。」
霧沢が自室のベランダで。立川が運転席で。
それぞれが同じ瞬間に呟いた言葉は、しかしお互いの耳に届く事はなく、
冬の闇の中に溶けて消えていった。

150 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/01(日) 19:34
なんか最近シャレにならなくなってきたような…
勘弁してくれよ(;´Д`)

151 :Jr :2000/10/02(月) 00:47
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt
150まで追加。

架空の話って事で、レヴォは19日でいいですかね?

152 :サンデーライター :2000/10/02(月) 00:52
使おうと思っていた作家が厨房に殺されるってネタが実際に起きてしまった(笑)
ってワラテル場合じゃないぞ、おい。マジでシャレにならん(冷汗)


153 :春画変態 :2000/10/02(月) 01:46
>151
あ、すんません。秋葉原と島はまき込まれたけど怪我した訳じゃないっす。
その辺の件は10/19後半で書きます
#まだ10/19が続くんかい

154 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/02(月) 02:19
読み手の勝手な意見かも知れませんが、
レヴォは29日に修正した方が良いのではないでしょうか?
やはり限りなくリアルティがあった方が面白いと思います。
それにタイムテーブルを見る限り、特に他に影響も無いようですので。

155 :春画変態 :2000/10/02(月) 03:41
>154
私も19日で書いててふと思ったのですが、この日は別に休日でもなんでもない
平日なんですよねぇ。
個人的には14日もしくは21日キボーンなんですがね。
この程度なら変えてもストーリー上の問題はないはずだし。

ちなみに10/29にすると、実はちょっと遅いかなという気がするんですが…
通常だと、レヴォが終わってから冬の原稿のスパートがかかり始めて、
12月上旬に入稿というスケジュールですが、最後のコミケットとなりますと
一週間ぐらい前倒しにしたほうがドラマティックな展開が期待できるのかな、と(^^;


156 :流れ書き :2000/10/02(月) 08:16
自分もタイムテーブル変更に異存はないです。
……というか、キッカケは自分でしたね……鬱打氏悩

157 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/02(月) 14:33
参入希望者なのですが、有明世代なもんで昔のコミケットの会場遍歴が
晴海・幕張以外分からないんですが、そこら辺をネタにしようと思っているので
会場遍歴等の昔のコミケットの歴史が載ってるようなサイトかスレッドってのをご存知の方が
いらっしゃいましたら教えて頂けませんでしょうか?
昔、晴海時代を懐かしむようなスレッドがあったのは記憶しているのですが
タイトルを忘れてしまって…覚えていらっしゃる方居たら教えて頂けるとありがたいです。

大体の会場遍歴だけでもここのスレで教えて頂けませんでしょうか?


158 :サンデーライター :2000/10/02(月) 16:19
>>157
コミケットの申込書に書いてあるよ。
それとも一般だから申込書は買ってないのかな?

159 :ログ保存人 :2000/10/02(月) 17:34
http://members.nbci.com/doujin2/comike.htm

資料集より転記。
自由に使ってくださいな。

160 :157 :2000/10/02(月) 22:43
>>158
いや、サークル活動はやってるんですけど諸般の事情により
コミケはまだ申し込んだことすらないのですよ。

>>159
ありがとうございました。大感謝(涙)

161 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/02(月) 23:53
>13
超遅レスで超スマヌが。
神林 長平氏の作品に”猶予の月(いざよいのつき)”と言う作品があるのだ。

162 :三文文士@宴 :2000/10/03(火) 06:27
はじける歓声、むせるような肉の焼いた香り、店員の大声、煙草の煙。
炭火焼肉酒家牛角下北沢店は、そんなもので満ちていた。
金曜日の夜、店は9割方埋まり、空席待ちの客が階段で立っている。

そんな中、店の一角に、4人が席を占めていた。
炭火の上に置かれた金網は、既に汚れていて、下げられるのを待つばかり。
テーブルの上は、大皿、こぼしたサワー、肉の脂、半分ぐらい残ったぬるいビール。
ほんのり頬を赤くした4人がまったりしているのを、店員が見て溜息をついている。
『…だめだ、ここもあきそうにねえや』

「さてと、とりあえず、ごちそうさまでした」おかっぱ、眼鏡、小太り、首からシ
ルバーの十字架、かたわらにはもちろん黒のリュック、上から下まで黒で着こなし
た、つまりある種の典型をみるような女性が挨拶した。
残りの2人も慌てて同じようなことを言う。
「ああ、まぁ、いいよ、いつもいつもゴストじゃさみしいだろーからな」
背広をしっかりきこなした30近くに見える男性が手を振りながら言う。
「それに、お前らには、これからもう一踏ん張りしてもらわなにゃならん。景気付
けとしちゃぁ、安く済んだよ」
「秋葉のいつもの駅ん中の喫茶店でやればもっと安く済んだのに。いつも本当にす
みません」上から下までユニクロで揃えた、これまたある種の典型を見るような男
性がいう。
「で、周りの耳を気にしながら、話をするんか? 確かにあそこの水出しコーヒー
は、おいしいけどなぁ。余計なこといわんと、感謝感激雨あられを捧げとけばええ
やんか」会社帰りにみえるスーツ姿の女性がいう。
「うるさいなぁ、姐さんだって、余計なこといってるんじゃないっすか?」

『こやつらも、ほんとかわらんなぁ』
声を大きくして、いつもの小競り合い(しかも結果は常に女が勝つ)を始めた3人
を見やりながら、男は思う。この3人たちがはじけるような青春時代−ちょいと規
格からは外れちゃいるものの−を過ごしている間、見守り、時に支え、伸ばしてき
たのが彼だった。
晴海、幕張、もう一度晴海、有明。
身体だけは大人でも心は子供だったこの3人たちの成長曲線に沿うように、コミケ
ットも、準備会も巨大化の一途をたどってきた。
そして、彼もその重要な一端をになってきた。

『もう俺たちが一線で戦う時代は終わる。今度の休止はいい機会だった』
男は日本を代表する巨大総合電機メーカーに勤務している。
仕事への精励が認められ、ついに先日主任に昇格した。
もう体力的にも、精神的にも、時間的にも限界線が近づいていることを意識せざる
を得ない時期に来ていた。

『次はこいつらが脚長おにいさんなり、おねえさんなりをやらにゃならんのだが。
はてさて、どこまでそれが意識できていることやら』
休止をきっかけに、準備会の長老・賢人たちは、スタッフ層の大幅な若返りを模索
していた。もちろん、元老院として、彼らが後見につくものの、できる限り、若い
スタッフに大きな範囲での業務の引継ぎ、硬直した準備会組織の大胆な見直し、準
備会の業務内容のリテイリングを、彼らは静かにだが容赦なく進めていた。

『もうコミケットはこのままではもたない。だが、この休止が我が国の同人誌市場
と同人誌文化にどれだけ影響を与えるかを思えば、そして、僕らの世代がどれだけ
時間を裂けるかを考え合わせれば、僕らに残された時間は過酷なまでに少ないんだ。
このことを自覚してほしい』
スタッフの長老、磐田の言葉を男は思い出した。
『最後まで、あの親父と付き合うのもしゃくだが。まぁ、あの親父のいっているこ
とはおっかないまで理にかなってもいる。ここまでくれば、最後まで付き合うしか
ないな』

「…さん、大丈夫ですか。お疲れですか」
昔に思いをはせていた男は、心配そうにこちらを見つめている6個の瞳に気づいた。

昔はもっと純粋だった瞳。今はある種の狡猾さをたたえた瞳。
自分がそう変えたのだと思うと、少し胸の痛みを覚えた。

「ああ、すまんすまん。ちょいと、考え事をしていた。さて、本題を始めるとする
かね」男はアタッシュケースからファイルを取り出した。

163 :三文文士@宴 :2000/10/03(火) 06:28
「とりあえず、現状から確認しようか」
「はい、既にMLで回したから、読んでいると思いますけど」
「ああ、ごめんなぁ。うち、ちょいと忙しゅうて…全部は読めてないねん」
「はいはい、じゃあ、軽くまとめるね。まず、先日の池袋の事件の結果、同人誌即
売会の会場としてのサンシャイン60は、既に死んだも同然です。会場とのパイプ
を一番太く持っていたのは、コミックレボリューション準備会ですが、今回の事件
の結果、代表が業務上過失傷害罪で取り調べ中であることもあり、事実上機能して
いません」
「うわぁ、きっついですね。業務上過失傷害だって」
「明日はわが身だぞ。下手うちゃ、いつだってそうなりかねない」
「都内の主要会場も、今回の事件により、態度を硬化させており、損保、春秋、都
産貿などは、既に結ばれた契約以外は、当面、アマチュア同人誌即売会に対する貸
し出しを行わないと決定しています。この動きは水面下で広がっていると思われま
す」
「その件やけど、どーも話が変なんや。どこかの都議が話を広めているらしいねん。
その都議はまだ抑えられてへん。で、そいつにそんなことを吹き込む絵を描いたく
そがきもまだおさえられてへん」
「マンガ防衛同盟などを通じて、こちらもロビイングをはじめてはいますが、知事
も知事だけに、なかなか有効な巻き返しが図れていません」
総合OTAKU産業を目指すブロッコリーの仕掛けはここまで及んでいた。

「で、企業系即売会の動向です。まず、四谷ですが、このチラシを見てください」
全員が覗き込む。
とても企業のチラシとは思えないほど稚拙な絵で構成されたチラシには、毒々しい
赤でこう記されていた。
「Natuコミックシティ1!開催決定!会場:東京ビッグサイト、インテックス
大阪 日本初の東西同時開催! 募集サークル:オールジャンル40000sp!」

背広の男がうんざりした様子でうめく。
「なぁ、一つ聞いて良いかな」
「はい、なんでしょう」
「あそこの経営者、前頭葉あるのかな。想像力を持ち合わせない経営者が経営する
企業にこれからの同人誌市場が握られるのかね。笑うべき素晴らしい話じゃないか。
涙が出てくるよ」
「いや、それなんですが」とくちばしが入る。
「ベルさんのルートで照会したところ、どーもあそこの社長は、乗り気じゃないで
すね。むしろ、その下の運営企画部の連中が震源地のようです。抑えられなかった
らしくて」
「だとしても、責めを負うべきは、無能な最高首脳じゃないか」
「はい、で、京阪地区の信頼すべき友人達からの情報によると、どーも、あそこの
事務局長、この状況を制御できなかった責任を取るということで、辞表を提出した
そうです」
「じゃあ、大阪地区はどうやって運営するんだ? 京阪地区のスタッフは、事務局
長が握っているはずだろ、確か、あそこは」
「まぁ、金で動く連中も少なくはないはずやから、そいつらと、あとは外注でなん
とかしのぐつもりと違いますか。その場その場の自転車操業しかしらん会社やし。
その件については、うちもつれ動かしてます。もう少し時間ください」
「サークルの動向は?」
「男性向創作の系統では、一部の資金繰りが切迫している大手以外は、ほとんど参
加が見込めないと思われます。女性向けでは、もう選択肢がないということで、大
手サークルの多くが申し込みをするものと思われます、このままでは」
「そこらへんももう少し工作できないかな」
「すでに何人か動かしています。2ちゃんなどでのディスインフォメーション工作
も私の手のもので進めさせていますので、もう少し楽しい結果が出てくるようにし
たいなと思ってますけど」
「京阪のスタッフの切り崩しも進めてくれ。一度夏コミの通称が定着すると厄介だ。
さすがに短縮形の用語までは商標登録の対象にはならん」
「進めちゃあいますけど、事務局長直系、いわゆる竹田組といわれる連中はともか
く、ほかのはまとまりありません。まとまっている連中は、おやじが抜けた以上、
もう関わらんでしょうし、まとまってない連中は力がありません。心配せんでもえ
えと思いますよ。でも、まぁ、念には念を入れて、やらせていただきます」
「よろしく頼む」

164 :三文文士@宴 :2000/10/03(火) 06:30
「で、浅草のほうなんですが」話の折り合いを見ながら次の話題を切り出す。
「例の名古屋事件のからみで、事務所が家宅捜索をうけてまして、そんなこんなの
大混乱から立ち直っていません。ここは当分新規企画を打ち出せないと思います」
「名古屋事件は結局なんなんだ、話ばっかり交錯して、なにがなんだか」
背広男はもう一人の男に目を向ける。
「ああ、まとめてありますよ。つまり話は単純です。どきメモの画像を取り込んで
グッズ化したサークルと、びーまにベスト版と称して、CD焼いてたサークルが、
著作権法違反で、コナミから名古屋地方検察庁に告訴されたんです」
「あかんやん、そんなん、救いようがないで」
「イタタタタ、痛いわね、それは」
「これに対する対応は、今館内でも議論が続いているんですが、それはそれとして。
で、そのサークルが長く名古屋で活動していたので、浅草も主催者として、幇助に
問われているわけです。まぁ、話は簡単なんですがね…」
「なんだ、言ってみなよ」
「これをやったのは、コナミの総務人事部法務グループなんですが、ここにどうも
証拠やらなんやら一式そろえて話を持ち込んだ奴がいたという話がありまして」
「また、MIBか」
「はい、どうも、夏コミあけてから、妙になんか動いている気がしてなりません」
「情報担当者の勘ってやつか」
「まだ、教えてもらった「感を勘に高める」ってところまではいけてませんけどね」
「となると、もう偶然じゃないな。その件、忘れずに調べておけよ。偶然が3つも
重なるはずがない。そんなことはありえない」
「この流れから、利益を得られている会社が一つだけあるんですよ。中小のアマチ
ュアイベントが減って、企業系のうち、一角がくずれて」
「どこだ」
「CPSです。コミッククリエーションは、発表済みのイベント全てがほぼ満了確
実です」二人が息を飲む。
「分かった。その筋は俺が洗う。株主でもあるしな」

彼らは全くメモを取らない。頭の中のクリップボードにメモを張り、あるいは破り
捨て、蛍光ペンで線を引き、付箋紙をつける。ちょっとしたメモと、環境の変化、そ
して、わずかな言動から、真相を引きずり出すことができる人間は、実は決して少
なくないことを、彼らは数々の苦い経験から思い知っていた。

「敵対情報についてはどうだ?」
「まぁ、敵対団体情報については、ルールどうり、暗号化してメール報告します」
「情報は、知っている人間の数の二乗の確率で漏洩するって、教えてもらいました
もん。これはうちらの間でも明かさん。兄さんだけが知っていればええこと」
「掲示板関係の情報漏洩は?」
「先日の作業の結果、随分減りました。やはり水道は元栓からしめないととまりま
せんね」
「未だにあの人、情報ルートから外されたの、気づいてへんなぁ」
「そこが油断だというのよ。ふん、私達が何も気づいてなかったとでも思っている
のかしらね。簡単にえさにひっかかって」
「まぁ、身内だという安心感と、匿名掲示板という安心感。この二重の安心感が、
奴の判断を狂わせているんだよ。もともと、そんなばかじゃないんだ。これからも
慎重に扱わないとね」
背広の男は、愛弟子の会話を聞き、満足しつつも戦慄した。
自分の生み出したものに。自分の育てたものに。
彼らはコミケットがなくなったら、何を持って、このゲームに代えるのだろう。
こんなに楽しいゲームに。

やがて、話が終わるころには店内も静けさを取り戻していた。
「失礼いたします。まもなく、ご注文の受付を終わらせていただきますが、何か追
加のご注文はございませんか」
「いや、ありません」

「ああ、あかんやん、こんな時間。もう、うち終電ないわ」
「何を白々しいことを言っているの、姐さん。いつものことでしょ。僕の車、アテ
にしているくせに」
「あは、ばれたか」
「あたしも送っていってよ。美味しい紅茶見つけたからあげるからさ」
年齢相応の明るい笑顔ではしゃぐ3人と店先で別れる。

背広の男は、準備会事務所に向かって歩いた。もう回りに店はない。
静かな住宅街だ。
「終わらせて、終わらせてなるものか、コミケットを」
そうつぶやいて、空を見上げる。空の澱んだ東京では、彼の故郷の10分の1も星
を見ることは出来ない。

「あいつら3人が主役を張るようになったコミケに一般参加してやる。それが俺の
最後の意地だ」
まだ見ぬ、まだ見えぬ敵に向かって、戦いを挑む言葉を投げて、また歩き出す。
だが、その男の背中は、なぜか小さく見えた。

165 :三文文士@感想 :2000/10/03(火) 06:33
すみません、最初に謝っておきます。
僕は別にブロッコリーが嫌いなわけではありません。
ただ、話の流れが偶然つながったというか、因果律が崩壊したというか。
なんか、どんどん極悪会社になっていくのがみていて、どーも。

さて、本作品は、ご迷惑をお掛けしたのに、優しい言葉で問責していた
だき、私の細い神経をさらにいじめていただいた内周辺境伯閣下に、さ
下げたく思います。背広の男は、一応あなたをイメージしました。

あと、コミケスタッフ暴露スレッド2の皆様にも深甚なるお詫びを重ね
て申し上げます。厨房でごめんなさい。

166 :名無しさん@そうだ地獄へ逝こう :2000/10/03(火) 06:58
>>161
そーですか。
こっちの勉強不足でした、申し訳ないm(__)m

鬱堕屍膿・・・・・・

167 :サンデーライター :2000/10/03(火) 10:37
>>164の終わりと>>165が壊れているみたいだ

168 :しーな :2000/10/03(火) 10:52
Jrさんの作ってくださったタイムチャートを参考に
過去の自分の書き込みを読み返していたら、
この先の展開に苦しいところが出てきたので
下記のファイルの、自分のとこの時間設定だけ、
変更させてもらっても良いでしょうか?

よろしければ変更したファイルをアップします。
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt

169 :ヘタレ文スマソ書きたくなった :2000/10/03(火) 14:50
2000年年末、本日のコミックマーケットで全ては終わる。
冷たい空気の中、俺は一人で列に並んでいた。中小のイベントしか
行かない人混み嫌いの俺が、このコミックマーケットに来るのは
これで2度目。1度目は学生の頃、友人に手伝いを頼まれて。
当時はエロ本目当てに走り来るオタクパワーズに圧倒されたものだ。
だが、今日は・・・
大行列などほど遠く、実に閑散としている。事前コスプレ者の姿もめっきり
見えない。皆一様に息を潜めているようにも感じた。
いや実際そうなのだろう。元気なのはテレビのクソリポーターどもくらいだ。
「見て下さい、白麦茶の集団です!!」
声が鼻につく女リポーターが楽しげに叫び、カメラが俺達を映していた。

2週間前。西鉄バスジャック犯「ネオ麦茶」と同じ掲示板で犯行を
予告し、6人の幼女を惨殺したという日本史上最悪のロリペドが捕まった。
名は、「白麦茶」。・・・「白」は精液が由来らしい。
彼の部屋からはアニメ・漫画の少女があえぐ
変態同人誌が大量に見つかり、愛用のパソコンからは某掲示板へのアクセスも
認められた。細く白くニキビ顔、淀んだ瞳。ワイドショーは今
気色の悪い彼の顔一色だ。
それはつい先日まで、中学生活でのいじめを耐えつつ、放課後は
幼女を凶器で脅し林の中へ連れ込んでいた、15歳の少年の顔であった。
(つづく)



170 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/03(火) 15:18
すげーありそうで恐い。
でも続きが楽しみです。

171 :読み専でこういうのもなんだが :2000/10/03(火) 15:31
>169
このネタには俺的にはちょっといただけんなぁ……


172 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/03(火) 15:43
>169
こういうのもありだとは思うが、
気持ちよくは読めないだろうな。

173 :172 :2000/10/03(火) 15:50
あ〜、sage忘れた。

補足。
だからといって悪いという意味ではないので。

174 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/03(火) 15:56
>>172
>>173
>170
だよね?

175 :172 :2000/10/03(火) 16:17
>175
スマソ。
170のことね。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/03(火) 16:30
>170
実際に人死が出た事件だからユーモアとしても辛いね

177 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/03(火) 17:48
このスレの1からずっと見てるんだけど、
なんか実際に冬が近づくにつれて冗談じゃなくなってくるような気がしてきた。
さしあたっては、行かないけれどレボが本気で怖い・・・

178 :手動筆記人@カゼひーてdown中 :2000/10/03(火) 19:57
えーと、レヴォは要所要所に重装歩兵かクルダのセヴァール(笑)が立ってるのを
知ってるからこそ、あーゆーネタを書いたんだけど…
(というか、暴走が起きてもワールドインポートマート4階入口で詰まる)
…ネタで済むよね、ね?(泣)

#でも、今後書く予定の「冬コミ2日目のカッタ列vsヲマエモナ実働部隊との
 銃撃戦」なんてのは、さすがに起きないと思う…いや、思いたい。
(いっそのこと、デビークロケット[携帯核バズーカ]でも登場させたほうが
 フィクション感が強くなるような気がしてきた今日この頃)


179 :名無山 :2000/10/04(水) 00:00
>170
>「見て下さい、白麦茶の集団です!!」
>声が鼻につく女リポーターが楽しげに叫び、カメラが俺達を映していた

かつて
「ご覧下さい!10万人のM崎の群れ〜」みたいなことが実際にあったな。
晴海の頃だが。

180 :しーな :2000/10/04(水) 11:41
2000.12.30 am9:14 とあるアパート前

昨晩から降り続いている雪は完全にアスファルトを覆い隠し、一面を銀世界に変えていた。
「異常気象だな」
真っ白になった道路を踏みしめながら誠が呟いた。
雪は静かに降り続いている。

ここ数年見た事もないような大雪に見舞われた東京はすっかり交通が麻痺している。
「間に合うかな…。もし遅れたらこの程度の雪で止まってしまうヤワな交通が悪いんだ」
二度寝してしまい遅刻した自分の責任を棚に上げ、誠はつぶやいた。
彼の心にある棚は数え切れない。

誠はアパートの扉の前にたどり着き、チャイムを押した。
表札には「秋見 美優」と書かれている。

ピンポーン。
…ドタバタ
「は、はい」
「えと、誠だけど」
「え、もうそんな時間?ごめんなさい、ちょ、ちょっと待って下さい」
ドタバタ…
予定では9時に迎えに来るはずだった。だがとっくに9時は過ぎている。
どうやら美優も寝坊していたようだ。

181 :しーな :2000/10/04(水) 11:43
しばらくして扉が開いた。
「すみません。ちょっと準備に手間取っちゃって…」
あわてて靴を履きながら美優が玄関から出てくる。
「あ、足下」
「え、きゃあ!」
見事、美優は雪に足を滑らせ尻餅をつく。

「痛たた」
「足下、気を付けてって言おうとしたんだけど…、大丈夫?」
誠が手を取って美優を立たせる。

「すみません」
「そんなに慌てなくても大丈夫だよ」
「ごめんなさい、五月ちゃんが待ってると思うと慌てちゃって」

二人は五月の高校の時の先輩だ。
五月が高一の時、美優が高二、誠が高三だった。

今まで通り今日も五月はサークル参加で、二人は一般参加である。
元々は五月が同人活動しているのを知ったのが、この世界に入るきっかけだった。
五月が熱心に同人誌を勧めてくるのを読むうちにどんどんハマっていった。
二人ともそれまでもアニメや漫画などはそれなりに見る方だったが、
同人を知ってからは一気にその世界に染まっていった。

彼女がいなければ数多のすばらしい同人誌と出会うことがなかっただろう、と誠は思っている。
五月には感謝の気持ちで一杯だ。五月のおかげで今の自分があると言ってもいい。
その五月に感謝の気持ちを込めて、今日は差し入れなどを持っていこうとしていた。

182 :しーな :2000/10/04(水) 11:45
ひとつ心配な事もあった。
最後のコミケという事もあって、五月は一番好きなジャンルで本を出すと言っていた。
しかしそのジャンルは五月に妙な厨房をまとわり付かせることになった原因のジャンルなのだ。
大丈夫だろうか…。

「大丈夫ですよ」
美優がにっこり笑って言う。
「五月ちゃんは強い子ですから」
誠は言葉に出していたわけではない。しかし美優は誠が五月の心配をしている事がわかっていたようだ。
美優はときどきこのような勘の良さを発揮する。
宇宙世紀に生まれていたらパイロットになっていたかもしれない。
誠はふとそんな事を考えていた。
いや、でも普段のボケっぷりじゃ無理かな?

「何ですか?」
「いや何でもない。じゃ、行こうか」
「はい。…あ…」
美優が突然、足を止めて振り向いた。
そのまま虚空を見つめている。
「どうしたの?」
美優は空ではなく、もっと遠くの何かを見つめているようだった。
「あ………終わっちゃう…」
不意に美優の瞳から一筋の涙が流れた。
雪は静かに降り続いている。


その時の誠は気がつかなかったが美優の見つめている方向は
今現在、最後のコミケットが開かれようとしている東京ビッグサイトの方向だった。

183 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/05(木) 11:10
とりあえず昼あげ

184 :三文文士@「ごあいさつ」 :2000/10/05(木) 12:17
この冬のコミックマーケット59は、すでに緊急アピールでもお知らせしたとおり、
久しぶりの「次の開催が決まっていない」コミケットとなりました。コミックマー
ケット準備会は、時代が変わろうとしていく中で、参加者が変わっていく中で、器
であるコミケットの運営そのものを変えていくための多少のお時間をいただくこと
なります。

今まで24年にわたって、紆余曲折しながらも、運営しつづけてきたコミケット。
それが一時とはいえ、休止することには一抹の寂しさも禁じえません。思えば、あ
の今はなき消防会館から、大田区産業会館、川崎市民プラザ、横浜産業貿易ホール、
TRC、幕張メッセとさまざまな会場を使用してきましたが、やはり我々にとって
特に思いが深いのは、晴海・東京国際見本市会場と、有明・東京ビッグサイトでし
ょう。マンガ、アニメ、オタク、コスプレ…長年にわたり流布されてきたマイナス
イメージを跳ね返し、プラスに変えていくための我々の闘いにとって、この2つの
会場はやはり別格の意味がありました。

コミケットとは何か、これをもう一度確認していくとするなら、それは、表現を伝
え受け止めることにより自らを豊かなものにしていこうとする、主に紙を核媒体と
した交流の場です。そして、コミケットは、それを維持し、拡大させていくことに
よって、世界の中に、その価値観を定着させていこうとする意思をも持っています。

24年もの長い間、この一時だけ現れる解放区を維持するために、どれだけの力が
注がれているか、私達は参加者の皆さんに伝達していく努力を特にしませんでした。
それは、あくまでコミケットの主体は参加者の皆々様であって、それを支える裏方
が前面にでるのは相応しくないという発想であり、また、その努力は、解放区の同
志である皆さんが、コミケットの歴史を引き継ぐ中で当然に分かっていてくれてい
るであろうという一種の甘えによるものでもありました。

私達はつねにコミケットは存続の不安の中にあるといってきました。しかし、この
危機感が十分に参加者の皆さんに届いていたか。今から思えば、ここに一つの鍵が
あったのではないかと思えてなりません。今秋に起きたある同人誌即売会における
痛ましい事故は、私達にも痛切な思いを抱かせずにはおきませんでした。今回の休
止が、参加者の皆さんに、同人誌とは、表現とは、あるいは、権利とは、自由とは、
責任とはといったことについて、ちょっとでも考えていただけるきっかけになると
信じています。

それでは、また、再びお会いするその日まで、ごきげんよう。      (米)

185 :三文文士 :2000/10/06(金) 02:16
今後どういう展開でせめようかな。
浅草の名古屋事件をちょいと掘り下げてみようかしら。

今日は吉野家で、特盛り食べながらそんなことを考えてしまった。
鬱山車脳

>サンデーライター様
例のメールお送りいたしましたので、よろしくご査収ください。

186 :手動筆記人 :2000/10/06(金) 10:32
2000.11.02 PM09:37 京王電鉄新代田駅ホーム
>>75より続き)

『…これって、漫画の原稿?』
「そうっス。そしてこいつをこうすると…」
画面上のカーソルが動き、今まで白地だった場所にトーンが表示される。
白さ溢れる原稿はみるみるうちに原稿としての体裁を整えていった。
『へえ…』
「こいつのおかげで、線画を描き上げてスキャナで取り込んでしまえば
 あとは原稿の仕上げも編集作業も、いつでもどこでも行えるっつー
 寸法っスよ」
『少なくとも、台詞のネーム貼りは飛躍的に楽になりそうね。台詞が
 吹出しに入らない、ってことで何度ネームを縮小コピーしたことか』
「重たいロゴデザイン帳を抱えて図書館までコピーに行って、ロゴの
 形にきれいに切って表紙に貼っていくような手間も省けますよ」
『そういや漫研で会誌作ってた時、そういうことしてたねぇ、うちら』
そう言って二人は笑いあった。

『…でも、こういうのって何だか味気なくない?』
晶はどこか不満げな表情を正通に向けた。
「”努力を誉めて貰って喜ぶな。作品を誉めて貰って初めて喜べ”」
正通もまた、不満げな表情を浮かべながら晶に言葉を返した。
「そう教えてくれたのは晶さんですよ。どれほどの手間暇を掛けて
 描いたところで、読者にとって作者の努力なんて全く関係ない。
 作品が面白いか否か、それだけが評価基準だ…ってね」
『そうだったね、吉村…』
「それに、俺が読者に見て貰いたいのはあくまで”話”ですから」
『今の読者で、ストーリーまでちゃんと見てる奴って居るのかねぇ』
晶は自嘲的に呟く。
「いますよ。人数は減ったかもしれませんけど、きっと」
正通は自信がこもった口調で答えた。
「…でないとやってらんないスよ。こんな酔狂なこと」
正通の言葉を聞き、晶は笑みを浮かべた。
『じゃあ、その酔狂な作品を読ませて貰えるかしら?』
「あ、じゃあファイル名の末尾がページ数に対応してるんで、順番に
 クリックして読んで下さい…ってエキスプローラーって知ってます?」
『マシン叩き落とそっか?』
晶は藤子不二夫A調の笑みを浮かべながら、ThinkPadを空中に持ち上げた。
「すみません、言葉が過ぎました」
『判ればよろしい』
晶はパソコンを膝の上に戻し、正通の作品を読み始めた。


187 :手動筆記人 :2000/10/06(金) 10:33
『…あんた、一体何考えてんの?』
全ての原稿を読み終え、晶は腕組みしながら正通に尋ねた。
「何って、この原稿読んでみて解りませんか?」
正通は憮然とした表情を浮かべながら答えた。
『そりゃ、あんたの言いたいことは解るけど…創作系なんてギャルゲー
 以上に新規参入が難しいジャンルなんじゃないの?』
晶は一気にまくし立てる。
『あんた、自分も”魔法少女R”みたいになれるとでも思ってんの?』
「いくら何でもそこまで夢見ちゃいませんよ、俺は」
正通はそういってかぶりを振った。
『最近の創作少年はペラい設定資料集や鉛筆書きのラフ本ばかり増えて
 読み応えが無くなった、ってグチってたのはあんたでしょうが』
「でも、”R”のおかげでストーリー重視の作品でも高評価を得ることが
 出来る、と世間に認知されたんですよ。そうしてかろうじて出来た
 道筋に続いていかなければ、道は絶えてしまうかもしれないんですよ!
『その後に続いていくのが、吉村でなければならない理由は無いわ』
晶は言下に斬り捨てた。
「俺が続いてはいけない、という理由もまた有りませんよ」
正通は晶の眼を真っ向から見据える。
二人は無言のまま対峙し続けた。

『…あんた、自分がやろうとしていることが限りなく無謀だ、ってこと
 解ってんの?』
先に静寂を破ったのは晶のほうだった。
「同じことをダチにも言われましたよ。お前は平成の山中鹿之助か、って」
『ああ、地幼年の作者の』
「…晶さん、相変わらずギャグが難解すぎっス」
その一言をきっかけに、二人を包んでいた気まずい雰囲気は一気に消え失せた。
「第一、俺にだって同人の端くれとしての自負くらい有ります。同人なら
 同人誌で自分の言いたいことを伝えなきゃ、何のための同人なんスか?」
緊張が解けて気が緩んだ正通が本音を漏らす。
『…そうだな、吉村。まぁ、頑張りな』
晶はなぜか、どこかぎこちなく答えた。
「今日、何だかんだ晶さんと話せて良かったですよ。俺、最近落ち込んでたんで」
正通はそんな晶の様子に気付かずに話を続ける。
『何で?』
「晶さん…俺、先週居たんスよ‥‥‥池袋に」
一瞬、空気が凍った。


188 :手動筆記人 :2000/10/06(金) 10:34
『…池袋、ってもしかして?』
「もしかしなくてもレヴォですよ。幸い、巻き込まれはしませんでしたけど」
『そう…』
再び二人の間に気まずい雰囲気が流れた。
「すいません、こんな話しちゃって」
正通はそういって頭を掻く。
『いいって、吉村もショックだったんだろうし』
「そりゃショックでしたよ。血の海、なんてのを見たのは生まれて初めての
 ことでしたからね。人のうめき声を聞いたのも、瓦礫と化した…」
突如、激しい打撃音があたりに響いた。
『吉村?』
正通は自らの拳をベンチに向かって打ち下ろしていた。
晶たちが座っているベンチがびりびりと揺れる。
「…悔しいんですよ」
正通は喉から絞り出すように、かろうじて言葉を紡いだ。
「こんな事態になるまで、何もできなかった自分が」
『…あんたのせいじゃないよ』
晶はひどく悲しげな表情を正通に向けた。
「いや、俺達のせいですよ。あいつらを…カッタに並ぶような奴らを
 信者だの転売屋だのと異分子扱いして、のけものにしてきたから、
 だから、あんなことに…」
『いや、あんたは悪くないよ。だって…』
晶はここで言葉を切り、ふと目線を遠くに向けた。
『…いや、何でもない』
直後、晶は意外な行動に出た。
「…あ、晶さん?」
晶は正通の背に腕を回し、上半身を引き寄せ、自らの胸元にその顔を埋めさせた。
あまりにも突拍子も無い出来事に、正通は硬直したまましばらく動けなかった。
晶は正通の耳元まで唇を移動させ、そしてこう囁いた。
『あんたは、あんたの信じる道を行きな。少なくとも、あたしは応援するよ』
正通の耳元は晶の息吹で揺れ、正通の鼻腔は晶の香りで充ち、正通の全身は
晶の体温で包まれていた。そんな至福の状態であったため、晶の言葉は
正通の脳に全く届いていなかった。


189 :手動筆記人 :2000/10/06(金) 10:39
『…いや、あたしとしたことがちと大胆なことしちゃったな、にははっ』
晶は照れくさそうに腕をほどき、正通から離れた。
「‥‥‥」
正通は顔を真っ赤にして放心状態に陥っていた。
『よ、吉村? おーい、気をしっかり持てー』
晶は正通の眼前で掌を上下させる。
「…晶さん」
正通は、今夢から覚めたばかりのようにぼうっとした様子だった。
『なに?』
「…この、とらのあなの紙袋、持ってない方が晶さん綺麗ですよ」
『な、何言い出すのよいきなり!』
「つーか、この紙袋の中に何入ってんスか? さっき、紙袋が背中に当たった
 とき滅茶苦茶痛かったっスよ」
『…ひ・み・つ☆』
「どーせ、またキャットファイトのポーズ集でも買ったんじゃないスか?」
『”また”って、そんなもん最初から買っとらんわ!』
そういって二人は笑い合った。

「じゃあ、俺、そろそろ帰りますわ」
正通はThinkPadを鞄にしまい、ベンチから立ち上がった。
『うん、ちょっと長く引き留めちゃってごめんね』
「まぁ、今日は色々話もできましたし、思わぬ役得もあったし」
正通は先ほどのことを思いだし、再び赤面した。
『自分で言ってて顔赤くしてちゃ仕方ないねぇ』
晶はひやかすようにニヤニヤと笑う。
「そういえば晶さんは、まだこの辺に住んでんスか?」
『うん、いちおう実家だしね』
「そうスか…じゃ、電車来たんで。今日はありがとうございました」
『いや、こっちこそありがとうな、吉村』
「じゃ、また冬コミで」
正通がそう言ったと同時に電車のドアが閉まり、走り去っていった。
晶は、電車が見えなくなるまで手を振って見送り…

『‥‥‥いつから、そこに居たの?』
晶は振り向くことなく呟いた。
その口調は、今までとは全く違う冷酷なものだった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ども、お久しぶりの晶編の続きです。
続き(というか晶編終章)は夕方あたりに。

190 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/06(金) 13:55
age

191 :サンデーライター :2000/10/06(金) 15:51
今しがた「オマエモナ 01」に申し込んでしまいましたっ!
サークル名は「終わるコミケット制作委員会(おわるこみけっとせいさくいいんかい)」です。
当日はコレと前スレのSSから「終わるコミケット プロローグ版(仮題)」をコピー誌で出す予定です。
それと、どなたかサークルカットを描いてくれる方きぼーん。
テンプレートに描いてメールで私宛に送ってください。

192 :手動筆記人 :2000/10/06(金) 17:47
ども、肉般若スレをリロードしまくってたら仕事が溜まってしまいました(笑)
というわけで#190の続きは明日以降ということで。

>>192
ついに実際に動きはじめたんですねぇ。いやなんか凄いですわ。
オイラは自分の方の作業で手一杯なんで、オマエモナには一般参加で
逝くことになりそうです。
サクールカットは、描いてみたかったりはしますがオイラの絵柄は
「エコケットに逝け!」と言われそうなぷに絵なもんで、スレッドの
雰囲気に合わないんじゃないかと思ってたり。
誰か、藤原カムイばりにオヤジとウエポンとギャルが描ける人は
居ないもんですかのぉ(他力本願)

#そいえば、来週水曜日まで吉野家牛丼100円引なんですよね?>三文文士さん
 明日はダイエーで特価バーゲンが開かれそうだし(笑)


193 :流れ書き :2000/10/06(金) 19:07
最近本職多忙につき進んでません、スマソ。でも今晩から書くつもり。
ちなみに雅人編をもう1回書いてから佳織編に飛ぶかと思います。

>>192
いよいよですね。実際動き始めたという実感を受けます。
私も一般参加で逝くかもしれません。
サクールカットは、絵心ないもので……鬱出汁悩。
手動筆記人氏の「藤原カムイ」ばりというのも、確かにいいですね。
さすがにウメヅはやばいですか(苦藁


この間梅田のレコード屋で買った「この地球を神と崇める」っていう曲の、
「破壊の悲劇」っていうのがレヴォの破局に合いすぎ……鬱打。


194 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/07(土) 13:58
とりあえずあげとこう。

195 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/10(火) 05:46
ぞぬから揚げ一丁!

196 :Jr :2000/10/10(火) 17:43
>>169 しーなさん
遅レスすみません。
ファイルの一番上に書いてあるとおり、更新や追加はご自由にどうぞです。
いつアップしたかを一番上に書いておいて貰えると、混乱がないと思います。


197 :三文文士@「謝辞(うそ)」(つくりかけ) :2000/10/11(水) 11:06
本SS集の作成にあたり、以下の資料を使用しました。ここに深甚なる感謝の念を
表します。

「コミケット準備会の業革」(私家版)(日本中央競馬調教助手会)
「コミックマーケット」(文部白書増刊・文部省大臣官房政策企画課編)
「おたく市場」(大日本経済新聞社)
「コミックマーケット準備会執行機構図」(第58次コミックマーケット準備会総
本部機構監理担当)
「コミケット準備会 きしむ巨大権力」(私家版)(日本中央競馬調教助手会)
「不屈の混雑対応担当物語」(私家版)(OG会)
「コミケット準備会スタッフ憲章」(コミケット準備会スタッフ憲章製作委員会)
「こちら東3ホールBシャッター前分駐隊」(私家版)(東3会)
「孤高の帝国−検証・コミックマーケット−」(大日本経済新聞社)
「外周担当只野ブロック長」(私家版)(スタジオ・コンプリィト)
「注目のインディーズマンガ」(リクルート)

協力
日本電信電話株式会社グループ各社(全国の電話通信網の整備)
2ちゃんねる(板の整備)

てなかんじでなんか造れないか模索中です。


198 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/11(水) 11:06
あーげ

199 :しーな :2000/10/11(水) 11:19
>>197
了解しました。
自分の書いた分の時間設定を変更させてもらいました。
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt

200 :しーな :2000/10/11(水) 11:20
一応修正した内容を書き出してみました。
細かい修正が多い上、他の事件には関係ない事ばかりだと思うので、
ただの私の自己満足と思って読み流してくださいませ。


■時間の変更、設定

前スレ311
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175&st=311&to=311&nofirst=true
> 2000.12.29 pm1:34 とあるサークルスペース前

2000.12.30 pm12:04 とあるサークルスペース前

前スレ342
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175&st=342&to=342&nofirst=true
> 2000.12.30 pm12:36 とあるサークルスペース内

2000.12.30 pm12:06 とあるサークルスペース内


前スレ472
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175&st=472&to=472&nofirst=true

1行目に
「2000.12.30 pm12:16 とあるサークルスペース内」
を挿入

>>22
1行目に
「2000.12.30 pm12:25 東京ビッグサイト西2ホール」
を挿入


■ついでに年齢設定の変更

前スレ311
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175&st=311&to=311&nofirst=true
> 18の夏にサークル参加するようになって5年になる

15の夏に一般参加するようになって4年になる。サークル参加するようになってからは3年だ。

前スレ342
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=966795175&st=342&to=342&nofirst=true
> 年齢は自分より上だろう。27@`8ぐらいか。

年齢は自分より上だろう。22@`3ぐらいか。

> 「3年前の冬コミでもこうしてあなたのサークルの隣になったのよ」

「2年前の冬コミでもこうしてあなたのサークルの隣になったのよ」

> 紛れも無く、3年前に五月がこのジャンルで出した最後の同人誌だ。

紛れも無く、2年前に五月がこのジャンルで出した最後の同人誌だ。


あと五月のサークルの配置なんですが
ネコミミサークルでデジこ本を出してるんでやっぱ東館ですよね。
東1〜6のどこかはわからないですけど。

201 :サンデーライター :2000/10/11(水) 11:48
>>198
あと「同人誌の起源」(民明書房)も入れて欲しいですね(藁

202 :ヘタレ文スマソ2 :2000/10/11(水) 13:54
小さい者ほど大きい者の皮をかぶりたがる。「ネオ麦茶」も
「麦茶」という、当時その掲示板では高名だった固定ハンドル名を
いじくったものだという。・・その正体は幼い子供でさえ
凶器の助けがないと干渉できない真性のクズだというのに。
「・・・」
そこまで考えて、俺は自分を嘲笑した。
15歳。そのころやはりいじめに遭っていて、家で鬱憤ばらしに
9つ年下の妹をいじめていた俺が、言えた義理ではないからだった。

白麦茶逮捕後、当然ながら某掲示板そしてコミックマーケットへの
風当たりはクライマックスを迎えた。
掲示板は殺人予告が出る度に利用者を増やし、ネオ麦茶の時をしのぐ話題の
サイトと化していた。が、それもマスコミが
卑劣残虐掲示板として辛辣に報道するようになってからは、
バスジャック時のように逆にそれをウリにする、ということも不可能となった。
そして数日前、ついに閉鎖を余儀なくされた。

(すまん つづく)




203 :手動筆記人 :2000/10/11(水) 14:10
>>198
「コミケってそういうことだったのか会議」(大日本経済新聞社)
「米澤嘉博 未来を語る」(A!SKi)
「逆説のコミケ史」(丼沢元彦)

…も希望(笑)


204 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/12(木) 04:29
あげます

205 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/12(木) 04:35
小林よひのり「コミケ論」は?

206 :三文文士@雑感 :2000/10/12(木) 08:01
せっかくだから、こういうネタ系も入れておいたほうが面白いかなぁ。

「僕はこんな本を読んできた」(磐田次男、文藝戦国)
「コミックマーケットを想う」(吉川智恵、文藝戦国)
「情報、代表に達せず」(OG会)
「統括部、応答せよ」(コミケット準備会編集編纂担当編)
「更衣室担当斯く闘えリ」(更衣室担当戦友会)
「混雑対応担当を作った男−総統括補佐島の物語」(OG会)
「会すれど議せず、議すれど決せず、決すれど行わず」(CPS出版)
「コミックマーケットスクランブル」(CPS出版)
「まんがレポート全集」(CPS出版)
「さとみちゃんのはてしない物語」(同人誌生活文化総合研究所)
「食は有明にあり 食道楽ホール長の証言」(CPS出版)
「準備会の漢 角息シリーズ スタッフ候補生、雑務班を撃滅せよ、コンビニホッ
トスパー、東3ホールの煙、ガレリアの死闘、燃えるビッグサイト、勇士の帰還、
決戦!西ホール!、KGOBの反乱、ホール長角息」(CPS文庫)

一応、一つ除いて、原典あり。

207 :ヘタレ文スマソ3 :2000/10/12(木) 09:11
実は俺もその某掲示板を結構利用していた「名無しさん」の
一人だった。ギコ猫という、色々な変形を遂げ、
毒を吐いたり素晴らしいことをほざいたりする謎の生命体が
可愛くて大好きだったりした。匿名性の無法地帯(?)なだけに
それ故がかもしだす面白味が俺にしっくりきていたのだ・・他にも
煽りや嫌味まじりの敬語レス達で、ネットで生きていく術を
学ばしてもらったり・・無視の技術とか荒らしへの耐性とか・・・
・・俺の精神がガキらしく、あんまり体得できなかったが。
「あのう」
どもった声が、トリップ中の俺をいきなり引き戻した。
真横に小学生の女の子がいる。
ゆるいウェーブのかかったダークブラウンの髪。控えめな
グレイのカラーのアンサンブルスーツをまとっている。
こんな時に小学生がこんな所にいるのもビックリだが、
もっと俺を戸惑わせたのは、彼女の眼鏡の向こうの大きな瞳から
数滴の涙がこぼれているという、即誤解を生みそうな
シチュエイションであった。
「あのう・・あのう、えと・・」
おどおどしながら目をこすり少女は、
「ははははははい何でしょう?え、ホント何?え?」
少女の涙にパニックになる実に情けないオトコに
一体の猫人形を見せた。
・・突如俺に閃光が走った。
ヤフゥ掲示板で速攻排除された、ある1つのレス。
『ラストコミケに出没します。某掲示板で「筋肉大暴走伝説」という
固定ハンドルを名乗っていた者です。当日は某掲示板の
マスコットも連れていきます。良かったら声をかけて下さい。
合言葉は・・・』




208 :ヘタレ文スマソ4 :2000/10/12(木) 10:00
「合言葉は・・・」
指さす手を震わせる俺を、
ターンエーの口をしているギコ猫がじいっと見つめていた。
「逝ってよし」
その解答はギコ猫の持ち主を微笑ませ、大粒の涙を1粒
地面に落とした。

コテハン筋肉大暴走伝説は、ワイドショーが喜んで非道意見として
取り上げるレス達の
生みの親御さんである。ネナベネカマとはよく聞くが・・
まさかティムポマンコ連呼人間がこんな美少女小学生とは、誰が予測
できただろう。
「あ、あたしこれでも高2なんですよ」
「うそっ」
「化粧もしないし、むかつくほど童顔ですからねー
仕方ないけど、ビックリなされるの。
まあそのかわり中身は・・ね。」
・・・・うん。
少女は照れて顔を伏せた。


209 :流れ書き@自分も :2000/10/12(木) 10:42
「混対スタッフ応答セズ」(慎重文庫)
「僕の本を転売らないで」(雷撃文庫)
「ぼくらのコミケット戦争」(角沢文庫)
「コミックマーケットへの道」(エニックソ)

古本屋で適当に買ってみた本から。
ネタです、ネタ(藁

210 :名無しさんi286 :2000/10/12(木) 15:05
2000年12月28日 14:24 東5ホール内

 静かな、空間。

 敷き詰められた机。その上に並べられた椅子。静かに吹き抜ける風が、島端の机に
貼られたブロック案内表示の紙を揺らす。机に貼られたシールは、やがて訪れる
『サークル』という名の主を、穏やかな時の中で待っている。

 遠くから歓声が聞こえる。西4のコスプレ広場で行われている、設営反省会の喧噪が
聞こえてくる。設営部の頭はまだ総本部にいる筈だから、今は前座で盛り上がって
いるのだろう。微かに届く楽しげな笑い声が、耳に心地よい。

 でも、こんな空気を噛みしめることが出来るのも、これが最後。

 笹島遥、東*ホール長。C59唯一の、女性ホール長だ。今までのホール長が、今回
限りの新しい部署--メアリ対--へ異動となったため、ホール長補佐を長く務めてきた
彼女に、最後のお鉢が回ってきた…といったところだろうか。
「……ホントに、最後の最後…よね。役なんて欲しくないって、ずっと思ってたのに」
 ぽつりと呟く。寂しげな微笑み。両手を前で組み、その場に立ちつくす。
 ……天井から漏れる日の光が、肌に心地よい。願うことなら、この天気は明日
明後日の本番の日にとっておいてほしかったのに…コミケットの神様は、つくづく
最後まで意地悪なんだね。…思うとおりにならないから、また楽しい…なんて言葉が
頭をよぎったが、流石に今回ばかりは不謹慎だと思ったのか、軽く頭を振った。

「遥さん、こんなところに居たんだ…」
 不意に、背後から声。振り返らなくても、遥はそれが誰だか、声だけで解った。
「澤さんか…どうしたの、設営終わったあと姿を見かけなかったから、バックれちゃっ
 たのかと思ってたよ」
「……それは、酷いです」
 一瞬、むっとした声になった彼女が可笑しかったのか、ついクスクス笑いを
漏らす遥。
「大丈夫、澤さんがそんなコトするなんて思ってないし、いまの怒った返事でどれだけ
 本気でスタッフするつもりがあるのかは、解ったから」
 言葉を切って、遥がゆっくりと、優しい微笑みをたたえ、振り返る。

「最後のコミケットに、ようこそ」



211 :名無しさんi286 :2000/10/12(木) 15:06
2000年12月28日 14:28 東5ホール

 平穏に終わることだけを、ただ、願う。

「でも、今回は前日設営、随分と早く終わりましたね〜」
 澤由希、遥と同じ東*ホールのブロック担当は、のんびりと言葉を紡いだ。
「前日設営じゃなくて、設営、ね。設営部の上の人、呼び方にこだわってたから…。
 ま、最後のコミケってことで、一般のお手伝いさんが増えたからかな。でも、多す
 ぎて終いには飽和状態だったけどね」
「はい。私なんか、机2本と椅子を10脚ぐらい運んだら、仕事なくなっちゃい
 ました。ちょっと寂しかったです」
 てへへ、と笑いながら、人なつっこい顔を向けてくる由希。赤の他人だったら、
流石に疎ましいと思うのだろうが…二人はこれでそこそこ長いつきあいだったりする。
漫研の先輩後輩という間柄をスタートとして、片手で足りない程度のつき合いを続けて
いる。
「だから、お手伝いの人が増えたっていうのは、時短の主な理由じゃないですよね」
「だとしたら、やっぱりあれよね『代表が遅刻しなかった事』かな……って」
 代表が----の下りを見事にハモられて、遥が思わず苦笑いを浮かべる。
「だって、ガレリア側のシャッターが開いたのって、今回10時きっかりでしたし…」
「…ま、最後ぐらい予定通りに事が運ぶコミケットがあったって良いじゃない」
 苦笑いを浮かべたまま、遥が答える。どうせ、オンタイムで事が運ぶのは、今日
までだ。搬入が始まれば、そのオンタイム進行だって不可能に近いだろう…という
言葉は、流石に飲み込んだ。
 そして、由希はまだ知らない。爆発物が設営作業中に見つかったと言うことを。
最早、最後のコミケットの平和は表層だけのものとなっていた。否、それも何処まで
取り繕えるかは、甚だ怪しい
「…澤さんは、確か今日と明日だけだったよね、スタッフするの」
 ゆっくりとした口調。嫌な方向へと思考が流されないよう、出来るだけはっきりと。
「はい。クウガでサークル取れてましたので、二日目はお休みです。…ホントは何時も
 通り売り娘さんに任せるトコなんですけど…最後の時間は、自分のサークルで立ち会
 いたいんです」
 ただ笑顔だった由希の顔が、引き締まった微笑み--ほんの少し、哀しみを落とした--
になる。そんな彼女を、目を細めて見つめる遥。帰れるサークル…それは同人世界の
マイホームなのだろう。全てはそこから始まり、全てはそこで終わりを迎えるのだ。
サークル活動を止めてから数年。自分の家を手放し、沢山の家と家とを繋ぐ『場』を
守る事に専念してきた遥にとって、そんな由希のことが、少し、羨ましかった。
「……ちゃんと楽しんできなさいよ? 二日目…閉会宣言の拍手、とびっきり大きな
 ものに出来るよう、私達も楽しみながら頑張るから」

 だから、最後の瞬間まで守り、見つめ続けてみようと思う。

「はい。あ、でも、一日目の閉会宣言もそれに負けないぐらい大きなものに出来るよ
 う、私も頑張りますよ」

 皆で築き、その様々な憧憬を内包した
          コミックマーケットという、小さいけど、大きな世界を。


212 :名無しさんi286 :2000/10/12(木) 15:07
2000年12月28日 17:25 東*ホール・サークル受付

 何時も通りだと、思ってた。

「お疲れさまー」
「お疲れさまでーす!」
 遥が自分の居場所に戻ると、そこは既に臨戦態勢が整えられていた。
「えーっと…ファックス良し、電話…良し。通話確認はもう済んでる?」
「あ、電話の方は済んでます。FAXは、総本部から確認送信するって--あ、来た
 みたい」
 大きな作動音を立てながら、FAXが紙を吐き出していく。手に取る遥。
「『館内各地区長・ホール長通達……29日の目標…』」
 遥の読み上げる声に、一瞬静まりかえるスタッフ。
「『夏コミに引き続き、スタッフによる『にゅ』『にょ』の使用禁止。今回はそれに
 加え『ぴょ』『にはは』『ぶいっ』の使用禁止』」
 静寂が破られ、思わず爆笑し出すスタッフ。
「やっべ、これ今日の目標だったら、俺もう破っちゃってるよ〜」
「でもさ、今日だったら使って良いって事じゃないかぴょ? にははっ」
 笑い合う、馬鹿だけど頼もしい戦友達のおふざけに笑みをこぼしつつ、遥は続きを
読み上げる。
「……『恙なく、全ての人が楽しいコミケットの進行』」
 再び、笑い声が止んでいく。真剣な眼差し。
「…甘いお題目…全ての人が楽しいコミケットなんて、所詮は絵空事なんだけど…
 私達がそれを信じて頑張らなきゃ、コミケットは歩いていけないんだよね。大変
 だけど……頑張ろう、よろしくっ」
 親指を突き上げる人、諸手をあげて拍手をする人、微笑みながら頷く人…。此処に
いるのは大なり小なり、コミケットを真剣に好きな人たちだという事を、遥は痛感
する。前日のこんな時間まで、本番を迎えるために仕事を続けることが出来るのは、
即ちそういうことなのだと。
「えーっと、今いる外周ブロック担当は18:00に見本誌部屋集合ってことだから宜し
 く。残った人は館内張り付き隊と交代するか、見本誌箱用の郵パック作りね」
 遥の言葉に、受付に集まっていたスタッフが動き出す。


2000年12月28日 19:05 東ホール2階、とある控え室

「米沢代表が、連れて行かれた」
 唐突な館内総統括の言葉に、その場にいた全員が語る言葉を失った。
「だ、誰にですかっ!? いったい何処へっ!?」
 総毛だった地区長が、椅子を倒しながら立ち上がる。
「……警察に事情聴取だ。今回ばかりは身代わりが立てられなかった…例のサン
 シャインの件以降、警察も厳しいらしい…身代わりも立てられなかったよ」
 暖房の入っていない控え室の空気が、さらに幾分下がったように、遥は感じた。

 その場に集められたホール長以上の責任スタッフは、それ以上誰も口を開かなかっ
た。重い、空気。全館放送が、残っているサークル参加者の速やかな退出を促すメッ
セージを伝えたが、それが終わると、再び重苦しい沈黙が続く。
「……前回の発火騒ぎの時も、取り調べは長時間に及んだ。我々は、代表抜きで…
 最後のコミックマーケットを開くしかない…それだけの覚悟を、持っていて欲しい」
 総統括の言葉が、全員の希望を飲み込んでいく。せめて当日までに帰ってきてくれ
れば、という思いは、もはや空しいだけだと言うことなのだろうか。
 決して一枚岩ではない準備会。それを緩やかにまとめていた、代表の不在。それが
どんな事態をもたらすのか…。

 もはや、それは祭りではなかった。這い寄る混沌。際限なき悪夢。何が起きるのか
誰にも解らない。
「こんな最後……誰も望んでないのにっ……!!」
 遥の短い呟きが、冷たい空気の向こうに白く浮かび…消えていった……。

−−−
駄文失礼。何時もageだけだと失礼かな、と思ったので
お目汚しながら書いてみました。
多少なりとも整合性合わせようとして、ヘタレに
磨きをかけたけど…文書くって楽しいね(懲りろ少し;


213 :ログ保存人 :2000/10/13(金) 04:26
http://ueno.cool.ne.jp/endofcomike/

9/25〜10/12分までのログを更新。
春画変態さん、ヘタレ文スマソさん、名無しさんi286さんのログを追加。
他追加分のあった人の分も更新済み。
BBSは感想や連絡などにお使い下さい。

名無しさんi286さんの文を見て更新意欲が沸きました。
やっぱり意欲がそそられるようなものがあるといいですな。

214 :三文文士 :2000/10/13(金) 15:05
i286さん、まじでいいです。
なんというか、1さんのいう「最後のコミケットの空気」がスタッフの視点から、
しっかり描かれています。

215 :名無しさんi286 :2000/10/14(土) 04:24
2000年12月28日 19:27 東*ホール内

 一人、立っている。

「……寒いな」
 底冷えのする寒さに、澤由希が思わず泣き言を呟く。両手で握った使い捨て懐炉
だけが、冷えた身体に温もりを与えてくれていた。
「……そういえば、もうそろそろ雪が降るって……」
 家を出る前に確認した、新聞の時間別天気予報を思い起こして、開け放された搬入
シャッターへと目を向ける。
 頼りなげな常設照明の明かりが、トラックヤードの光景を朧気に浮かび上がらせて
いる。其処に立つゲートのスタッフや警備員達のシルエットが吐く白い息だけが、
やけに鮮明に見えた。

「なに、ぼーっとしとんねん」
 背中越しの声と同時に、唐突に襲う、頬の熱い感覚。全くの不意打ちに、肩を振る
わせ、短い悲鳴を上げる由希。
「悲鳴上げる事ないやないか……ホンマ、澤は臆病なやっちゃなぁ」
 けらけらと笑う背後の男に、由希は身体ごとくるりと振り返った。あからさまな
非難の視線を、彼に突き刺す。
「朝倉さんに、女の子をストーキングする趣味があるなんて知りませんでした」
「ス、ストーキングやなんて、んな人聞きの悪ィ----」
 朝倉と呼ばれた男は、由希の言葉に慌ててかぶりを振った。
「いっつもそうです。なんで私に近づくときは、毎回毎回不意打ちまがいのコトする
 んですか? 私だって、いい加減怒りますよ?」
 ジト目に、うっすらと涙がたまっているのを認めて、朝倉はさらに慌てたそぶりに
なる。
「ちゃうちゃうっ! 単なるジョーダンやがな、ジョーダン」
「……冗談で、嫌がらせするんですか?」
 非難の槍襖が、ずぶずぶと朝倉の耳に突き刺さっていく。----撃沈。
「……全面的に、私が悪ぅございました」
 打ちのめされた朝倉が、がっくりとうなだれ、謝罪の言葉を結ぶ。
「宜しいです。それじゃ、フォルクスで奢りということで、手を打ちましょう」
「……吉牛では、あかんか」
「駄目です」
「……まぁ、ええわ。澤の一人くらい、ファミレスで奢るくらいの財力は----」
「あ、遥さんも一緒に連れて行きますから」
「二人かいっ!」
 理不尽な由希の宣言に、思わず突っ込みを入れる朝倉。しかし、いつの間にか笑顔に
転じた彼女を見て、朝倉はそれ以上の突っ込みを入れることはしなかった。
「(……寝た子を起こすのは止めとこか……澤、今でもぐずり癖あるし)」

 朝倉圭。遥や由希と同じホールの外周ブロック長を務めている。そのうえ、高校の
漫研では一つ先輩が遥、一つ後輩が由希という、学生時代からの同人仲間でもある。
腐れ縁も此処に極まれり、といった感はあるが、本人達曰く、
『腐れ縁は腐れ縁』
 と、いうことらしい。それでも、何だかんだで仲のいい三人ではある。

「……それ以上の関係には、なかなかなれへんもんやなぁ」
「……何か言いましたか?」
「いや、何にも。それより、フォルクスの奢りはもうちょっと先の話やろ? 取り
 あえず今は、これで我慢しといてな」
 朝倉は、段ボール箱から長方形の箱に入った弁当を取り出し、由希に手渡した。
「待ってました〜。朝は軽く食べてきただけだったから、お腹空いてたんですよ〜」
 本当に嬉しそうに、箱の蓋を開ける由希。「わ、カレーですね」
「それと、お茶な」
 ずっと朝倉の手の中にあった缶の緑茶--先刻、由希の頬に当てられたもの--も、
合わせて由希に渡される。
「でもって、食うときぐらいは椅子に座れや」
「……腰が冷えるから、嫌です」
「立ったままカレーをかっこむような真似はすな」
「……」
 しぶしぶ、外周通路に置かれたパイプ椅子に腰を下ろす由希。
「お尻が冷たいです……」
「我慢せい。なんやったら、本部に戻った時に交代要員回すようにするけど----」
「それは、いいです。まだ、私が此処に交代に来てからそんなに時間、たってま
 せんし」
 館内定点警備--外周通路や中央通路などで、車両や人員に注意を促す--に由希が
着いてから、そろそろ三十分。身体も十分に冷えた頃合いだったが、もうちょっとだけ
頑張っていよう、頑張っていたい…そう由希は思っていた。
「ま、ええわ。了解」
 ぼちぼち交代時間なんやけど、ま、人手に余裕があるわけや無し、もうちょっと
頑張っててもらおか。それに、一度言い出したら聞かへんからな、こいつは。朝倉は、
心の中で小さく嘆息した。

216 :名無しさんi286 :2000/10/14(土) 04:25
「あとな、搬入終了時間、予定よりかなり遅くなりそうやねん」
「え、なんでですか?」
 今にもカレーを頬張ろうとしていた由希は、スプーンを下ろすと朝倉の顔を見上
げた。朝倉が答える。
「最後のコミケっちゅーことで、サークルも張り切ったんやろな。申込書に書かれ
 てた新刊の総搬入予定量、前の夏コミの五割り増しっちゅー話は、拡大で聞いた
 やろ?」
「はい。でも、大抵は落としたとか、ダミーのなんちゃって新刊とかで、実際の発
 行率はかなり下回るだろうって、その時言ってましたよね」
 軽く頷く朝倉。
「しかしやな、今回はその予定量の9割が、きっちりと発行、印刷、でもって搬入
 されるんやて、マジで」
「……9割ですか」
 流石に、この発行率には由希も驚いた。思わず、ホール内をぐるりと見回す。
「……もう殆ど搬入終わったね、って感じの梱包の数に思えるんですけど。しかも、
 いつもよりちょっと多めくらいの」
 外周や偽壁の搬入量が凄いのは言うまでもなく、島中でも結構な量の梱包が積み
上げられている。お誕生日席の幾つかでは、堆く積み上げられた梱包--下手な外周サー
クル並--が、荷崩れ防止用の透明ビニールでグルグル巻きにされていた。
「……搬入量過多で販売停止カード出さないかんようなところも、結構ありそうやな。
 ともかく、今の段階で搬入が済んでる業者は、三分の二っちゅーとこらしいわ」
「残りの業者さんは?」
「まだ北一駐車場や。ホール内に入ってもこれてへん」
 今度は由希が、心の中で嘆息する番だった。宮内庁や皇宮警察から、業者による
朝搬入は『絶対禁止』との通達…というよりは命令が、準備会に言い渡されていた
ことは由希も知っている。開会宣言をするという親王殿下の警護に、万全を期すと
いう理由のためだ。
「……朝搬入を禁止しても、結局、サークル入場時間はどうやっても混乱するんです
 けどね〜」
「全くやな。ま、殿下はんが開会宣言するんは、確か西のアトリウムっちゅー話
 やったと思うから、多分東は西ほどには混乱しないとは思うねんけど----」
 今の言い様は、流石に西のスタッフに悪いと思った朝倉だったが、直ぐに忘れる
ことにした。夏コミで、あんな巫山戯たパニックを引き起こした西の奴らに、詫びる
ような言葉なんかあるわけないわ。……拡大集会で流された夏コミの事件のビデオを
見、事件の顛末を、瑣末なところまで聞かされ、知ったときにわき起った怒りが、
未だ収まっていない朝倉であった。
「そーゆーことで、最後のトラックが搬入終わってホールを出てくまで、ワイ等は
 帰れへんモンと思っといた方がええな」
 そう言って、ニヤリと笑う朝倉。
「ははひは」
 口に含んでいたスプーンを、慌てて引き抜く由希。
「私は、元からそのつもりですよ。最後のコミケットには最後までつきあうって、
 腹をくくってから家を出てきたんですから」
 スプーンをぐっと握りしめて、由希は微笑んだ。
「えぇ度胸やな。本番迎える前にへばるんやないで」
「朝倉さんこそ」
 お互いの顔を一瞬見つめ合い、そして、笑った。

   準備会内部で起きつつある異変に気づくこともなく
       『玩具の兵隊』は夢につこうとしている
           ラスト・コミケット
                史上最大の、悪夢


217 :名無しさんi286 :2000/10/14(土) 04:48
1アーティクルで収まらなかった…宇津田誌納(泣。
一昨日UPしたのも、ところどころ説明抜けててイミフメだし。

>214
あう、恐縮です。あと、ログ追加ありがとうございます〜。マジ恐縮です;
>215
ありがとうございます。このスレはつい最近読み始めたのですが、
三文文士さんの「緊急アピール」や「ご挨拶」をはじめ、スレ全体に
インスパイアされて、つい口を(文を)挟みました。これからも、
皆さんの活躍に期待しています〜。
 

218 :Jr :2000/10/14(土) 17:12
http://members.nbci.com/doujin2/date.txt
レヴォを29日に修正、>>216の分まで追加。

私信でスミマセンが、
>サンデーライターさん、字並べ屋さん
ファイルを送りましたのでご確認下さい。

219 :サンデーライター :2000/10/15(日) 05:27
http://members.nbci.com/doujin2/ を、少しいじってみました。

220 :へたれ文スマソ5 :2000/10/15(日) 10:33
少ししてから顔を上げた少女−筋肉大暴走伝説は、逆三角ののっかった建物を見つめ、
しばらく沈黙していた。
有明の広い空に紅い陽が昇り始めた。
それは人間も建物も空気も穏やかに染め上げ、俺のちっぽけさ・・・
お前にとって大事なものがなくなっても、時間は立ち止まることなく
進んでくんだボケィ・・・を教えてくれるようでもあった。
「レス、ありがとう」
筋肉大暴走伝説(以下筋肉)がふっとつぶやいた。
「すぐ消されちゃったけど、ヤフゥのやつ。うれしかった。
貴方以外は荒らししかいなかったから」
「ああ・・・荒らしっていうか、PTAババアのヒステリーで
染まってたね、他のレス。無視って言葉をしらんのかって感じの」
「はは」
苦笑の後、筋肉は寂しげに再度うつむいた。
「みんなひどいですよね・・某掲示板利用してた人って多いと思うんですよ、
ヤフゥ掲示板利用者の中にだって。みんなあんなに使っていたくせに・・」
「ああ・・」
現在は利用してたことがばれると近所で白い目で見られたり、学校では
いじめられたりするようだ。筋肉は皮肉をたっぷり込めてこう言った。
「マスコミが悪いと言ったら即同意で、本当日本人てかんじ」
「はは」
今度は俺が苦笑する番だった。

「・・にしても」
声色ががらっと変わり、筋肉の瞳は俺を映していた。
「ん?」
「いや、なんか」
少女は首筋をなで、少し困っているようだった。寒さのせいか、
頬は薄く赤みをさしている。
「びっくりしちゃったぁ・・まさか
『伝説の名無しさん』が、こ、こんなかっこいい人だったなんて・・・」
「・・は」
「『おれも行きますよー、ラストコミケ。金髪見かけたら声かけて』
レス見たとき、オイオイどんなオタクだよゴルァっておもったけど・・・
超今風。マジえ、本当あの人?って感じだったし」

221 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/15(日) 13:43
絵描きさん向けにお絵かき掲示板を作ったらどうかな。
ホームページとか作ったことないから、言いっぱなしになっちゃうけど。
ごめん。

222 :へたれ文スマソ6ほんとにヘタレ :2000/10/15(日) 15:03
最初の緊張度が薄れ、筋肉のしゃべり方は女子高生のそれへと
姿を戻していくようだった。反対に、
「は、はあ・・そッスかね。ど、どうも・・」
褒められるのが苦手な俺はだんだんと腰が低くなっていった。
・・まあ、容姿なんて何とかしようと思えばいくらでも色が付けられる。内向的な
自分を何とかしようと思って、まず髪をブリーチすることから始めた、
ただそれだけのことだった。やってる間うとうとしてて、気がついたら
見事な黄色になっていた、というのは流石に内緒だが。
「ていうか、××の●●に似てるって言われません?」
「あ、あのさあ」
その手の話を長くされるのはつらい。俺は話を飛ばした。
「寒くないの?スカートのスーツで・・・タイツじゃ足つらくない?」
見た目は凛々しいが防寒度は低そうな姿を心配した。
「ああ、・・・寒くないって言ったら嘘ですけど。でもいいんです。
だって今日は最後のコミケだもん」
筋肉はふふっと微笑して、またビックサイトを仰いだ。
「うち、両親がオタクで。あたし生後1ヶ月からコミックマーケットに
出てるんです。もー生まれついてのオタクっつーことですねー!・・・それだけコミケと
付き合っちゃうと、ハイ今回で終わりですゆわれても納得いくわけ
ないっちゅーか?ふざけんじゃねーってゆーか?報道網がすごいから行くなとか
両親がいいやがっても、何か、・・」
筋肉は言葉を止めた。
「・・・」
それは次の言葉が重いことを予感させた。
「・・何か、それって・・ずっと付き合ってた人をあっさり裏切るみたいで
できませんよね。・・これでもあたし、今半端じゃなく悔しいんですよ。
悔しくて悔しくて、どうして夏のコミケで白麦茶殺っとかなかったんだろうって
馬鹿なこと考えちゃったりもしたりするんです」
「だから今日は偉大なコミックマーケットへの敬意を表して、スーツできました。
だから何じゃあとつっこまれるとこまるんだけど、あはは」

223 :なじょ :2000/10/15(日) 23:04
「くだらない」
男の頭に足をかけて、彼が叫んでいる。
「なあ、くだらないと思わないか?」
飛び散る唾液が男の顔にかかる。
「どいつもこいつも、いい年して、ロリコンエロ漫画買うために」
男の顔から血の気が引いた。黒く鈍く光る、確かな存在感を持った銃口が男の頭に向け
られている。
「この寒い中、徹夜までして並んでるんだ。気違い沙汰だと思わないか?」
ごつん。男の頭が銃で小突かれた。
「オイ、聞いてるか?」
「聞いてるさ」
男の声には明らかな不快感。
「違う」
男の頭に狙いをつけていた銃口が外れる。
「何だって?」
「黒人がみんなジャンキーのこそ泥じゃないように、日本人が出っ歯の眼鏡じゃないよ
うに、オタクだってそんな奴らばかりじゃない」
「ほお」
「大体この日本にオタクって呼べる人間が何人いると思ってんだい?ここにいる奴らだ
けでも二十万人は超えるんだ。そんな数の人間を一括りにできるわけがないだろ?大体
徹夜してる奴らなんか、僕に言わせれば只のクズだ。それこそいい年して刹那的
快楽主義者みたいに。いいかいよく聞いてくれよ。ひとつのことについて決断を下すま
では、態度を保留してたっていいんじゃないか?なんでそんなにすぐに決めたがるんだ?
僕達が、僕達が」
そこで男は言葉に詰まった。
「何かしたかって?してるさ。特にオマエはな」
再び男の頭に銃口が押し当てられた。
「言っていることには納得できるな。だがな」
彼は天を仰ぎ見た。
「オマエは臭すぎるし、太すぎるし、喋り方と言ってることは合わせてホモくさいし」
「俺を、殺すのか?」
「自分を省みるということを知らないし、言ってしまえば厚顔無恥」
「なあ」
「多分、成長しきれてないってことだ。最後に何か言い残すことは?」
「・・・・・・」
「つまんねえ奴」
ぷしゅ。
「あ、しまったな・・・ニュース板に立ててくればよかった」
「ちょっと!ここは故障中ですよ!」
言われた彼は振り向き、にこやかに言った。
「あぼーん」
ぷしゅ。

224 :手動筆記人 :2000/10/16(月) 02:42
2000.11.02 PM10:05 京王電鉄新代田駅ホーム
>>190より続き)

電車から降りた客が改札口に消え、再び静寂が戻ったホームに晶は一人
立っていた。
ふと、11月の冷たい風が晶の頬を撫で、肩まで伸びる髪を梳いてゆく。
その姿は幻想すら感じさせる艶やかさだったが、しかし、そこには先ほどまで
正通とふざけ合っていた朗らかさ、陽気さは微塵もなく消え失せており、代わり
に冷ややかなオーラを身に纏っていた。
「…一応、礼儀として気配は消したつもりだったんだがなァ? ヒャヒャヒャ」
誰も居なかった筈の、晶達が座っていたベンチの後ろの茂みから人影が現れた
…いや、以前からずっと居たのだ。それほど完璧に気配を消していた。
『無駄口はいいから、可及的速やかに用件を終わらせてもらえるかしら?
 同志インコンパラブル』
「相変わらず冷たいねぇ、同志マレイヤ。で、さっきのあんたの後輩とやらは
 あんたのお眼鏡に適ったのかイ?」
インコンパラブルと呼ばれた男は、20歳そこそこに見える優しげな青年の姿
とは裏腹に、下卑た口調と虫酸が走るような笑い声と肩に掛けたコミケット
紙袋(小)が奇天烈なグルーブ感を醸し出しまくっていた。
『…ダメね、あの子は』
無表情のまま、晶…マレイヤは肩をすくめた。
『夢を見てしまってるわ』
それはささやかな、しかし叶えられることは希有な夢。
自分の作品が他者に認められる夢。
自分の作品が他者の意識を変えるほどの影響を与える夢。
『…夢の世界にいるうちは、私たちの仲間になどなりはしないわ』
「なら、その夢を覚まさせてやればいいんじゃねェの? ヒャヒャヒャ」
『冬コミで現実に打ちのめされることだけは間違いないわ。でも、それでは
 遅すぎるの。我々が事を起こすのはその冬コミにおいてなのだから』
「確かにそりゃそうだ。ま、モナー隊を一個連隊作れるほどスカウトして
 きた”地獄のメーテル”が言うことなら間違いねェだろうしな」
『私がスカウトしたメンバーは、まだ百人にも達していなくてよ』
”地獄のメーテル”か…
マレイヤは、その言葉を心の中で反芻する。彼女はあらゆる手段を弄して
数多の青年をメンバーに引き入れてきた。そして、彼等を決心させるための
最後の駄目押しの一言は、いつも同じだった。
”古き良きコミケを徹夜・悪臭・暴走と傍若無人の限りを尽くして荒らし、
 ついにはレヴォを潰し、そしてコミケすらも滅しようとしておきながら
 今も反省することなくのうのうと生き続けるクソオタ共に、貴方の手で
 正義の裁きを下し、この世は因果応報であることを思い知らせてみる気は
 ないかしら? 我々には、それを実現できる「力」が有るのよ”
大義名分を得て自らが正義の味方となり、”悪”に対して一方的な暴力を行使
することができる誘惑に抗えることができる人間は、それほど多くはなかった。

「しかし、あんたがスカウトしてきた純粋真っ直ちゃん達も、まさかあんたが
 レヴォ大暴動の糸を裏で引いてたなんて思いもしねェだろうがな、ヒャヒャヒャ」
マレイヤの内心を知ってか知らずか、インコンパラブルの下卑た笑い声が響く。
『あんたは、歴史の教科書に落書きしたことは無いの? 織田信長が本能寺で
 死ななかった後の天下統一の進撃路を。日本海軍がミッドウェイで敗北しな
 かった後の連合艦隊の航跡を』
今まで無表情だった顔に自虐を込めた笑みを浮かべ、マレイヤは話を続けた。
『…私が立てた作戦案も、そんな誰でも思い描くような空想の一つ。ただ、
 今まで誰も実際に行動に移したバカが居なかっただけ』
「じゃあ、実際にヤっちまった俺様はヴァカか? 確かにヴァカだけどな、
 ヒャヒャヒャヒャヒャ! あの作戦書もごちゃごちゃ書かれてた前文など
 一言も覚えちゃいねェけど、行動自体はたったの二言だったしな。
 ”カッタの新刊が下の間に有るともっともらしく話せ、そして走れ”てな」
インコンパラブルの耳障りな笑い声が響く中、彼女は前文を思い出していた。

”エス(粛正対象者)の愚劣さを天下に知らしめて他の一般参加者の義憤を
 喚起してエスたちを隔離排斥させるため。また、エスの暴走阻止の失敗に
 よってレヴォスタッフ間の内紛を誘発させてその力を殺ぎ、しいては混対
 の中核をなす彼等を弱体化させることによって[来るべき粛正の時]遂行の
 際の障害を取り除くため、以下の作戦を立案するものである…
 Operation -Red October-”


225 :手動筆記人 :2000/10/16(月) 02:54
マレイヤ…当時はまだ”モナー六十三号”と呼称されていた…が提出した
作戦計画書は、直属上官の手により最高意志決定機関”休息所”にて諮問
に掛けられ、それは意欲的なものとして[来るべき粛正の時]への陽動作戦
の一つとして採用・承認された。
彼女は、作戦実務担当者として、自らの同期生であるインコンパラブル
…当時彼も”モナー六十五号”と呼称…を指名し、許可を求めた。
有能ではあるが奇怪な言動が多すぎる六十五号の扱いを考えあぐねていた
上層部は、半ばやっかい払いをするように許可を与えた。
彼は人間として大切な何かが完全に欠落していたが、その代償なのか
非合法活動工作員として求めうる最高の資質を備えていた。

マレイヤ…いや、六角晶個人として、作戦計画の中に秘められた願いがあった。
願わくば、自ら立てた作戦が失敗に終わることを。
この作戦は、インコンパラブル一人が騒ぎ立てたところで同調者が居なければ
何の効果も及ぼさないものだった。エス(粛正対象者)が何のアクションも
起こさず粛々と並んでいれば、[来るべき粛正の時]の際のこちらのアクションも
比較的穏やかなものになるはずだった。
守るべきルールはただ一つ、「自らの理性を保つ」。いくらカッタ列に並ぶ
愚か者達でも、夏コミにシャッター前で起こした惨劇から学習しているはずた。
彼等を誅殺する事に躊躇は覚えなかったが、好きこのんで滅殺するほど好戦的
でも無かった。彼女は最後の可能性に賭けた。
しかし…

「でもよ、レヴォで並んでたのは俺様以上のヴァカどもばっかりだったぜ。
 奴等、俺様がちょっと演技をしただけで勝手に暴走し始めやがったからナ!
 ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
彼女が開いたパンドラの箱には、”希望”すら残されていなかった。

予想を遙かに超える戦果が認められ、モナー六十三号は”マレイヤ”のコード
ネームが与えられ、作戦・諜報参謀として”休息所”の末席に加えられた。
モナー六十五号もまた、”インコンパラブル”のコードネームと共にマレイヤが
立てた作戦に関してフリーハンドで関与・遂行できる権限が与えられた。
そして彼等の昇進と同時に、”休息所”において[来るべき粛正の時]のために
立てられたいくつかの作戦計画のうち、"Case White"(白の場合)が全会一致で
承認・発動された。
それは、考え得る限りにおける”最悪”を具現化したような作戦計画だった。

----------

ども、何か文章がいつまで経っても纏まりそうにないので、自らにカツを
入れる意味も込めて前半部をUp。
最近、凄い文章書きさんが多数参戦してきてちと焦ってたりするし(^^;
懸案の情報処理試験も終わったし、とりあえず後編がんばろ。


226 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:51
2000年12月28日 20:49 東*ホール・サークル受付

 目に見える形で、始まった

「お疲れ、由希ちゃん。其処に温かい飲み物が有るから、一本もってって」
「お疲れさまです、えー、なんでもいいんですか?」
 結局、由希は搬入作業が終わるまで、館内警備から離れる事はなかった。幾度か
交代要員は来たのだが、
『私は大丈夫だから、他の人のところへ行ってあげてください』
 と、にっこり笑ってしまわれては、交代をしに来たスタッフも、帰るほか無い。
「それじゃ、コーンポタージュ頂きますね」
 コーヒーやお茶の缶に混じり、一つだけ残っていた小さな黄色い缶を取り上げると、
両手で包み込むように持ち替えた。冷たい手に、じんわりと広がる熱さが心地よい。
「……よっ……と」
 サークル受付のスペースへと入り込む。乱雑に出されたパイプ椅子の一つを選んで、
ちょこんと座る。一つ息を吐き出すと、由希はゆっくりと顔を上げ、東456の全景を
見渡した。

 張りつめた、静けさ。机の下に積まれた新刊、椅子の上には大量のチラシの束。
そして、その視界には人一人存在しない。白く冷たい水銀灯の光が、無人のスペー
スを、通路を、照らしている。
 由希は、この光景を見るのが好きだった。色んな人の思いが込められた、百万からの
新刊達が静かに眠りについている、この時間を見るのが。明日には、作り手の価値観に
共感した見知らぬ誰かの手によって、この有明を離れていくのだ。
 そうして運ばれた思いは、やがて有明へと帰ってくる。
 それは、こんな素敵な本にもっと沢山出会いたいと願う、参加者の形を取るだろう。
 それは、そのジャンルへの思い入れを増幅された、既存サークルの新刊という形を
取るだろう。
 ひょっとしたら、私達もこんな本を描いてみたい、私達の思いを伝えたい、という
新規サークルの形を取るかもしれない。

 出会いは、此処で生まれる。その出会いの場に立ち会うことが出来るのが、由希には
嬉しかったのだ。『よーするに、拡大再生産ってやつやろ。ホンマに澤はドリーマー
入っとんなぁ』……朝倉さんにこの事を話したときには、そう言って笑われたけれど。
「……(でも……もう、終わっちゃうんだよね……)」
 コミックマーケットは、終わりを迎える。何れは、このコミケットに代わる別の
即売会が、『出会いの場』を提供していくのだろう。由希が、それをスタッフとして
支えることは、恐らく、無い。彼女が好きなのは、『コミケット』の空気だったから。
「…………」
 目尻にたまった涙を、誰にも気づかれないように拭い去る。感傷に浸るのは、
コミケットが終わった後で十分できる。……どうせ泣くなら、終わった後に思い切り
泣こう。

 Trrr...Trrr...Trrr...

 突然、電話の着信音が響いた。その場にいたスタッフ達は、雑談を止めてそちらへと
振り向く。そして、由希も。
「もしもし、東*サークル受付です----」
 由希に笑顔で飲み物を勧めたホール長付が、受話器を取り上げた。何の用事だろう。
ホール長の遥さんはまだ帰ってきてないし、今日の仕事は殆ど終わってる筈なんだけ
ど。こくこくと、少し温くなったコーンスープを飲みこみながら、考える由希。
「----------------そうですか……解りました……はい、それでは」
 電話の応対の声が強張っている事に、その場にいた全員が気づいていた。受話器が
置かれ、注目のホール長付がこちらへと振り返り……一言。

「西ホールで、暴動だ」


227 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:53
2000年12月28日 21:00 西2ホール

 解れていく、結束

「…………ひどい……」
 口に手を当て、由希は思わず呟く。
 机や椅子、チラシが、床一面に散乱していた。何処かのサークルの梱包が踏みつけ
られ、或いは引き裂かれ、中身の新刊がそこら中にばらまかれている。少し遠くでは、
赤帽の軽トラックが横倒しにされているのが見えた。
 そして、殺気だった空気。スタッフや警備員に取り押さえられた人々が、ヒステ
リックに意味不明なことを叫び続けている。男女の割合は半々といったところか。
「……取り押さえられたんは、だいたい五十名そこそこっちゅー感じやな。全員、
 サークル参加者や」
 不意に、背後で朝倉の声。由希はちらりと朝倉を見やったが、直ぐに視線を戻す。
「……見知ってる顔も、ちらほらいますよ。みんな、かなり大手のサークルさんです」
 小さく呟く由希。
「そっか……それと、あの子らが暴動起こした相手っちゅーのが、そこでへたばっとる
 おっさん達や」
 朝倉が指を差した方へと、由希も視線を移す。額に血を滲ませながら、肩で息をし
ている男が数人。襲いかかられたことに怒るでもなく、神妙にスタッフの手当を受けて
いる。……やっぱり、見知った顔だった。
「……印刷所の、人ですね」
「あぁ。それと、犬の兄ちゃんらが何人か、救護室に運ばれたみたいやで」
「…………」
 由希はそれ以上、何も言わなかった。取りあえず、何があったのか知ろうと、手近な
スタッフを探す由希。
 居た。腕章をした恰幅のいい男が、こちらに背を向けている。もう数人、男性スタッ
フが近くにたむろしていた。何かを取り囲むように。
 中心に、少女。首からぶら下げている前日搬入通行証…サークル参加者らしい。
 少女は、泣いていた。
「……どうしたんですか?」
 スタッフに問いかける、由希。振り向いたスタッフのIDカードには、『西地区・
地区長代行』と記されていた。
「……東のスタッフには関係ない。さっさと自分の居場所へ戻れ」
 一瞬、由希の胸のIDを確認した男は、敵意のこもった言葉を投げつける。まるで、
親の敵でも見るかのような、そんな視線も合わせて。
「東だ西だって、そんなの関係ないじゃないですか」
 由希は、真っ向からその視線を受け止めた。かなり身長差があるから、見上げる
ような形ではあるが。
「だいたい、女の子を寄ってたかって男の人が取り囲むなんて、サイテーです。取り
 押さえられてないところを見ると、彼女が暴れたとかって訳でもないみたいですし」
 一息ついて、
「その子は、こちらで保護します。貴男方は別のお仕事をして下さい」
 由希が、きっぱりと言い放つ。色めき立つ四人のスタッフ。
「下っ端如きが偉そうなことを抜かすなよっ。これだから、東の馬鹿スタッフは
 使い物にならねぇんだよなぁっ」
 代行の隣にいる男が、そう怒鳴った後、下世話に笑った。追随する三人。
「……(……おかしい)」
 怒りよりも先に、小さな疑念が生まれた由希。イントネーションも、間の取り方も、
言葉の勢いにも、妙な違和感を感じるのだ。こちらを煽ろうとして、使い慣れていない
汚い言葉を無理に使っているように感じた……自分の意志とは別に。
 なら、なんの為に? 東西間のスタッフの関係を悪化させる為? もしそうだと
したら、何の理由があって? 得になることなんか、一つもないだろうに。……そんな
由希の疑問も、次の西館スタッフの一言で、怒りの向こうへと消えた。
「----ペーペー女なんかがホール長張ってるトコの下っ端スタッフは、トップ同様
 頭が空っぽのヤツが多いのかね----」


228 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:56
 ぱんっ

 派手な音。そして、静寂。ざわめいていた空気が、その音に飲み込まれてしまった
かのようだった。その場にいた全員が、音の発生源へと視線を向ける。
 右腕を振りきった由希。二、三歩蹌踉けた後、左頬を押さえながらスタッフが座り
込む。抜く手も見せない、見事な平手打ちだった。
「(目にも止まらぬ早業っちゅーのは、まさしくこの事やな……)」
 苦笑いをしながら、凛然と立つ由希に見ほれる朝倉である。
「(しっかし、由希に対して遥さんの暴言を吐くとは、不運なやっちゃのぅ……)」
 何が起ったのか解らず、暫く惚けていた男の顔に、怒りの表情が沸き上がる。
反動をつけて素早く立ち上が----ろうとしたが、床のチラシに足を滑らせ、再び
倒れ込んだ。あちこちで、失笑。
「てめぇ、何しやがんだっ!!」
 女性に殴られ、無様に転んだ男----それも大勢の人が注目する中で----は、最早
怒鳴り散らすしか、取り繕う術を持たなかった。
「向こうでお話、聞かせてくれるかな?」
 頬を涙でぬらしたまま、きょとんとした目でこちらを見る少女に、由希が優しく
話しかける。柔らかい微笑み。
 回りを取り囲むスタッフと、情けなく倒れ込んだままのスタッフは、完全無視。
「…………っ!!!!」
 由希にはり倒された男は、声にならない叫びを上げながら立ち上がり、由希の肩口を
掴み上げた。由希の軽い体が、木の葉のように揺り動かされる。男は力で、由希に
対して有利な立場に立とうとした。しかし。
「……殴りたければ、どうぞ」
 凛とした、冷たい言葉。何も見ていないかのような無感情な視線が、男の怒りを
更に駆り立てる。男の自由な方の腕が引かれ、由希へと振り落ろされた。
「そこまでにしとき」
「……朝倉さん?」
 その腕をやすやすと掴んだ突然の朝倉の姿に、由希が目を瞬かせる。
「あんまし男を追いつめんなや。痛い目にあいたいっちゅーわけでもないやろ?」
 そのまま、男の腕をひねり上げながら、一瞬考える顔をする朝倉。
「もしかして、マゾの気があったりするん?」
「しません」
 即答。
「ま、冗談はおいとくとして----」
 そのまま、捕らえた男の手を離し、三人へと突き出す。「地区長代行ともあろう
 人が、小さな女の子一人威圧するだけしか能が無いっちゅーわけでもないやろ?
 これ以上醜態さらす前に、とっととどっか行かんかい」
 朝倉は薄笑いを浮かべながら、ひらひらと手を動かした。
「あん? 巫山戯たことを……そういうお前には、一体どんな----」
 地区長代行の口が、ぴたりと止まる。視線が、朝倉の顔とIDを行き来していた。
「『ゲートキーパー』の、朝倉……」
「んなアニメの役所で人を呼ぶな、けったくそわるい」
「遥さんは、『シャッター前の守護神』って呼んでいましたけど」
「それはそれで、むっちゃダサいやん……」
 ……しっかし、俺も有名になったもんやな。朝倉はぽりぽりと頬をかきながら、
自分のネームバリューを思った。


229 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:56
 全戦全勝。館内総統括にそう言わしめる彼は、幹部スタッフの間ではよく語られる
存在だ。
 朝倉が陣頭指揮に立つシャッター前が混乱に陥ったことは、ただの一度もない。巧み
な話術で、一刻も早く大手へ走りたい参加者の感情を掌握し、最善のスタッフ配置で、
それらの参加者を安全にトラックヤードへと誘導する…言うほど簡単なことではない。
一次防衛線すら踏み越えさせず、シャッターが完全に開放するまで完璧に群を押し
止める----それが例えカッタ目当ての群であっても(最も、カッタ目当ての群を担当
したのは二度しかなかったが)----のは、今のところ彼にしかできない芸当であった。

「それとも、ホンマにそれだけしかでけへんのか? やったら、随分とヘタレた地区長
 代行…あぁ、地区長のヘタレな部分を代行してんねや、それやったら、納得やわ」
 今度は、嘲笑混じり。一旦は元に戻った地区長代行の顔色に、再び朱が入る。
「……仲裁に入って、余計怒らせてどうするんですか」
 小声で、由希が責める。
「……何のために怒らせてんねん。怒りがワイに向いとる間に、澤はとっととその
 娘連れてどっか行かんかい」
「……朝倉さんの、西のスタッフへの憎悪を、ただ叩き付けてるだけに見えます」
「うっ……」
 朝倉の、一見納得できそうな言い訳を、由希はあっさりと看破した。
「でも、時間は稼げたみたいです。ありがとうございました」
 言葉に詰まった朝倉に構わず、由希は小さく頭を下げる。
「……何のことや----」
「こそこそ喋ってないで、こっちを----」
「何の騒ぎだっ!!!!」
 朝倉と地区長代行の言葉を、威厳のある声がかき消した。
「……総統括」
 地区長代行の震えた声が、その名を呼ぶ。朝倉も、緩慢な動作で其方へと振り
返った。
「……何やってるの?」
「げ……遥さん」
 総統括の隣に立ち並ぶ、館内担当幹部スタッフの中に遥がいるのを見て、ばつが
悪そうに頭をかく朝倉。遥は、まだ事態を把握できずに、朝倉と由希を交互に見やっ
ている。
「乱闘騒ぎがあったと聞いて取り急ぎ来てみたが……まさかスタッフ間での事だっ
 たとはな」
 そう言って、館内総統括は朝倉と由希、地区長代行に視線を留める。素知らぬ顔の
朝倉、総統括をそのまま見据える由希とは対照的に、妙に慌てたそぶりになる地区長
代行。
「地区長代行。君は、地区本部に戻っていろ……詳しい話は、後で聞く」
 総統括は冷淡に言い放つと、返事も聞かぬままに朝倉達へと歩み寄った。
「朝倉……君も引いてくれ。此処は西ホールだ。回りの目も考えろ」
「へぃへぃ」
 両手を広げて小さくバンザイをすると、朝倉はやる気もなさそうに頷いた。もっと
も、これ以上地区長代理を挑発する事は、回りにいる西の一般スタッフをも無用に
刺激することになるとは、朝倉自身も理解している。
 総統括は小さく頷くと、次は由希へと顔を向ける。
「剛気な女性だな……それはいい。ただ、暴力を振るうのは感心しない」
「……見ていらっしゃったんですか?」
「そこのスタッフの顔が腫れているのでね。朝倉が殴ったのなら、あの程度では済ま
 ないし、ならば君が手を挙げたのだろうと考えたのだが、違ったか?」
 指を差された男性スタッフが、何かを訴えようと口を開いたが、総統括に一睨み
されて縮こまる。
「以後、気をつけます」
 由希は、微笑みながらそう答えた。


230 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:57
 乱闘に加わったサークル参加者達が、次々と警察官に連れられていく。恐らく、この
コミケットの間に解放されることはないだろう。彼らのコミケットは、これで終わっ
たのだ。
 その様子を、遥達は黙って見つめるしかなかった。何か理由はあるにせよ、法という
ルールを破った以上、罰を受けねばならない。遥の横に立つ朝倉も、ただ黙って彼らを
見送っていた。由希は、先ほどの少女の肩をしっかりと抱いている。少女は、泣いてい
た。彼女と共に訪れたサークル仲間は、既にホールから連れ出されていた。
 それは、まるで、葬列のようだった。
 乱闘の時は猛り狂っていただろう参加者達は、今はただ黙り、肩を落とし、警察官に
付き添われながらホールを後にしていく。それを見送る乱闘に参加しなかった参加者や
スタッフ達も、何事も口にしなかった。ただ足音だけが、その場にいた者の心に、
ずしりずしりと積もっていく。確かな重みと、哀しみ。

「----あー、すいません」
 遥は、声の方向へと視線だけを送る。何時の間にいたのだろう、其処には男が一人
立っていた。背広に、すり切れそうなコート。腕には、警察の腕章。
「……やっと気づいてくれた。あの、私、湾岸署の----」
 何やら自分の名前を言ったようだが、遥は適当に聞き流した。
「----で、ですね。この件に関して、ちょっと主催者の米沢さんに事情をお聞きしたく
 思いまして----」
「米沢代表に?」
「はい。あ、もうホテルにお戻りですかね……」
 訝しげに、その刑事の目をのぞき込む遥。
「……米沢代表なら----」
「其処の地区本部におる館内担当のお偉いさんに聞けばえーやん。ほら、その部屋や」
 遥の言葉にかぶせるようにして、朝倉が無愛想に言い放つ。
「あ、そうですか。どうもどうも」
 軽く頭を下げると、その刑事は其方へと歩み去った。
「……」
「……あれ、警察が鬱陶しかったんちゃいますの? 余計なお世話やった?」
 遥の横睨みが自分に突き刺さっているのを見て、朝倉が小声で探りを入れる。
「うん。ちょっと聞きたいこと、あったから」
 目をつぶり、溜息と共に答えを吐き出す遥だった。


231 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:58
 結局、その場は西のスタッフや館内担当統括部、サークル対応係が収集を着けると
決まり、遥達のようなそれ以外のスタッフには、帰宅命令が出された。何か手伝う
ことがあれば、と遥は申し出たのだが、それもやんわりと総統括に断られ、結局、
館の外へと追い出されてしまっていた。
「寒さが身に染みるのぅ」
 朝倉がズボンのポケットに手を入れながら、ぼそりと呟いた。もちろん外はかなりの
寒さだったのだが、朝倉が言う寒さは、それだけを差すものではない。
「そうね……」
 遥も、小さく呟いた。その後ろをついて歩く由希と、彼女がかばったサークル参加の
少女----名前は新谷悠と言った----は、何も言わずに、ただ着いてくる。
「……なぁ…何が、起ったん?」
 朝倉が、後ろについてくる悠に問いかける。出来るだけ、静かな声で。
「…………」
 俯いたまま、悠は何も語らない。
「言いたくなかったら、無理に言わなくても良いです。……言葉に整理するには、まだ
 ちょっと早いと思います」
 そう言って、傍らの悠を気遣う由希。明日の売り物の全てと、それを創るため、
共に頑張った仲間の殆どを失ったばかりの少女に何かを喋らせるのは、余りにも酷だと
思ったから。
「……いえ、大丈夫……です……」
 悠の掠れた声が、三人の耳に届く。誰も、其方を振り向かなかった。今までと同じ
ように、ゆっくりと歩を進めるだけ。そんな、不器用で小さな心遣いを感じながら、
悠は少しずつ、辿々しく話し始めた。

 西ホールには、大勢のサークル参加者が自分のスペースにやってきていて、印刷所
から届く筈の新刊を待っていたらしい。搬入量や落丁、乱丁の確認など、理由は様々
だろう。悠のサークルも、そのうちの一つだった。なんでも最後のコミケットという
ことで特別にカバー付の本を刷ったらしい。今日の内に多少でもカバーを掛ける
作業をしようと、届くはずの新刊を待っていた。
 しかし、新刊はやってこなかった。代わりにやってきたのは、ひたすら平身低頭に
詫びる、印刷所のスタッフ。新刊を運んでいたトラックが、首都高で事故を起こした。
誠に申し訳ない……と。周りを見回せば、外周大手サークルも軒並み荷物が無く、
印刷・運輸業者が詫びに回っていた。
 そして、怒号が飛んだ。
 最初にどこから飛んだのかは、解らない。続けて、とにかく彼方此方から、怒りに
まかせた怒声が上がった。次に、机や椅子がそこかしこで蹴倒される、激しい音。
 負の感情だけがぐるぐると、ホールの中を渦巻いていく。少女のサークル仲間も、
それに感化されたかのように、謝罪に来ていた印刷業者へと詰め寄っていく。そして。
「やっちまえ」
 軽い男の声だった。せっぱ詰まった感も、怒りの感情すらもない、場違いな声。
しかし、それで十分だった。新刊は、もう来ない。この、最後のコミックマーケット
というハレの舞台に……そのやり切れない、納得できるはずもない、その怒りを叩
付ける合図としては。
 その後のことは、何も覚えていない……と、悠は締めくくった。気がついたとき
には、悠はスタッフ達に囲まれていたという。
『お前のサークルが、暴動の発端だ』
 そう罵られ、責められ続けたと。


232 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:58
「……初めて、コミケに受かったんです」
 悠は言葉を続ける。
「私達のサークル、ずっと福岡で活動してて……何時かは、コミケで沢山の人に
 本を手にとって、読んで貰いたいねって……私も含めて、高校生ばっかりのサー
 クルだったから、そう簡単に東京に出るって事、出来なかったから……」
 鞄の中から、一通の封筒を取り出す悠。準備会から届けられた、色ラベル付の封筒。
「地元でもほんのちょっと人気が出て……そろそろコミケに出ても恥ずかしくない
 かなって事になって。……夏は、落ちちゃったんです。でも、冬は受かってて……
 凄く嬉しくて……最後のコミケには間に合ったねっ……て……」
 封筒を握りしめた手を、胸に押し当てる。手の上に、幾つかの雫が落ちた。
「……学校終わったら、みんな集まって……漫画描いて…………たくさん感想が聞け
 たらいいねって……そう思って…………っく」
 しゃくり上げる悠。あとはただ、悠の押し殺した泣声だけが、四人だけが歩く歩道に
響いた。誰も、口を開かなかった。口を開けば、きっと何かへの呪い事を吐き出すに
違いなかったから。そして、それは悠にとって、何の慰めにならないことも知っていた
から。
 だから、ただ黙って歩くことしか出来なかった。

「これから、何か差し入れを持っていくことにします」
 会議棟下のタクシー展開場で、悠はほんの少しだけ、微笑んで見せた。泣くだけ
泣いて、吐露するだけ吐露して、ほんの少しだけではあるが、心を軽くすることが
出来たようだった。……そう、見えたし、そう、思いたかった。
「……確か、みんなが連れて行かれたのって、湾岸署、でしたよね」
「……うん」
 由希が、頷く。自然に微笑むなんて事は、出来そうもない。作り笑いをするのは
悠に失礼な気がして、由希は今にも泣き出しそうな、そんな表情でいることしか
出来なかった。
「……少しでも出来ることをしたいと思うし……しなくちゃいけないですよね」
「偉いなぁ……いや、ホンマに。君みたいのんが同人世界にぎょーさんおったら……
 あんな事もこんな事も、きっと起らへんかったやろに」
 朝倉は悲しそうに笑いながら、悠の頭をくしゃくしゃと掻き撫でる。悠は苦笑いを
しながら、
「そんなに立派な人間じゃないです、私。今も、色んなどろどろした思い、あります
 から」
 と、小さな声で否定した。
「……もし、何かあったら電話してきてね。出来る限り、力になるよ」
 今まで話に加わらず、その様子を見守っていた遥が、悠の手にメモを握り込ませる。
「笹島さん……」
「さっきの馬鹿スタッフと違って、少しは話が分かるつもりでいるから、私。携帯
 だから、気兼ねせずにかけてきて良いからね」
「……ありがとう……ありがとう、ございます」
 深々と、お辞儀を返す悠。その声はほんのちょっと、詰まったように聞こえた。
しかし、顔を上げたときには、やっぱりほんのちょっとだけ、微笑んでいた。

 悠を乗せたタクシーのテールランプが見えなくなるまで、遥達は其処に佇んでいた。
そして……やっぱり、誰も、口を開かなかった。


233 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 03:59
2000年12月28日 22:24 晴海通り

 闇の中へ

 運転席の遥も、後部座席の朝倉も、お互いの腹の内を探るような沈黙を続けている。
エンジン音と、助手席で眠る由希の寝息だけが、二人の間を埋めていく。
「……雪、とうとう降ってきよりましたな」
 先に口を開いたのは、朝倉だった。フロントガラスに当たった雪が、ヒーターの熱に
融かされ、水滴となって流れていく。そしてまた一粒……一粒。
「……本当だ。朝には積もってそう……チェーン、用意してきて良かった」
 気だるげに、遥が答える。信号が青になったのを確認して、ゆっくりとアクセルを
踏み込む。車通りも殆どない年の暮れの街を、浜松ナンバーのファンカーゴが駆け
抜けていく。
「……なんや、この冬コミ呪われとんのとちゃいますか。呪った人間と呪いを実行した
 ヤツは同じヤツで、しかも準備会の其処此処におるような気がしまっせ」
 先ずは朝倉が、軽くジャブを入れる。朝倉の視線は、バックミラー越しの遥の顔を
捕らえて放さない。
「……当たりかもね……うぅん、大正解かな。有象無象の連中が、跳梁跋扈してる……
 準備会の中だけじゃない、その外にもね。どいつもこいつも、コミケットを食い物や
 錦の御旗としか考えてない……可哀相な人間よ」
「……西ホールの暴動、どこら辺が扇動したん思います?」
「……そんな事、私の口から言えると思う?」
 ちらり。遥の視線が、朝倉の瞳を射る。強固な意志。
「あらかた想像がついてる……っちゅー感じやね。サークル参加者とは別の誰かが
 扇動したってとこも、意見があってるゆーことで理解させてもらいま」
「……好きに理解して良いわ」
 ……本当は色々、話や相談したいやろに、下手に権力持った中間管理職も大変やな。
朝倉は心の中で呟くと、再び口を開く。
「刑事が来たときに、なんか質問があったのにとかゆーてましたな。あれ、何を聞きた
 かったんで?」
「……あの刑事さん、なんて言ったか覚えてる?」
「? 確か、米やんは何処だって……それぐらいしか言ってなかったんちゃいますの?」 遥が、僅かに頭を縦に振った。
「……ところで、代表が六時頃、警察に事情聴取で連れて行かれたって知ってる?」
「……初耳やね。そう言えば確かに米やんの姿、なんや暫く見かけへんかったわ。
 やっぱ、例の時限爆弾の一件……?」
「……さぁ? 私は、その件の処理はメアリ対統括が警察に話をして終わったと理解
 してたんだけど。……総統括から事情聴取の件を聞いたんだけど、何の事情聴取
 かは聞いてなかったわね、そういえば」
 其処まで言うと、今度は遥のほうから、ミラー越しに朝倉を見据える。
「で……警察に事情聴取に言ってるはずの代表を、どうして刑事がビッグサイトで
 探さなきゃいけないわけ?」
「っ……」
「まぁ、日本警察が情報の下位伝達も出来ないような無能揃いだったり、あの刑事に
 健忘症の気があったりすれば、話は別なんだろうけどね」
 目の前の信号----豊洲交差点----が赤に変わる。減速し、停止線を余して止まる
ファンカーゴ。

「……死ななきゃ、いいんだけどね」
 慌てたように、遥の表情をのぞき込む朝倉。遥の視線は、ウィンドウの向こう側。
朝倉もそれに倣うと、豊洲駅から大荷物を持った団体が出てくるところが目に入った。
PCゲームのヒロインがでかでかと描かれた紙袋は、嫌でも目立つ。
「……馬鹿は死ななきゃ治らない言いますけど、死んでも治らない連中や……徹夜で
 凍死でもしたら、東京湾に放り込んで事件隠蔽したいとこやな……」
 朝倉は憎々しげ気に集団を睨み付け、唾棄するように呟く。
「……なんで、あいつらみたいなのがコミケにやって来られるのに……あの娘みた
 いな子が、参加できないんだろうね」
「……何で……やろかね……」
 そして、車内は再び沈黙に包まれる。
 信号が、青に変わる。遥は、それでも暫く、その集団に視線を向けていた。
「……鬱陶しい」
 遥は、誰にも聞こえないような声で呟くと、ワイパーのスイッチを入れた。

 街路灯の光がぼやけて滲むほどに濡れたフロントガラスを、ワイパーが拭っていく。
向こうが見渡せるようになったかと思うと、直ぐに新しい雪の粒がフロントガラスを
叩いた。拭い、叩く。その、繰り返し。
 ……同じだね、私達や、あいつらと。遥は自嘲的に笑うと、ようやくアクセルを踏み
込んだ。

234 :名無しさんi286 :2000/10/16(月) 04:28
……改行一ヶ所抜けてるし……逝ってきます(汗

235 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :2000/10/16(月) 05:15
朝一番あげ〜。
いいスレをほかしとくのはもったいない。

236 :サーバ移転。 :2000/10/16(月) 06:38
直接リンクなさっている方々へ。

同人板は移転しました。スレッドはこちらです。
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=doujin&key=969006158&ls=5

237までの書き込みはきちんと移転しております。
内容が分散するのを防ぐため、こちらには書き込まないようにして下さい。

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